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食品産業センター/大規模小売業の協賛金、従業員派遣、不当値引で調査

2011年06月21日 / 経営

食品産業センターは6月20日、2010年度食品産業における取引慣行の実態調査報告書を公開した。
今年3月から4月に、食品メーカー1800社を対象に、協賛金、センターフィー、従業員派遣、不当値引き・特売商品等の買いたたき、過度の情報開示の要求についてアンケート調査を行い、取りまとめた。
協賛金については、協賛金の要求があった」とする回答は、全体では41.9%となり、最も多かった小売業態は食品スーパー(58.0%)で、ディスカウントストア(50.4%)、ドラッグストア(48.6%)大型総合スーパー(42.9%)が高かった。最も少なかったのは百貨店(21.3%)。
協賛金の種類は、全体では「新規(改装)オープン協賛金」(51.1%)と「チラシ協賛金」(48.5%)が多く、「新製品導入協力協賛金」(45.3%)。
小売業態別の特徴では、百貨店が「チラシ協賛金」がかなり増加(+6.1)し73.5%に。
大型総合スーパーでは、「新規(改装)オープン協賛金」(58.1%、+7.5)、「新製品導入協力協賛金」(58.1%、+5.3)、チラシ協賛金(53.5%、+8.6)がそれぞれ増加し50%を超えた。また、「決算対策協賛金」もやや増加(+4.2)し26.7%となった。
食品スーパーでは、「新規(改装)オープン協賛金」が大幅に増加し66.7%(+15.3)と最も多くなるとともに「チラシ協賛金」(48.9%、+7.8)、「新製品導入協力協賛金」(47.4%、+7.0)、「決算対策協賛金」(26.7%、+6.8)もそれぞれ増加した。
コンビニエンスストアでは、「新製品導入協力協賛金」が減少したものの、依然として60.4%(-7.2)と最も多く、また、「決算対策協賛金」(12.5%、+12.5)が大幅に増加した。
ディスカウントストアでは「新規(改装)オープン協賛金」はやや増加し60.7%(+5.4)、「チラシ協賛金」、「新製品導入協力協賛金」、「決算対策協賛金」がそれぞれ54.1%(+11.5)、50.8%(+10.4)、21.3%(+8.5)と大幅に増加した。
生協では、「チラシ協賛金」が75.0%(+6.7)、「新製品導入協賛金」が36.5%(+14.3)と、それぞれ増加した。
ドラッグストアでは、「新規(改装)オープン協賛金」、「新製品導入協力協賛金」がそれぞれ62.7%、51.0%と、それぞれ50%を超えている。
協賛金要求に対しての対応は、全体では「ケースバイケースで応じている」との回答がやや増加し49.2%(+7.1)となった。
また、「全て応じざるを得ない」+「ほとんど応じている」の合計は47.8%(-5.3)。
一方、「全く応じない」+「ほとんど応じていない」の合計は、その他の小売業を除く全業態で10%を下回った。
食品メーカーの資本金規模別に協賛金要求への対応を、食品スーパーについて見ると、規模の小さなメーカーほど応じざるを得ない傾向が見られる。
協賛金負担の割合は、全ての業態で「変わらない」との回答が最も多くなっている(全体では61.4%)。また、協賛金負担の割合が”減っている”(「大幅に減っている」+「若干減っている」の合計)との回答は、その他の小売業以外の業態で増加した(全体では13.4%、+2.6)。
一方、”増えている”(「大幅に増えている」+「若干増えている」の合計)との回答は、全体では前回調査とほぼ同じ25.2%(-0.9)だったが、小売業態別には、百貨店を除く全ての業態で、協賛金負担の割合が”増えている”との回答が”減っている”との回答を大きく上回っており、食品メーカーの負担感は依然として強まっている状況。
負担した協賛金と販売促進効果については、「協賛金は不当に高い」+「効果は期待できない、もしくは無い」の合計は、全体では50.5%となり、小売業態別には、その他の小売業(65.7%)、ディスカウントストア(55.7%)、百貨店(51.2%)、食品スーパー(51.1%)、大型総合スーパー(50.5%)で50%を上回っている。
具体的事例では、「新規(改装)オープン協賛金」、「新製品導入協賛金」等の要請が常態化しているとの意見が多い。
全体に共通しているのは、「事前連絡がなく、恒常的に値引きされる」、「毎月、数店舗で創業祭を実施しているため、毎月数店舗×3000円の創業祭協賛金を請求される」、「定番だった製品が一旦切られ、半年後に再導入になった時にも新規導入として半額で納品(半額導入)させられる。」といった意見に代表される、根拠が明示されることなく一方的に要求され、納入業者の利益につながらないという恒常化した協賛金への不信を感じさせるものだった。
従業員派遣の要請については、「従業員派遣を要請されたことがある」とする回答は、全体では33.9%、業態別には、ディスカウントストア(46.4%)、食品スーパー(45.0%)、ドラッグストア(43.8%)では40%を超える結果だった。
従業員派遣の要請に対する対応は、全ての業態で「ケースバイケースで応じている」との回答が多数(全体で66.9%)を占めたが、「全て応じざるを得ない」+「ほとんど応じている」の合計は、その他の小売業(32.0%)、食品スーパー(30.7%)で30%を超えた。
資本金規模別に、従業員派遣要請への対応を、食品スーパーについて見ると、規模の小さいメーカーほど「全て応じざるを得ない」+「ほとんど応じている」との合計が高い。
従業員派遣による負担程度は、全体では「変わらない」との回答が68.4%と最も多く、百貨店(83.3%)、ディスカウントストア(73.5%)、コンビニエンスストア(83.3%)、ドラッグストア(71.1%)では70%を上回った。
