流通ニュースは、流通全般の最新ニュースを発信しています。





日本橋三越本店/カルチャーリゾート百貨店目指し、複合店導入

2014年03月26日 / トピックス商品店舗店舗リポート

日本橋三越本店は3月26日、本館7階に「Hajimarino cafe(はじまりのカフェ)」をオープンした。

新しい日本橋三越本店が目指す「カルチャーリゾート百貨店宣言」の一環。

<Hajimarino cafe>
20140326mitsukoshi 1

開店前の店内で、日本橋三越本店の中陽次店長が「ファッションの百貨店ではなく、カルチャー百貨店への道を進みます。ファッションとしては捉えきれない格好よさ、美意識を伝え、風流、風情、嗜みなど、かたちのないものを商品化する」とカルチャーリゾート百貨店宣言を行った。

<中店長>
20140326mitsukoshi 2

中店長は「ファッション以外の暮らしを彩る素晴らしいものを伝えていく。食、芸術、工芸、遊びや文化をどの百貨店よりも充実させる。商品の陳列ではなく、顧客とのコミュニケーションを重視し、接客はモノの説明ではなく、モノの使い方・ハウツーを売る。これからの暮らし方の進歩を手伝う店になる」と宣言の趣旨を解説した。

<店舗中央にカフェスペースを配置>
20140326mitsukoshi 3

はじまりのカフェは、新しいデパートの形を象徴するスペースで、商品陳列よりも、接客を重視する形を具体化した。催事スペースを改装した売場だが、コミュニケーションする場所の意味を込めてとカフェと名付けた。

<各ゾーンに接客用に椅子を配置>
20140326mitsukoshi 4

売場面積は約535㎡で、カフェを軸に「PLAY(遊ぶ)」「SHIFT(変える)」「LEARN(学ぶ)」をキーワードとし、約40社の取組企業の協力を得て、5つの売場を展開する。目標年商は8億5000万円。

<農業体験などを提案するGATEゾーン>
20140326mitsukoshi 5

「遊ぶ」では、期間限定店舗を展開する2つのGATEゾーン(約100㎡+40㎡)、カメラとモバイル端末を使った暮らしを提案するTOOLゾーン(約57㎡)、アウトドアの遊びを提案するGEARゾーン(約110㎡)を展開。

<TOOLゾーン>
20140326mitsukoshi 6

「変える」では、アクティブな暮らしをサポートする、各種出張サービスや健康管理の紹介サービスを販売するGUIDEゾーン(約30㎡)を設置。「学ぶ」では、飲食も楽しめるオープンなスペースで、ワークショップを開催するFORESTゾーン(約150㎡)を設置した。

<FORESTゾーンのワークショップ>
20140326mitsukoshi 7

接客を重視した売場で、今回、はじまりのカフェで働くことを前提に、あらたに15人のスタイリスト(パートタイマー)を採用した。カルチャーリゾート百貨店宣言に共感できる人材を約100人の応募者から選定。半数のスタイリストは接客経験がないという。

<はじまりのカフェ担当のスタイリスト>
20140326mitsukoshi 8

中店長は、「スタイリストに対するマニュアルは、断るな。何とかしろ。の一つだけだ。店頭ですぐに対応できなくても、何とかしますという接客を目指している。顧客の要望に応えるためのスタイリストの裁量は大きく、部門もまたげる」と語る。接客レベルをあげるため、スタイリストは可能な限り、提案商品を実際に使用する、味わうなどの体験を積んだ。

<GUIDEゾーン>
20140326mitsukoshi 9

また、「新しい百貨店への冒険の始まりだが、きちんとビジネスにする。ハウツーなどは、無料サービスでは無料に甘え、質が落ちる。有料サービスとして展開することで質を上げていく」と語る。

<当日の料理教室の様子>
20140326mitsukoshi 10

26日は、料理研究家による料理教室(4200円)、バリスタチャンピオンによるラテアート体験(5250円)を実施。今後も3000円~5000円程度の価格帯で、ワークショップを開催。有料だからこそ開催できる一流の人材による講義を提供する。

