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セブン-イレブン/公取委の排除措置命令に見解を発表

2009年06月22日 / 経営

セブン-イレブン・ジャパンは6月22日、公正取引委員会による独占禁止法に基づく排除措置命令を受け、見解を発表した。

同社は、公取委より、独占禁止法第19条(不公正な取引方法第14項〔優越的地位の濫用〕第4号に該当)の規定に違反する行為を行っているとして、排除措置命令(以下命令)を受けた。なお、加盟店との基本契約書の条項について、変更を求められているものではないとした。

公取委の調査で焦点となった「見切り販売の取りやめ」について、加盟店との契約書において「価格の決定権は加盟店オーナー様にある」ことが明記されている。公取委より、加盟店への経営相談サービスにあたり「行き過ぎがあった」との指摘があったという。

同社では、排除措置命令を受けた事実、指摘について、真摯に受け止めている。昨年10月30日の公取委の調査開始以降、調査に全面的に協力するとともに、セブン-イレブンのフランチャイズ事業の本質、経営相談サービスの実態、その背景となる考え方、見切り販売の結果生じる一物二価に対して強い懸念を示す多くの加盟店オーナーの意見などについて、同社見解を公取委に説明してきたとしている。

本命令は、命令内容のさらなる精査の上、このような多くの加盟店オーナーも含めた第3者の意見なども踏まえながら、慎重に検討したいと考えているとしている。

同社は、創業以来の理念である「既存中小小売店の近代化と活性化」「ネットワークシステムの高度化」「共存共栄」に基づき、一貫してお取引先様、そして多くのセブン-イレブン加盟店オーナー様とともに、補完し合いながら一体化した事業基盤を構築することで、お客様満足度向上を図ってきたいう。

加盟店オーナーと一体となってこの厳しい経営環境を乗り越えるため、信頼関係をより一層強固にするとともに、加盟店オーナーの満足度をさらに向上すべく、然るべき施策を展開していくとしている。

また、食品廃棄についても大きな経営課題として捉え、商品の需要予測の精度を高めることにより無駄なロスをいかに少なくするかを追求する一方、食品廃棄のリサイクル活動を推進するなど、さらなる対策を実施していくとしている。

公正取引委員会からの排除措置命令に関する同社の見解の詳細は下記の通り。

1.命令への見解と今後の対応について
・「見切り販売の制限」は、本部と加盟店様との間で全体的且つ日常的に発生した事象ではないと、認識している。今回の命令において、全国1万2323店舗(5月末)のセブン-イレブンのうち、デイリー商品の見切り販売を制限していたと公取委から説明を受けた店舗の数は34店舗だった。

・多くの加盟店オーナーから、見切り販売に対し反対の意見をいただいている。また、多くの加盟店オーナーが見切り販売は、見切り販売により一物二価になってしまう、恒常的な値下げは結果的に店の信頼を無くしてしまう、かえって加盟店オーナーの利益を下げてしまう等、反対の意見や強い懸念を持っているという事実は、無視されるべきではないと考えている。

・命令の内容を詳細に検討したうえで、今後の対応を決定する。今回の排除措置命令を受けた事実については、これを真摯に受けとめている。また、反省すべき点、改善すべき点があれば、早急に是正し、実施する考えである。しかしながら、今回の排除措置命令に対する今後の対応については、他の大多数の加盟店オーナーの考えも十分配慮する必要もあるので、現時点では決定していない。今回の排除措置命令の内容を詳細に検討した上で、今後の対応を決定したいと考えている。

2.デイリー商品の見切り販売について
・安易な見切り販売は、中長期的に加盟店様の利益にはならない。
(1)コンビニエンスストアのビジネスモデル
コンビニエンスストア事業は、いわゆるディスカウント商法とは根本的に異なる。また、単品管理の徹底により、小規模店舗における生産性向上にひたむきに取り組んできた業態であって、価格ありきではない。

(2)「単品管理」、「発注精度の向上」、「売り切る努力」
24時間営業が基本のコンビニエンスストアにおいて、デイリー商品は、まずはお客様のニーズにあった商品・数量等の需要予測をしっかりと立てて精度の高い発注を実施していくことが重要。商品が店舗へ納品されたあとも、売り切る努力をし、売れ残りが出れば次の発注を変える等して、発注の精度をより高めていく、さらにそれを繰り返し続けることによって廃棄ロスを減らしていく、こういった取り組みが、永続的な加盟店様の利益につながると考えている。

(3)安易な見切り販売をした場合の懸念
販売期限の迫ったデイリー商品を見切り販売することは、短期的に見れば、廃棄ロスを減らし、加盟店様の利益の上昇につながるように感じられるかもしれまない。しかしながら、長期的な視点で見れば、必ずしも加盟店様の利益にはつながらない。安易な見切り販売は以下のような懸念を生じさせると認識している。

1.お客様のセブン-イレブンの価格に対する不信感
同じ時間帯に値下げした商品と推奨価格の商品が並び、「一物二価」となること等で、お客様がセブン-イレブンの価格に対し不信感を生じる恐れ

2.ブランドイメージの毀損
「負の連鎖」が生じ、各セブン-イレブン加盟店様とともに35年間以上培ってきたブランドイメージが毀損されれば、加盟店様の業績にも影響

3.価格競争
ディスカウントストアやスーパー等との価格競争・値下げ競争に巻き込まれる可能性
このように、デイリー商品の見切り販売は、中長期的な視点で見れば、決して加盟店様の利益にはならない。

