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ヨークベニマル/栃木祝町店

2010年10月11日 / 店舗リポート

「栃木県栃木市に初出店、原点回帰で食の提案力を強化」

ヨークベニマルは9月22日、栃木県栃木市に「ヨークベニマル栃木祝町店」を開店した。

<ヨークベニマル栃木祝町店>

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JR栃木駅から北側に約1kmの距離に位置し、近隣には下都賀綜合病院や栃木市役所がある立地。地元企業の滝沢ハムの工場跡地への出店で、同社が開発したショッピングセンター(SC)「ヨークタウン栃木祝町」の核店舗として出店した。

同SCには9月30日にドラッグストアのカワチが開店する計画でドラッグストアとスーパーマーケットで近隣型ショッピングセンター(NSC)を形成する。

<ヨークベニマル栃木祝町店地図>

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設定商圏である3km圏内の世帯数は2万1520世帯で、人口は5万9827人、世帯人数は約2.8人。持ち家比率が高く、2人世帯が多い地域となっている。

競合店は1km圏内に、福田屋栃木店、とりせん栃木店があり、2km圏内にとりせん栃木駅南店、ヤオハン西店、ヤオハン城内店、ヤオハンアイム店、ジャスコ栃木店がある。

売場面積は603坪で、同社にとって標準的な店舗。SCのテナントであるカワチとの住み分けから医薬品の販売は行わない。カワチも食品の取り扱いを縮小する予定だ。

<大高善興社長>

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ヨークベニマルの大高善興社長は「いま従業員に問いかけているのは、原点に返ること。『1人のお客さまに誠実を尽せ』という創業の原点に立ち返り、サービス、品揃え、鮮度、売場の提案力を見直してきたのが第2四半期だった」と語る。

<店舗入口に掲げられたヨークベニマル12章>

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第1四半期は、売上高842億円(前年同期比2.0%減)、営業利益17億円(37.3%減)、商品粗利率25.7%(0.8ポイント減)となった。営業利益の減少幅は、過去にない水準で「人生も仕事も試練の連続、いまの厳しさを乗り越えなければ次の成長はない」(同氏)という。

同社は、福島を中心に東北地区を地盤としているが、東北地区では人口減少が始まっている。加えて、この1年でビッグハウス、トライアル、MEGAドン・キホーテなど21店舗のディスカウントストア(DS)が商圏内の競合店となったという。

<果物を前面に押し出し旬の打ち出しを強化する店舗入口>

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大高社長は「第1四半期は、DS対策として全店で価格を下げてしまった。価格で戦うならば、商品政策、オペレーション、物流、マネジメントなど構造的にDSになる必要があるが、当社の構造ではDSにはなれない。価格志向から生活提案型に店舗運営を戻す必要があった」と第1四半期の苦戦を総括する。

<刺身以外にサラダでの食べ方を提案する鮮魚コーナー>

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「サービス、品揃え、鮮度、おいしさ、そして、売場の提案力」。大高社長は繰り返し、この点を強調した。生鮮食品の鮮度と惣菜のおいしさを基本に、旬や食べ方を提案、加工食品・住居用品といった部門の垣根を越えた商品の用途別陳列を採用するなど、食の提案を強化する。

<おむすびの素、ふりかけに加え、おにぎりの型も定番で併売する>

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「店舗の売上の80%、荒利の95%はロイヤルカスタマーである固定客がもたらしている。チラシで集まるチェリーピッカーの売上で15%程度、荒利はマイナスだ。サービス、品揃え、鮮度に加え、売場提案でロイヤルカスタマーを増やしたい」(同氏)という。

<集客力の柱のひとつ、子会社ライフフーズが運営する惣菜売場>

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昨年から、折込チラシの配布を週1回(木または金曜日開始で日曜日まで)に削減。土・日に店頭で月~水曜日までのチラシを手配りで配布する。手配りチラシにはチラシ期間のみに使える1割引き券をつけ固定客づくりを強化している。