<ワークショップのスケジュール>
20140326mitsukoshi 11

ワークショップは、FORESTゾーンで毎日開催する予定。FORESTでは、調理器具や調味料、お茶などの嗜好品、グリーンなどを販売。40席のカフェスペースと16席のワークショップ席を合わせ、56席のカフェを展開できる。

<カフェの客席>
20140326mitsukoshi 12

カフェメニューはFORESTで、取り扱う食品を使用したメニューを開発。販売する商品を実際に味わい、使い方を含めた提案ができる工夫をした。

<カフェのカウンター>
20140326mitsukoshi 13

フード11種類、ドリンク約40種類を提供。カフェメニューの価格帯は、できるだけ値ごろ感を意識し、ランチは1000円から提供する。今後も、販売商品を使用したメニューを開発する予定だ。

<書籍とともに商品を提案>
20140326mitsukoshi 14

新しい体験は、本との出会いをきっかけに始まることもあることから、全てのゾーンでモノやコトに関連する書籍を配置。合計150タイトルを販売する。

<iPadコーナー>
20140326mitsukoshi 15

ガイドゾーンでは、三越の食事宅急便、家事代行サービスのほか、パラグライダー体験、iPadの入門教室などを販売。カルチャー教室が、書道など継続する習いごとが多いのに対し、1回完結型の体験型商品を強化した。

<カヌー提案>
20140326mitsukoshi 16

中店長は「これまでの主要顧客である高齢者に対して、家の中に居るのではなく、外に出る提案をする。年をとるというのは、エキサイティングでアドバンスなことだと伝えていく」と語る。

<カメラコーナー>
20140326mitsukoshi 17

今後、ガイドゾーンでは、日本橋の街並みを撮影する写真教室、日本橋川で体験するカヌー体験など、日本橋の街とも連携した企画を提案する予定だ。

<はじまりのカフェの配置図>
20140326mitsukoshi 18

はじまりのカフェ自体は、幅広い年代の人々を対象とした売場だが、カフェ周辺には、高齢者向けの杖などを扱う「優遊倶楽部」「ヘアウィッグサロン」「メガネサロン」「薬局」「健康食品」の売場を展開する。

<優遊倶楽部>
20140326mitsukoshi 19

中店長は「既存のお得意さまを満足させながら、新しいお客さまも取り込んでいく。フロア全体としての相乗効果も見込んでおり、予算は達成できると思う」と周辺の売場との相乗効果を見込む。

<薬局>
20140326mitsukoshi 20

2月26日には、隣接する健康食品売場のリニューアルを実施し、売上高は1.5倍に伸長した。ガイドゾーンでは、健康相談も提供しており、今後は、薬局・健康食品売場に配置した管理栄養士とも連携した接客で、より顧客のニーズに深く対応したいという。

<FORESTのメインディスプレイ>
20140326mitsukoshi 21

日本橋本店は2016年度までに本館の改装を進める予定で、はじまりのカフェはその第一歩。中店長は「洋服、服飾雑貨とも商品が多いので、商品をカットし、接客スペースを増やす施策を導入していく」と改装の方向性を語る。

<主通路にも接客用ソファを配置>
20140326mitsukoshi 22

日本橋三越本店の1日の来店客数は3万人前後で、周辺の商業施設のオープンなどで増加傾向にある。

現在カード会員の売上シェアは55%となっている。はじまりのカフェを導入することで、日本橋を訪れる三越を利用したことのない新たな客層を開拓し、店舗全体の売上を伸ばしたいという。

<ツリーハウス提案>
20140326mitsukoshi 23

<FORESTの全景>
20140326mitsukoshi 24

<紅茶の提案>
20140326mitsukoshi 25

<高級カメラも販売>
20140326mitsukoshi 26

<GEARゾーン>
20140326mitsukoshi 27

<トレッキング提案>
20140326mitsukoshi 28

<トレッキングの平場>
20140326mitsukoshi 29

<アウトドアウェアの平場>
20140326mitsukoshi 30

関連記事

関連カテゴリー

最新ニュース

一覧