(4)見切り販売の実態について
また、例えば、加盟店様がデイリー商品の見切り販売をしようとしている場合、その加盟店様がどうして見切り販売を行いたいのか等の事情を伺い、それを考慮した上で、見切り販売を実施している事例もある。

・加盟店が見切り販売をしたことを理由に契約解除したこと、見切り販売を行っただけで加盟店へ警告状を内容証明郵便で送付したことは、一件もない。加盟店が見切り販売をしたことを理由に、セブン-イレブン・ジャパンが、加盟店との契約を解除した例は一件もない。

デイリー商品の見切り販売を制限していたと公取委から説明を受けた34店舗の各々が、具体的にどちらの加盟店であり、どのような状況下で見切り販売の制限があったのかについて、公取委から必ずしも詳細な説明を受けていない。

しかしながら、OFCらが、加盟店に対して、見切り販売を制限したと認定された事例の中には、以下のような事例も含まれているのではないかと考えている。

①デイリー商品が売れ残った場合、これを1円や10円に値下げして、加盟店自らが購入するという事例

②お客様を呼び込むために、あらかじめ見切り販売を行うことを前提として大量の発注を行い、毎日特定の時間に繰り返して見切り販売を行うような事例

なお、見切り販売を行っている加盟店に対して、見切り販売行為に関する警告状を内容証明郵便で送付した等と主張する加盟店が一部いらっしゃるようだが、事実は全く異なっている。事実は、上記のような正常な商慣習に照らし合わせ合理的な行為といえない事例について、これを認めないとする書面を内容証明郵便で送付したということである。こうした間違った主張が行われていることについて、極めて遺憾に感じている。

3.加盟店様とセブン-イレブン・ジャパンとの関係について
・対等な立場で共同事業を営む”有機的組織体”である。
加盟店と当社は、創業以来の「共存共栄」の理念と明確な役割分担に基づき、対等な立場で共同事業を営んでいる。そして、当社では、創業以来一貫して、加盟店の経営の近代化・活性化に寄与するフランチャイズシステムの確立を図ってきた。加盟店と当社は、両者が不可分一体の関係にある”有機的組織体”といえる。言い換えると、強固な協力関係によって共存共栄を目指すものであって、加盟店と当社による共同事業は、地位の優位性といった関係が生じないビジネスである。

・本部は、年間約1,200億円の加盟店支援を行っている。
フランチャイズシステムの重要なベースとなる役割分担は、加盟店において、店舗経営と販売に専念いただいている。一方、本部は、こうした加盟店の店舗経営をバックアップさせていただいている。バックアップの一例として、OFCらによる経営相談サービス、商品開発・商品情報サービス、物流システムサービス、販売設備の貸与、情報システムサービス、広告宣伝活動、会計簿記サービス、水道光熱費の80%負担、加盟者に対する最低保証等が挙げられる。こうした店舗運営をバックアップするために、当社では、年間約1200億円、1店舗あたり年間約1061万円の加盟店支援を行っている。

4.デイリー商品の廃棄ロス原価を加盟店が負担することについて
・フランチャイズビジネスにおける明確な役割分担に基づき、発注する商品・数量の決定権は加盟店にあり、その営業活動で発生する廃棄ロスは、加盟店の負担となっている。セブン-イレブン・ジャパンと加盟店が締結する加盟店基本契約では、廃棄に係るデイリー商品の原価相当額は、加盟店が負担することとされている。これは、コンビニエンスストア事業を共同して営むセブン-イレブン・ジャパンと加盟店の間での役割分担、そして費用分担に関する合意の結果である。

廃棄ロスを加盟店様が負担することとしているのは、どの商品をいくつ発注するかの決定権が加盟店にあることと密接に関係している。お客様にとって欲しい時に、欲しい商品が、欲しいだけある状態を維持するためには、店舗で行われる単品管理を通して、品揃えとお客様の需要とのギャップをできる限り減少させることが必要になる。ほとんどの加盟店は、OFCのアドバイスも受けながら、この単品管理を実践し、廃棄ロスを最小限にする努力をしている。

5.販売期限切れデイリー商品の廃棄について
・デイリー商品の廃棄削減は経営の重要課題と認識するとともに、廃棄削減に向け、「単品管理」「売り切る努力」に注力している。消費期限および販売期限を設けることは、お客様に安心して美味しくお召し上がりいただくために、食品を販売する者に対して、当然に求められる社会的責任であると理解している。

廃棄ロスが生じる大きな原因は、お客様のニーズと仮説に基づく品揃えが合っていない。あるいは陳列や販売の仕方に問題があると捉えている。当社では、デイリー商品の廃棄の削減は、経営の重要課題だと認識している。同時に、各店舗において、販売機会ロスや廃棄ロスの両方を少なくすることが小規模なコンビニエンスストアにとって生産性を上げる最重要課題であるという認識をしている。この理想の姿に近づくために、単品管理を徹底し、検証を通して発注精度を高めることが、何よりも重要であると考えている。

・販売期限を設けることは、ビジネス上、必要不可欠な行為である。
販売期限を過ぎたデイリー商品は、廃棄することになるが、お客様に満足いただける品揃えを保ちつつも、安全な食品をお客様に提供するため、ビジネス上避けては通れないことなのだ。

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