紀ノ国屋/entree GRANST DINING店
2010年12月28日 / 店舗リポート
紀ノ国屋は12月4日、東京都中央区のJR東京駅構内に開業した商業施設「グランスタダイニング」内に「KINOKUNIYA entree GRANST DINING(キノクニヤアントレグランスタダイニング)店」を開店した。
<KINOKUNIYA entree GRANST DINING店>
東日本旅客鉄道は4月1日付で、紀ノ国屋を100%子会社化しており、JR東日本グループ入り後の初出店。売場面積は約103㎡(31坪)の小型店での出店となった。
<菅野研也社長>
12月2日に報道関係者向けに開かれた内覧会で、菅野研也代表取締役社長は「当社の創業100周年、JR東日本グループ入り後の初出店と節目の店舗。今後の出店を考える上でのモデル店舗として位置づけている」と語った。
店舗のデザインコンセプトは「懐かしくて新しい」で、木を基調としながら、明るく開放感のある造りとした。
<エキナカ需要にあわせ弁当を強化>
取扱品目は約1000品目で、グランスタダイニングのコンセプトである「日本の台所」に合わせて和の商材を強化したという。お弁当では駅弁需要に対応して、味の浜藤、とんかつまい泉、wanofu、といった外食企業と紀ノ国屋でコラボレーションした弁当を展開する。
価格帯は1500円前後が中心。「通常の駅弁の売れ筋価格帯は1000~1200円程度だが、こだわりを含め1500円以上にも挑戦している」(同氏)。一方で、オフィスのランチ需要を見込み380円で、女性向けのランチ弁当も展開する。
<レジ前のプロモーションでPBクッキーや独自商品を展開>
東北新幹線の青森駅の開業に合わせ、青森産のりんごを使用したりんごのツインパイン(税込1000円)を開発。自社工場のパン・クッキーも展開しPB比率を40~45%程度に高めた。
<主力商材のひとつ自社工場製のパン>
菅野社長は、「通常の路面店ではPB構成比20~25%程度、地下鉄で展開しているOMO業態では30%程度。アントレとはフランス語で入口という意味がある。この店舗での買い物をきっかけに路面店などの紀ノ国屋を利用するきっかけにしてもらいたい」という。
PBの中でも自社工場で作られるパンを主力商材のひとつに位置づけ、店舗の壁面に木製の専用什器で約50品目を展開する。
同社は、キノクニヤベーカリー小田急新宿店(新宿区)、KINOKUNIYA Salut!東武池袋店(豊島区)、三鷹KINOKUNIYA(三鷹市)と都内に3店舗のベーカリー専門店を展開、ベーカリーは競争力のあるカテゴリーとなっている。
<生菓子でも自社工場のプリンやどら焼きを展開>
ベーカリーのほかにも、同社では豆腐やデザートなど日配食品の製造工場を所有し、オリジナル商品を展開している。PB構成比を高めることで、工場稼働率を向上させ企業としての収益性を高める方針だ。
また、自社の店舗以外でもPB販売を強化するために、社内に催事のプロジェクトチームを設置。
8月にエキュート品川で催事を開催したのを皮切りに、12月1日から25日まで、埼玉県さいたま市の伊勢丹浦和店の2階レディスフロアの催事スペースでエコバックを中心とした催事を実施。12月中旬からは、北海道札幌市の札幌三越でも催事を開いた。
2006年7月に提携した高島屋との取り組みも継続し、百貨店での催事を拡大する予定で、将来的には、紀ノ国屋のPB売場を他店でコーナー展開するパッケージ提案を目指し、PBの卸売機能を拡大する計画だ。
<飲みきりサイズの容量を強化した酒類売場>
エキナカ出店を踏まえ、もうひとつの主力としている酒類の品揃えでは飲みきりサイズのクオーターボトルや缶入りワインなどを強化した。
つまみとなるような米菓に加え、簡単なオードブル的な商材も冷蔵ケースで並列して展開し、気軽に電車で酒類が楽しめる棚割りとした。
<お菓子との相性に基づきワインとお菓子を併売>
一方で、「エキナカ出店とはいえ、紀ノ国屋の主力業態は食品スーパー。ワインと食のマリアージュをきちんと提案したい」(同氏)との考えからワインでは、POPを活用しお菓子との相性を紹介。
ワインとお菓子を併売することで、ワインと食の相性提案に基づいた買い合わせができる工夫をした。
<エコバックも壁面の専用什器で豊富に品揃えする>
雑貨類はほとんど取り扱っていないが、紀ノ国屋が1995年から取り扱っている定番のエコバックは、PB商品のひとつとして壁面に専用什器を用いて20種類程度を展開、紀ノ国屋ブランドを訴求する。
路面店の紀ノ国屋の客単価は店舗によって、3000円~5000円ぐらいの幅で推移しているが、エキナカは買上点数が低いため1000円台の客単価を想定する。
<グランスタダイニングでの紀ノ国屋の配置図>
今後の出店については、決算期末を迎える3月頃までを目途に、数店舗をエキナカや駅関連施設に生鮮食品のないOMOやentreeといった小型店を展開する計画だ。
小型店の売場面積は、OMO Echika表参道の約30坪から、entree エキュート立川店の約70坪まで規模はまちまちだが、OMOは地下鉄関連の駅商業施設での出店、その他はentreeの看板で出店する計画だ。
親会社のJR東日本グループとの人事交流もはじまっており、紀ノ国屋には菅野社長を含め4人の役員と2人の部長がグループから派遣された。
逆に、紀ノ国屋からエキナカ商業施設エキュートを運営するJR東日本ステーションリテイリングに2名を2年間限定が出向。JR東日本の生活産業部門を担う事業創造性本部にも3名を出向させ、地域産品の発掘なども行う地域活性化プロジェクトに参加しているという。
菅野社長は「親会社からの人材面でのバックアップは厚く、紀ノ国屋に対する期待は高い。紀ノ国屋の従業員にはもっと外の世界も知ってもらい、元気と厳しさをもって会社を良くして行きたい。数年は小型店の出店が続くが、いずれは生鮮食品まで扱うフルラインの紀ノ国屋の出店も再開したい」と今後の目標を語った。
店舗概要所在地:東京都千代田区丸の内1-9-1JR東日本東京駅構内1階GRANSTA DINING内店舗面積:102.96㎡(31.14坪)従業員数:社員3人、パート・アルバイト17人、合計20人レジ台数:3台営業時間:6時30分~22時30分取扱品目:約1000アイテム(パン50、弁当30、調味料20、酒200、飲料50、エコバック・雑貨30、日配品50、米菓・和菓子100、生菓子20、その他450)
■ビジュアル店舗紹介<地下1階のグランスタからの上りエスカレーター前に立地>
<ガラス張りの什器で陳列商品の背面を見せる陳列とする>
<贈答需要に対応するため、ワインバックも関連陳列>
<ワインは強化カテゴリーでワインセラーも設置>
<冷蔵ケースの缶入りワインでもつまみとの相性提案>
<グラス付きの商品を導入し、電車内での飲酒に対応する>
<生ハム・チーズなど洋日配を強化>
<米菓を中心に日本全国の和菓子を集合>
<食べ切りサイズのこだわりのあられをコーナー展開>
<180mlや200mlなど小容量を商品を強化した飲料売場>
<エキナカで売れ筋雑貨のハンカチは専門店の商品を導入>
<レジ3はSuicaとクレジット決済に対応する>
<30坪の売場面積に合わせ小さめのかごを用意>
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