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東急ストア/武蔵小山駅ビル店

2010年09月25日 / 店舗リポート

「武蔵小山駅ビルに出店、500mに3店舗の勝算」

<武蔵小山駅ビル東急ストア>

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東急ストアは9月17日、東京都品川区に「武蔵小山駅ビル東急ストア」を開店した。東急目黒線武蔵小山駅に新設された駅ビルへの出店で、年商予定は17億円。

同社は駅前から始まる地元商店街パルムに「武蔵小山東急ストア」、「パルム武蔵小山東急ストア」を展開し、駅を起点に南東へほぼ一直線の500mに3店舗が並ぶ配置となった。

東京急行電鉄によると、2009年度の武蔵小山駅の1日の平均乗降人員は、定期券利用者が2万4145人、定期外が2万1542人で合計4万5687人で2008年度対比で0.1%増となっている。

<武蔵小山駅ビル東急ストア地図>

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木下雄治社長は「既存の2店舗の売れ筋などの情報は考えずに駅立地にあった品揃え・サービスを追及し、これまでの東急ストアとは違うコンセプトの店を作った。既存店との品揃えの違いは全体で約8%程度だが、商品の配置を変えたことでまったく違う印象の店となった。住み分けは十分可能だ」と語った。

元々は、1980年に開店した武蔵小山店1店舗であったが、地元のパルム商店街内に出店していたスーパーが撤退し、2003年に居ぬきでパルム武蔵小山店を出店することになった。

「2店舗の体制であっても既存店とのカニバリは防げた。やり方次第では3店舗でも成立する商圏だ」(同氏)という。

出店した東急目黒線沿線では1駅ごとに東急ストアがある状況で、物流効率を高める観点から、武蔵小山駅ビル店は精肉と鮮魚のプロセスセンターとしての役割も担う。近隣の清水台店、不動前店、フードステーション西小山店へ精肉と鮮魚の商品を供給する。

逆に惣菜部門の寿司は、フードステーション西小山店から供給され、店舗ごとに役割分担を変え、個店レベルでの作業の削減を目指している。

<平日の昼間時間帯の武蔵小山パルム商店街>

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駅の主要な乗降客である有職主婦は、駅に着いて、買い物をし、夕食を作るまでの時間が1時間程度と想定した上で、「買い物」する時間、「料理」する時間、「かたずける」時間の3つの時間を節約し「時間という価値」を提案するという。

短時間での買物を考え、精肉の冷蔵ケース前のゴンドラには、カレー、パスタ、マヨネーズなどの洋風調味料を配置し洋食の関連性を高め、鮮魚の冷蔵ケース前には、みそ、のり、といった和風調味料を配置して和食を意識した関連性を高めた。

サラダを意識して、マヨネーズの対面にツナ缶のコーナーを展開するという取り組みもある。

<武蔵小山駅ビル東急ストアレイアウト>

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店舗の配置を惣菜から始まるレイアウトとして、惣菜・弁当・サラダは社内の女性プロジェクトチームの意見を取り入れて女性が食べきれるサイズを導入するなど女性視点を随所に生かした。

<商品開発にたずさわった青果部バイヤーと開発商品のサラダ>

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健康や美容という視点を大切にする女性にとって、惣菜やサラダは注目商品のひとつだ。

花野明子青果部野菜バイヤーは、「女性プロジェクトでサラダの商品開発をしたが、当初の量目は150g前後で価格は250円程度の設定だったが、2回の試食を経て100g前後の量目が食べ切りサイズに適していることが分かり、価格も198円に改められた」と商品開発の過程を説明した。

<既存店と異なる配置を採用した米売場の棚割>

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既存店と8%程度しか違わない品揃えで、異なる店舗イメージをつくる秘訣は棚割にある。たとえば、米売場では米を挟むようにレトルトの混ぜご飯の素と瓶詰め・缶詰やふりかけ商材を陳列する。

既存店では、レトルトカレーはカレー粉と同じゴンドラに陳列されるが、同店では中通路の柱周りに独立したレトルトカレーコーナーを展開、米売場に近い配置とした。

<雑貨専門店の商品を導入した家庭雑貨売場>

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同時に、新しい商品の導入も進めている。8月には木下社長が雑貨のバイヤーを同行させて輸入雑貨の専門店「PLAZA」を運営するプラザスタイルカンパニーの商品展示会に参加し、カラフルなシリコン製のタジン鍋(蒸し鍋)やオープナーなどを導入した。

<売場を解説する木下雄治社長>

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木下社長は「社員一人ひとりが、来店されるお客様のニーズを考え品揃えやサービスを改善していくことは時間もかかり大変なことだ。だが、ようやく自分で考える姿勢が出てきた。商品構成や棚割りも個店で変える仕組みも作った。まだ試行錯誤は続くが、駅立地、東急電鉄グループの一員という特性を生かしたスーパーマーケットの完成度を高めたい」と語った。

店舗概要
所在地:東京都品川区小山3-4-8
TEL:03-5749-2109
建物規模:鉄骨造及び鉄骨鉄筋コンクリート造 地下1階地上4階建(出店は2階)
営業面積:1067㎡
駐輪場:138台
営業時間:10時~23時
年商予定:17億円、レジ台数7台
店長:吉岡 勝
従業員数:63名(社員17名、パートタイマー46名)
商圏概要:半径1km人口(2004対比での2009年の数値は2.8%増)、世帯数(6.2%増)
年齢別構成比:20代(16%)、30代(20%)、70代以上(14%)で20代、30代が多く、世帯構成は1人世帯が50%を占める
部門別取扱品目数:青果、鮮魚、精肉の生鮮合計830、惣菜260、和日配400、洋日配930、加工食品1670、嗜好・菓子1780、日用雑貨630、合計6500品目

■ビジュアル店舗紹介
<店舗入口の惣菜は壁面とアイランドケースを併用して陳列する>

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<食べ切りサイズの商品を導入したおかずコーナー>

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<ドーナッツ専門店ドーナッツプラントの商品も専用什器で展開>

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<昼食需要を想定した丼物も女性プロジェクトが提案>

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<サラダは小容量ドレッシングを併売し味わいにも幅をもたせた>

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<飲み切りサイズが多いチルド飲料をサラダコーナーのはす向かいに展開>

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<生パスタコーナーでは料理見本も展示>

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<精肉冷蔵ケース内にメニュー提案コーナーを常設する>

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<精肉冷蔵ケースの最上段には、たれや簡便商材を関連販売する>

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<刺身の薬味はわさび、しょうが、にんにくから選べる>

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<生まぐろの催事コーナーでは先着200人に本わさびをサービスした>

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<野菜の平台にも鍋つゆを展開、生鮮と調味料を関連販売する>

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<単身世帯に対応し、キャベツは4分の1、2分の1、1玉を展開する>

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<女性の目線はケースの3段目付近に集中する。3、4段目に売り込み商品を展開>

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<生菓子・デザートは銘店商材などこだわり商品をコーナー化した>

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<ワイン売場では、冷蔵ケースで生ハム、チーズなどとの集合展開も実施>

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<梅酒、リキュール、マッコリ、小容量ボトルで女性のお酒を提案>

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<中通路のエンドではこだわりのレトルトカレーなど、高額商材を展開>

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<高齢者向けにルーペ付きカートを本格導入>

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<環境への取り組みをレジ脇の壁面で解説>

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