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イオンリテール/21年度「AIカメラ」80店「AIカカク」は全店導入へ

2021年05月13日 16:50 / IT・システム

イオンリテールは5月13日、「イオンスタイル川口」(埼玉県川口市)を皮切りに、店内カメラの映像を分析し、接客や判断業務、より良い売場レイアウトの実現につなげる「AIカメラ」を2021年度中に約80店舗へ順次導入すると発表した。

<山本執行役員、西垣取締役常務執行役員>
山本執行役員、西垣取締役常務執行役員

また、7月までにほぼ全店(約350店舗)へ、商品の販売実績や天候・客数などの環境条件を分析し、割引時に適切な価格を提示する「AIカカク」を順次導入していく。

<AIカメラ、AIカカクで業務プロセス改革>
AIカメラ、AIカカクで業務プロセス改革

5月13日行われた同社のDX戦略説明会で、西垣幸則取締役常務執行役員デジタル・営業推進担当は、「イオングループは、2021〜2025年度中期経営計画において、IT投資を増やし、DXを推進、顧客体験、従業員満足度、生産性向上などを目指している。中でも、業務プロセス改革として、年度内に接客や売場作りの改善をサポートするAIカメラを80店、7月までにAIが割引率を判断し、食品ロスを削減するAIカカクを全店に導入する」と説明した

<接客を必要とする顧客をAIカメラが感知、従業員に通知>
接客を必要とする顧客をAIカメラが感知、従業員に通知

「AIカメラ」は、店内映像を分析し接客・売場改善をサポート。接客を必要とする顧客をAIカメラが感知、従業員に通知しスムーズな接客する。AIによる年齢推定・自動アラートでレジ従業員の負担を軽減し、売場での行動を分析・集積し、注目度・利用頻度を見える化も実現する。

店内カメラを通じて映像を分析し、ベビーカーやランドセル売場などで購入を検討してる顧客を判断し、従業員へ通知することで、近くに居ない場合でも待たせることなく接客対応ができる。2020年下期、千葉県内の店舗のベビーカー・チャイルドシート売場で同社の行った実験では、前年同期比2.3倍の売上につながった。

また、「AIカメラ」で撮影した映像データを分析することで、顧客の立ち寄り時間の長い売場や動線、手を伸ばす頻度が高い商品棚などを可視化し、売場レイアウトの変更や店舗ごとに異なる売れ筋商品の充実を目指す。

個人の顔は特定せず、身体的な特長から年齢、性別などを判断し、個人情報に配慮した設計だという。

「AIカメラ」は、富士通のAI映像解析ソリューション「Fujitsu Technical Computing Solution GREENAGES Citywide Surveillance(グリーンエイジズ シティワイド サーベイランス)」を活用している。

「AIカカク」は、データに基づきAIが適切な割引率を算出するシステム。

販売実績や天候・客数などの環境条件をAIが学習し、時間帯ごとに各商品の陳列量に応じて適切な割引率を提示する。2020年11月から先行導入を実施した店舗においては、「コロッケ」「天ぷら」などの総菜に関して、平均で割引率が2割強、改善している。

「AIカカク」を導入したパイロット運用の店舗はいずれも同程度の改善を達成しており、以降の導入店舗でも対象商品において同程度の効果を見込む。

5月13日現在、総菜売場の約40%の商品に適用。今後システム拡張により、適用する商品カテゴリを順次拡大予定だ。

<シンプルなシステム設計と見やすい画面設計>
シンプルなシステム設計と見やすい画面設計

さらに、「AIカカク」売場での操作を「商品バーコードのスキャン」と「陳列数の入力」のみに限定したシンプルなシステム設計と見やすい画面設計にした。

入力後はAIが提示した割引率で携行のシール発行機から自動印刷され、該当商品にシールを添付すると作業が完了。経験に関わらず作業を進めることができ、値下げや売り切り業務に関わる教育時間も軽減できる。

山本実執行役員システム企画本部長は、「過去2年の単品データ、店別データ、顧客データをもとに、IBMの協力のもと、ベースから作り上げた。地域、店舗規模、営業時間などが多岐にわたる当社には既存のシステムでは、運用が難しく、自社仕様のシステムを苦労して築いた。惣菜価格の見切りは経験が必要で、スタッフのシフト調整など現場の負担が課題だった。AIカカクの導入で、業務負担を減らし、フードロス削減を実現するとともに、売上・利益の改善にもつながっている」としている。

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