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ソニーは8月19日、秋から川崎市で非接触ICカード技術FeliCa(フェリカ)のカードを利用した電子お薬手帳の試験サービスを開始すると発表した。
医師が処方した薬の名称や量、服用回数、飲み方などの調剤情報を記録するお薬手帳は、複数の医療機関で薬が処方された場合でも、医師や薬剤師が薬の重複や不適切な飲み合わせがないかなどの確認を行うのに役立つもので、現在は主に紙の手帳が利用されている。
今回、個人の調剤履歴の記録や管理向けに、FeliCaカードを利用した電子お薬手帳と、スマートフォン用アプリケーションを開発した。
利用者は、FeliCaチップが埋め込まれたカードを薬局の端末にかざすだけの簡単な操作で、調剤履歴の閲覧と調剤情報の記録を行うことができる。
新たなサービスの実証実験として、川崎市宮前区医師会と同市薬剤師会と協力して、五十嵐中特任助教(東京大学大学院薬学系研究科)監修の下、2011年11月から川崎市宮前区にある約20の薬局にシステムを提供してきた。
各薬局がこのシステムを用いたサービスを提供し、現在までに約1000人の利用者がいる。実証実験を通して利用者や薬局からの各種の要望や、それらを検討して蓄積した知見を活かし、2013年秋からは対象エリアを川崎市全域に拡大して、ソニー自ら試験サービスを展開する。
スマートフォン用アプリケーションをインストールすれば、モバイル端末からも情報閲覧できるほか、診察を受けた際の症状や、服薬後の副作用、アレルギーなどの記録もできる。薬局は専用のソフトウェアをインストールしたパソコンやタブレット、カードリーダーなどを用意することで、システムを構築できる。
サービスでは、調剤履歴に加えて、利用者がスマートフォンで入力した症状、副作用、アレルギーなどに関する各種情報も薬局側で一元的に把握することができるため、薬剤師は利用者の状況をより効率よく的確に把握できるようになり、「リスクコミュニケーション」の促進にもつながるという。
従来のクラウドを利用した一般的なサービスでは、利用者の個人情報とデータの両方がペアで同じクラウド上のサーバーに保存されるため、万一外部または内部からシステムへの侵入があった場合、これらの情報が同時に漏えいするリスクがあった。
今回ソニーが新たに開発したシステムは、個人情報とデータを分離し、データのみをクラウドに保存する。このため、仮にクラウド上のデータへの不正アクセスがあったとしても、個人情報が守られる構造を実現したという。