<パート社員が商品を選定して本部で作成される手書き風POP>

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「固定客づくりには個店経営は不可欠だ。『自分たちで仮説を立て、実行、検証する』といった企業風土をつくりたい」(同氏)というように、ことし6月からはパート社員が地域商材や特徴のある商品を選び出し、手書き風POPで売り込みをする取り組みも始まった。

<こだわり商品も突き出しPOPを活用し積極的に展開する>

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ローコスト運営の取り組みとして、栃木祝町店はオール電化を採用し、LED照明、インバータ冷凍機、氷蓄熱システムを採用するなど省エネに配慮する。

2008年9月から開始した新店舗組織を踏襲し、店長に加え、生鮮3品を統括する副店長1名、住居用品と加工食品のマネジャーを兼務する副店長1名、レジマネジャーを兼務する業務統括1名を配置する部門横断型の店舗運営を採用している。

さまざまな施策の成果もあり、第2四半期は、売上高1693億円(0.7%減)、営業利益40億円(18.9%減)、商品粗利率26.1%(0.5ポイント減)にまで回復してきている。

大高社長は「1%でも良いから数字がでれば必ず会社は良くなる。生活提案型は難しいやり方だが、理念と哲学をもってこれをやりぬく」と語った。

<ヨークベニマル栃木祝町店レイアウト>

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店舗概要
所在地:栃木県栃木市祝町6-28
TEL:0282-20-1821
店長:大平恵市
敷地面積(全体):1万4447㎡(4370坪)
延床面積(ヨークベニマル):2951㎡(893坪)
売場面積(ヨークベニマル):1994㎡(603坪)
駐車台数:168台、構造:鉄骨造平屋建て(バリアフリー新法認定店舗)
営業時間:午前9時~午後10時(年中無休)
年商見込:17億円、食品レジ台数6台
テナント:惣菜、寿司、ベーカリー、クリーニング、ATM1台(セブン銀行)
従業員数:110名(正社員17名、地元採用者93名)
取扱品目:合計1万4000~5000品目
売上構成比:青果11.9%、鮮魚10.0%、精肉12.2%、加工食品27.5%、デイリー20.0%、衣料品0.5%、住居用品3.6%、惣菜(ライフフーズ)13.8%、テナント0.5%

■ビジュアル店舗紹介
<JAしもつけの20人の生産者が供給する地場野菜コーナー>

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<カット野菜、もやしは精肉部門の中華商材と一緒に棚割りする>

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<サツマイモでは、住居用品の電子レンジでふかす容器を併売する>

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<鮮魚厨房は加熱用(切り身)と生食用(刺身)を壁で隔て衛生管理を強化>

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<精肉では、料理用途別に人数と分量の目安を表示する>

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<ローストビーフ、馬刺しなどおつまみ商材をコーナー展開>

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<冷蔵ケース前に小型の突き出し什器で調味料を陳列、関連販売を強化>

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<栃木祝町店の地権者である滝沢ハムの商材をコーナー化、地元対応をする>

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<惣菜売場に新規導入された「きょうのおばん菜」コーナー>

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<ベーカリーコーナーでは昨年からブームのロールケーキを継続して強化>

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<地元商材は地元自慢のPOPでカテゴリーごとに集合陳列>

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<セブンプレミアムは約1000品目、商品構成比は、加工、デイリーとも約10%>

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<塩、タッパー、漬物の素を定番売場で集合展開、用途別陳列する>

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<サービスカウンター前に量り売りの焼酎を展開、対面販売に対応>

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<主通路のエンドには島陳列を差込み、変化のあるエンド展開を演出>

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<定番ゴンドラ内でも売り込み商材は稼動式什器を生かして突き出しで大量陳列>

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<住居用品売場でも用途別陳列を強化、突き出しPOPで用途を分かりやすく訴求>

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<下着売場ではセブン&アイのPBボディヒーターもコーナー展開する>

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<カワチとNSCを形成するが、衛生用品コーナーを展開する>

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<店舗内に持ち込める納品カートで店内作業の効率化を図る>

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