カインズ／SPA体制強化で本社敷地内に「自社ハウススタジオ」開設

2021年09月14日 16:30 ／経営

関連キーワード
カインズ

カインズはこのほど、埼玉県本庄市の本社敷地内に自社ハウススタジオ3棟を建設した。9月16日から、本格稼働を予定し14日に、報道向け内覧会を開催した。

これまでは自社商品のパッケージや販売促進用素材の撮影に外部のハウススタジオを活用してきたが、本社敷地内にハウススタジオを設けることで、商品の開発から販売に至るまでにかかる期間を短くし、よりスピーディなSPA（製造小売）体制を構築する。

＜ハウススタジオの全景＞

商品本部の高田英尚デザイン企画部部長は、「当社で開発したオリジナル商品が、実際の生活で中でどう利用されるのか具体的にイメージがわく写真を撮影するために、生活のさまざまなシーンが再現できるスタジオを作成した。各単品ごとに、商品が一番映えるシーンが作れるスタジオとなった」と自社ハウススタジオを解説する。

これまでは、商品パッケージやECサイトに掲載する写真、店頭販促物に使用する写真の撮影に、時間がかかっていた。外部のスタジオ探しがあり、前泊して商品を搬入し、2時間撮影し、また商品を運び出すこともあった。外部で撮影するため、備品忘れなどがあっても対応できない課題もあったという。

＜A棟、B棟の外観＞

外部スタジオでは、キッチンを入れ替えたり、壁面を変えることができないが、自社ハウススタジオでは、商品イメージに合わせて柔軟に壁面などを入れ替えることができる。商品搬入の手間も飛躍的に少なくなるため、1日で商品撮影を完結することも可能になった。

＜A棟1階＞

ハウススタジオA棟は、3棟の中で唯一の2階建てのハウススタジオで、水道やガスを整備しているため、キッチンやトイレお風呂周りをイメージした「生活シーン全般」の撮影ができる。施設面積は1階77.94m2、2階24.84m2。

高田部長は、「水道とガスを敷設したことで、シズル感のある撮影をすることができる。水はけのよい皿の水はじき具合を再現したり、お風呂の湯気を再現したり、生活シーンをリアルに再現できる」と語る。

＜お風呂もリアルに再現＞

2階には、小部屋とベランダを再現した。今回は、子ども部屋の演出をしたが、テレワークに対応したワーキングスペースなどの演出もできる。

＜A棟2階＞

ハウススタジオB棟は、壁を組み替えることができ、さまざまな間取りや雰囲気の再現ができるスタジオ。壁の雰囲気を変えるだけでなく、移動式のシステムキッチンを用いることでアイランドキッチン風の撮影ができる。

＜B棟の内部＞

＜B棟のアイランドキッチン＞

モダン、洋風、和風、ナチュラルなどをはじめとした、幅広いスタイルの撮影が可能な汎用性の高いスタジオで、3棟の中でもメインスタジオとして活用を予定している。施設面積は、92.74m2。

＜さまざまなスタイルを再現＞

ハウススタジオC棟は、ガレージ風のスタジオで、床はコンクリート張りとなっている。防音性が高く、汚れを気にせず使用できるつくりで、動画の撮影や、DIYアイテム、プロツールなどの撮影に活用する予定だ。施設面積は34.78m2。

＜C棟の全景＞

C棟はDIY用品を中心に撮影する施設で、カインズオリジナルの工具を使用した動画撮影などを行っている。高田部長は、「通販サイトのように商品の使い方を説明するのではなく、その工具や木材などを使って、具体的に何が作れるのかイメージできる動画を作っている。1時間くらいの作業を3分程度に圧縮した動画で、これなら自分でもできるかもと思ってもらうきっかけを作り、カインズへの来店につなげたい」という。

＜C棟のディスプレイ＞

なお、既存のカインズ本部社屋内にある本部社屋内スタジオは、今までは、さまざまな商品やシーン撮影に使用してきたが、これからは商品単体の撮影に特化したスタジオとして活用する。これにより、商品のパッケージ開発やオンラインショップへの掲載にかかる期間を短縮する。

カインズは、28都道府県下に226店舗を展開するホームセンターチェーン。「くらしに、ららら。」を企業メッセージに、日常生活に寄り添うライフスタイルの提案と、住空間のトータルコーディネートを意識した商品づくり、店舗づくりに努めている。くらしを豊かにする商品を、オリジナル商品の開発と、独自の仕入れ・物流システムの活用により、毎日低価格で提供する。

これからも、SPA企業として成長を続けるとともに、小売業の枠をこえてさまざまな商品やサービスをお客に提供するという。

■ハウススタジオ概要
所在地：埼玉県本庄市早稲田の杜1-2-1
施設面積：A棟1階77.94m2、2階24.84m2
B棟92.74m2
C棟34.78m2