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公取委/テレビ通販の表示チェック体制の実態調査報告まとめる

2009年07月30日 / トピックス

公正取引委員会は7月29日、「テレビ通販における表示チェック体制等に関する実態調査報告書」を取りまとめ発表した。

テレビ通販番組や広告の制作過程、表示チェック体制を調査し、公正取引委員会の消費者モニターからテレビ通販番組などの表示方法などに関する意見を収集・整理したもの。

調査結果によると、ヒアリングを行った通販事業者には「番組などで紹介する訴求ポイントなどは他部門から完全に独立した組織が表示チェックを行う」、「商品の効果・性能や品質,原産国に関する情報は、取引先に対し合理的な根拠となる資料の提出を求め、必要に応じ自ら第三者機関に検査を依頼する」、「商品提案時に持ち込まれた商品サンプルの検査を行うだけではなく放送前の段階で、実際に販売する商品の抜取り検査を行い、番組で放送される表示と商品の品質などの間に相違がないか確認する」などの取組が見られた。

反面、自主的なルールに反して取引先に表示の根拠資料の提出を求めなかった、提出された資料が表示の訴求ポイントの合理的根拠となるか否かの検討を行っていなかった、現に調達した商品が根拠資料やサンプル品に合ったものであるかを確認していなかったなどの例も見られた。

これらの背景は、表示チェックの仕組みがあっても、それが機能していなかったためではないかと見られている。

チェック体制が事業者自身の事業実態からみて実効性がない、ルールや体制の存在、これを遵守しなければならないことが従業員に十分周知されていない、景品表示法等の理解が不十分で、表示チェックのルールが何のためにあるのか、どのような点をチェックしなければならないのかを十分に考えることなく漫然と決められた作業を行うか、逆に不当表示の発生の可能性をもたらす行為を意図せずに行っている、なども要因として考えられるという。

一方、消費者モニターのアンケート調査では、約97%の消費者モニターがテレビ通販番組を視聴したことがあると回答した。

実際にテレビ通販を利用して商品購入の経験があると回答した消費者モニターは視聴経験者の3割にも満たず、一般消費者はテレビ通販番組の視聴の状況に比べて実際のテレビ通販の利用の頻度は小さいと認められる。

利用しない理由では、消費者モニターの過半数が「表示どおりではないと思うから」、「商品内容がよく分からないから」と回答。回答者の中には,「メリットばかりを繰り返すため信用できない」、「効果などの根拠が分からない」、「商品自体の説明が少ない」などの意見が見られた。

また消費者モニターからは表示方法などについて、「支払や返品に関する重要な情報は、十分な時間を割き,大きく見やすい文字で表示し、音声で明りょうに説明してほしい」、「購入後に部品を定期的に交換するなどの必要がある商品は、部品の交換費用やメンテナンス費用など購入後に掛かる費用についても具体的・明瞭に表示してほしい」、「なぜその効果や性能があるのか、根拠となるデータなどを示しつつ文字や音声で分かりやすく説明してほしい」などの要望も見られた。

調査方法はテレビ通販番組などの制作や放送に関係する41事業者と事業者5団体にヒアリング調査を行い、消費者モニター1091人にもアンケート調査を実施した。回収率は87.5%。

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