プラネット/田上社長にインタビュー
2013年03月29日 / IT・システム
近年、企業の間で、これまで利用されずに眠っていた膨大な量のデータを生かすための取り組みが進み始めている。消費者の購買履歴や位置情報履歴などの多種多様な情報からなるこれらのデータは「ビッグデータ」と呼ばれ、分析の仕方次第で新たな商機につながる可能性があるとみられている。
こうしたなか、消費財流通業界向けに基幹EDIサービスやデータベースサービスを提供するプラネットが、流通インフラに蓄積されたデータの処理をめぐって新たな取り組みを始めようとしている。2012年10月に48歳の若さで同社の社長に抜擢されて注目を集めた田上正勝氏に話を聞いた。
<田上正勝社長>
――若くして社長に抜擢されたが。
「48歳で社長を任されるとは予想外だった。玉生会長が社長に就任したのが50歳。だから、今の年齢で自分が社長就任を打診されたときは驚いた。しかし、入社以来、会社全体の動きを幅広く観察し、把握するよう絶えず努めてきた。そうしたことも踏まえ、会長なりに次世代へのバトンタッチを図った結果だろう」
――社長として取り組みたいことは。
「まずは、これまでのEDI、データベースといった流通のインフラサービスをしっかり運用していかなければならない。しかし、同時に新たな展開も考えている。私自身は当社への出資企業を出身母体としておらず、中立的な立場にあることで、業界全体に新たな提案をしやすくなったという実感がある」
――業界に対して行っている、新たな提案があるのか。
「まだ具体化はしていないが、『見える化』サービスというものを提案し始めたところだ。これまでEDIやデータベースなどのサービスを運用するなかで、決して『見る』ことのなかった膨大な情報を関連企業の了解のもと、ひとつに集約することができれば、『見えて』くるものがあるのではないかと考えている。そこから『ビッグデータ』のように情報を取り出すことをイメージしている」
――「見る」ことのなかった膨大な情報とは。
「それぞれのメーカーなどが持つEDIのトランザクションデータなどだ。たとえば、当社のサービスを利用している各企業は、小売業への商品の販売実績データを店別、商品別で、それも全国にわたるレベルで蓄積している。こうした小売業などへの販売実績データをひとつに集約すると、マーケティングデータに近いものになるのではないかと考えている」
「実は、こうした情報をもとに流通の施策に役立つサービスを提供してほしいといった要望は、これまでもメーカー側から度々寄せられていたのだが、別の場所にデータを集約するのに多額のコストがかかるなど、高いハードルがあったために実現できなかった。しかし、現在はこうした処理にかかるコストも安価となり、実用化の条件が整いつつある」
――現状では、マーケティングの際にPOSデータ(店頭販売データ)が利用されるケースが多いようだが。
「その通りだ。販売実績データがPOSデータにとってかわることはできないだろう。しかし、POSデータと違い、販売実績データは日々、全国規模で情報を集められるという利点がある。これらを集計し、POSデータとのギャップを比較することで、今よりも精度の高い『拡大推計』が可能となるのではないか」
――POSデータと販売実績データを集約することで、今までにない情報ソースを得られるということか。
「そういうことだ。POSデータと販売実績データは、従来からそれぞれ単体で活用が図られてきたが、これらを幅広く集約しシェアすることで、様々な可能性を含んだ情報ソースに変化し得るのではと考えている。それを元に各企業が新たな戦略を練ることで、市場や店頭が変革する一助になるのではないかと期待している」
「たとえば、化粧水というカテゴリが全国で、あるいは地域ごとに、あるいは個店ごとにどれくらい売れていて、その中で自社のシェアはどれくらいかがわかれば、『全体からみてどうなのか』という視点に立った上で、戦略を立てることができるようになる。これまで個店ごとに、自社商品の範疇(はんちゅう)でしか結果検証できなかったのが、他店も含めた全体像を把握した上での検証ができるようになれば、新商品の出し方から、どの店に集中したらいいのかといったレベルの話まで、戦略の立て方が変わってくるはずだ」
――その結果、市場のあり方や店頭の様子が変わってくるということか。
「現状では、店頭が同質化し価格競争が行われているため、各店とも“仕入れても思うように売れない、利益が出ない”という状況に陥っているのではないかとみている。メーカーは自社のブランドや製品の個性をより生かせる店に注力して展開したいが、どこに注力したらいいかが現状では分からない。ここで必要な判断材料が得られれば、それを元に各店が工夫して、もっと店頭に特徴を出せるようになるのではないか。そのほうが、生活者にとっても、小売業にとっても、卸売業やメーカーにとってもいいはずだ」
<インタビューに答える田上社長>
――業界全体にメリットのあるサービスを考えているということか。
「自社の利益のみを考えているのでは、こうしたサービスは普及しない。業界全体に利益があり、マーケット自体の拡大を促すような次世代の流通インフラとなり得るものを考えている。まずは、『世の中、こんなサービスがあったらよい』という総論の部分で関係各社からの合意を得ることができればいい。サービスの提供や運用に関しても、必ずしも当社だけが関わる必要はないと思っている。当社でできるものもあれば、別会社に任せるものもある。新たに会社をつくる必要があれば、それも選択肢のうちだ」
――「見える化」サービスの提案、実現にあたり、ポイントとなるものは?
「タイミングが重要だ。その点では、業界が次の一手を模索している今が、まさに適した時期だととらえている。マーケティングデータやビッグデータといった、業務効率化以外のものに1社単独でシステム投資を行うのは、費用対効果を考えるとなかなか難しいと思う。そうであるならば、当社がリスクをとってやってみようということだ。『見える化』サービスによって、人間の想像力では不可能なシミュレーションを行い、新たな発見があるようなものにしたいと考えている」
――最後に、社長としての抱負を。
「流通業界の“製(メーカー)・配(卸売業)・販(小売業)”に対して、流通合理化に資するようなインフラサービスをつくっていくのが自身の役割だと思っている。時代が変わり、ネットを取り巻く環境が変わり、店頭も変わっていくかもしれないが、どんな時代になっても、情報に基づいた業務を行う機会が、今後ますます増えてくるはずだ。そうしたなかで、業務に関わる情報が混乱しないようにうまく整理し、利用してもらえるような仕事をしていきたい」
株式会社プラネット:
企業間取引に用いるEDIやデータベースの構築・運用などを中心に事業展開するサービス運営会社。1985年に、ライオン、ユニ・チャーム、資生堂などの大手化粧品・日用品メーカー8社とIT企業のインテックが出資して設立された。2012年7月期の売上高は26億7500万円、営業利益は6億7000万円。
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