コンビニエンスストアを除くすべての業態で”減っているとの回答割合が、”増えている”との回答割合を上回ったが、全体では「変わらない」との回答が昨年まで4年連続で増加し、今回も依然として前回とほぼ同じ68.4%を占めるなど、従業員派遣による負担の改善はなかなか進まない状況。
従業員派遣の条件に関する事前協議は、「十分な事前協議はなかった」+「ほぼ一方的に決められた」の合計が、生協(48.4%)、百貨店(44.4%)を除く全ての業態で50%を超え、全体では61.6%となった。
小売業態別には、「十分な事前協議があった」との回答は、その他の小売業(50.0%、+26.9)、ディスカウントストア(34.0%、+12.0)で大幅に増加しているが、一方、コンビニエンスストア(36.0%、-8.4)、生協(51.6%、-4.7)でも減少した。
要請された業務内容は、全体では「小売業者の店舗の新規・改装オープン時等の商品などの陳列補充作業」、「棚替え、棚卸し、店舗の清掃、整理等」(42.1%)が多く、小売業態別でみても、百貨店で「自社商品の接客を伴う販売業務」(46.7%)が最も多くなった以外は、各業態とも「商品などの陳列補充作業」が最も多い結果となった。
なお、「社内事務、レジでの袋詰め等」の業務の要請は全ての小売業態で皆無となった。
日当、交通費等の支給は、「全く出なかった」との回答が、ディスカウントストア(64.6%)、ドラッグストア(61.1%)、その他の小売業(60.0%)、コンビニエンスストア(52.0%)、百貨店(50.0%)において50%以上となり、全体では46.6%であった。
一方、「妥当な額を受け取った」との回答は、全体で11.4%にとどまっている。
不当な値引き・特売商品等の買いたたきについては、商品購入後の値引きや特売商品等の買いたたき等の事例が多数寄せられ、個々の商談の場での課題が浮かび上がった。
不当な値引き要求では、小売業態別には、ディスカウントストア(36.5%)、食品スーパー(34.5%)でやや多く、0%を超えた。
不当な値引き要求への対応は、全体では、「ケースバイケースで応じている」との回答が最も多く44.2%となったが、「ほとんど応じていない」+「全く応じない」の合計(38.6%)が、「全て応じざるを得ない」+「ほとんど応じている」の合計(17.2%)を上回った。
「ギフト(中元、歳暮)が終了後、解体セール用の不当な値引き要求をされる」、「セール残を値引きし見切り代として事後に要求」、「自社で決めた販売期限をオーバーすると処分販売をし、その負担を問屋を通じて請求してくる」といった「大規模小売業告示」で禁止行為とされている商品購入後の値引きの事例が寄せられている。
具体的な事例としては、「通常考えられない特売売価を設定し、その売価に応じた卸価条件を要求される」「当社はEDLPだからというチェーンが増えており、通常時の値引き15~18%は当たり前、特売時は30%以上の値引きを強いられる」「一部特売しただけで、そのアイテムすべてを特売条件に当てはめて値引きする」などの意見があった。
また、新規納入時の納入値引きについて、半額納入を要求されたとの事例が多数あった。
過度に詳細な情報等の開示要求が「あった」との回答割合は、わずかに減少しているものの、依然として多くの業態で30%を超えており、要求への対応については、「ケースバイケースで応じている」が多くなっている。
具体的事例では、「配合比や原料仕入れ先の明記については、社外秘、会社のノウハウが詰まっているのに開示要請がある」、「製品のスペック、配合割合、原材料の商品名までカルテに記入しなければ、基本的に商品採用はない」等の事例が多数あった。
ノウハウ等を含む過度に詳細な情報・社外秘情報などの要求を受けたことが「あった」との回答は、全体では31.8%であった。
業態別に見ると、生協(45.3%)、大型総合スーパー(36.5%)、食品スーパー(35.5%)、コンビニエンスストア(31.4%)で、「あった」との回答割合が30%を超えた。
要求への対応については、「ケースバイケースで応じている」との回答が全体では44.0%で最も多く、小売業態別に見ても全ての業態で最も多くなっているが、生協は「全て応じざるを得ない」+「ほとんど応じている」の合計が45.9%と45%を超え、他の業態と比較して高い割合となっている。
具体的事例では「納入を前提として書類を提出したのだが、それには製造方法の記載があり、後日、同じ製法で別のメーカーからPBとして発売されていた」、「配合比や原料仕入れ先の明記については、社外秘、会社のノウハウが詰まっているのに開示要請がある」、「製品のスペック、配合割合、原材料の商品名までカルテに記入しなければ、基本的に商品採用はない」との事例が寄せられており、原材料の配合比率や製造工程等の開示の要求が、過度に詳細である、との意見が多数あった。
まとめで、同センターでは、大規模小売業者には、改めて「大規模小売業告示」、「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」等の内容を確認し、遵守することを強く求めたいとしている。
■センターフィーの関連記事(LNEWS)http://www.lnews.jp/2011/06/41316.html
■大規模小売業告示http://www.jftc.go.jp/pressrelease/05.june/05062901.html
■改正独占禁止法http://www.jftc.go.jp/dk/h21kaisei/h21kaisei.html
■優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方http://www.jftc.go.jp/pressrelease/dksonota.html
■調査報告書http://www.shokusan.or.jp/sys/upload/454pdf4.pdf

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