小売業と卸売業の総売上げ格差3.04倍
2008年09月22日 / 商人舎からのメッセージ
小売業と卸売業の総売上げ格差3.04倍
結城 義晴氏(商人舎 代表取締役社長)
日本の流通業の根幹の問題。
一般に「流通業」と呼ぶ場合、小売業と卸売業を意味します。しかし、小売業と卸売業を合わせた概念は、正式には「商業」という言葉で表されます。「日本標準産業分類」という国の産業の基盤を分類したものでは、卸売業・小売業というひとつのくくりになっています。これがいわゆる「流通業」。
この「流通ニュース」から情報を受け取る読者は、是非、以下の矛盾を頭に入れておいてください。その商業と流通業の最大の問題点は、商業統計に表されています。
商業統計は「工業統計」と並んで、日本産業の二大基盤の実態を、悉皆(しっかい)調査によって表すものとされています。悉皆調査とは、「全数調査」とも呼ばれ、全ての事業所に調査依頼をして求められるデータ。従って、正確さとともに、明確な全体像が浮き上がってきます。
この商業統計の小売業と卸売業の年間商品販売額を、時系列に表したものが「表」です。

左側に年次。その右が小売業全体の1年間の売上高、右端が卸売業全体の年間商品販売額。真ん中に、小売業と卸売業の売上高の倍率が示されています。
小売業は、最新の2007年統計で、年間売上高134兆5717億円。対して、卸売業は、410兆6789億円。販売額が小売業の3.05倍になっています。この倍率の格差が、最も大きかったのは、1982年で、4.24倍。
しかし、ちょっと考えると、この格差の矛盾に気づく人は多いはずです。メーカーや産地で、商品は製造され、生産されます。それが卸売業に渡って、さらに小売業に売られ、最後に、消費者によって購買されます。
日本中で1年間に、卸売業で売上げが立った金額を全て勘定したものが411兆円で、同じく小売業が消費者に販売した全てが、135兆円。アメリカでは、この倍率が、1992年に1.1倍という統計数値が示されています。ここに、日本の流通業の最大の問題点があります。
もちろん、卸売業には、一次問屋、二次問屋、三次問屋などの分化があって、それぞれに重要な機能を果たしています。しかし、流通段階には5段階から、最大で15段階もの売買のステップがあって、そのつど、マージンや物流費、倉庫保管費などが落ちる仕組みになっています。しかし、それらが最後の最後に、消費者へのツケとなって、最終売価に反映しています。
いちばん、この矛盾が大きかったのが衣料品の世界。ユニクロを展開するファーストリテイリングは、この矛盾を解消しました。「SPA」と呼ばれる製造小売業の機能を獲得することによって、3分の1から4分の1の価格を出すことに成功したのです。
2008年の夏から秋にかけての消費不況のなかで、特に衣料品の分野はユニクロの一人勝ちの様相を呈していますが、ユニクロが、商業統計の表す「日本商業の矛盾」を、ズバリと解決したことが、その原動力となっています。
住生活分野のホームファッションのニトリは、「モノみな値上げ」の中、5月と8月の二度、約300品目20%ほどの「値下げ宣言」を発して、絶好調です。ニトリも「商業統計」の表す流通構造の矛盾を問題解決することで、一人勝ちしているのです。
「流通問題」の根本は、小売業と卸売業の年間商品販売額の格差にあり。自社の目先の売上高や利益を追うか、日本流通業の問題を解決する中で結果として売上げや利益を生み出すか。スタートの姿勢の違いが、現時点の業績の差異となって現れているのです。
■結城義晴 プロフィル——-
1952年福岡生まれ。早稲田大学卒。㈱商人舎代表取締役社長、コーネル大学リテール・マネジメント・プログラム・オブ・ジャパン副学長。商人の魂をもったジャーナリストを標榜し、主にイノベーションとホスピタリティの側面から論述を展開中。結城義晴のBlog[毎日更新宣言]はそのベースキャンプ。
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