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NEC/商業施設向けの行動センシング技術開発

2010年08月30日 / IT・システム

NECは8月30日、低コストの行動センシング技術を開発したと発表した。

商業施設やオフィス、工場内において、人の位置情報、特定の場所や物への関心度を示す情報などを、高精度に取得可能なシステムを低コストで実現する。

有効性を検証するために、街なかソーシャルブックマーク「pin@clip ピナクリ」における実証実験の一環として、大規模商業施設において3か月間運用した。

その結果、システムを用いることにより2日間程度の短期間でセンサシステムが導入可能なこと、顧客の位置、売場に対する関心度、売場の滞在人数の情報を用いて、店舗内での購買行動の特徴、売場間の関係やイベントによる集客効果の分析、混雑情報を活用した店舗情報配信サービスなど、商業施設/顧客の双方にとって有益なサービスが提供できることを確認した。

商業施設やオフィス、工場などでは、建物内における人の行動や興味を把握し、店から顧客のニーズや状況にあわせた販促情報を提供したり、各従業員への適切な指示による作業効率の改善、不審者検出など、人の行動にあわせた高度なサービスを提供したい、というニーズが高まっている。

従来は、人の位置や行動、特定の場所にいる人数などを把握するためには、取得したい情報ごとに異なるセンサシステムが必要だった。また、建物へのセンサ設置に手間がかかるという課題があった。

開発した技術は、小型であるため自由な場所へ手軽に設置できる据置型多機能センサや、建物内の人が持ち歩く携帯電話に内蔵されているセンサを利用する。導入が容易で従来の約1/3の低コストで、位置や行動の情報を高精度に取得できるシステムを実現する。

センサの再調整が不要で長期間の安定動作が可能な、参照型無線LAN測位方式を開発。同方式では、人の位置を3mの分解能(正解率:86%以上)で高精度に検出する。

人や物の動きなどの影響で、測定開始から数日か数十分で大きく性能が低下する場合があった従来の無線LANによる測位方式に比べると、事前に収集した電波強度(基準データ)と、据置型多機能センサで常時収集する電波強度(参照用データ)とを比較し、補正しながら位置を算出。安定した高精度測位を実現する。

携帯電話に内蔵された加速度センサを用いて、場所や物に対する関心の強さを推定する行動ベース関心度推定方式を開発。建物内へセンサを多数設置したり、人体へのセンサ装着が必要だった従来方式に対して、すでに多くの携帯電話に搭載されている加速度センサを利用する。

従来の「商品を触る」など直接的な動作で識別していた関心度に比べ、加速度センサの出力データに基いて歩行や停止などの動作を識別し、その発生回数や持続時間から関心度を算出することができるため、導入の手間を大幅に削減する。

据置型多機能センサに内蔵された人感センサを用いて、5m四方のエリアに滞在している人の数を誤差1人以下で推定する方式を開発した。従来のカメラで撮影した画像を処理する方式等に比べると、センサの反応回数や反応持続時間を統計処理した値からエリア内に存在する人の数を類推する方法によって、小型・安価な人感センサを用いながら、高精度での滞在人数推定を実現する。

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