紀ノ国屋/16のプロジェクト開設、経営改革を本格始動
2010年12月08日 / 経営
2010年4月にJR東日本の100%子会社となった紀ノ国屋はこのほど、社内に16のプロジェクトを設置して経営改革を本格始動した。
9月に8つ、10月に8つと2回に分けて、社内の部長・課長クラスの人員を中心に1テーマにつき4~5人の単位でプロジェクトを立ち上げた。
ビジュアルマーチャンダイジング(VMD)、プライベートブランド活性化、外商、商品部、催事などをテーマに各プロジェクトを設置した。
菅野研也社長は「いま、紀ノ国屋に足りないものは、まず『元気』、次に原価や売上といった面での『厳しさ』だ」と語った。
12月4日、東京駅構内の商業施設「グランスタ ダイニング」内に開店した「KINOKUNIYA entree GRANST DINING(キノクニヤ アントレ グランスタ ダイニング)店」の開店に際し、本誌の取材に答えた。
<新店の挨拶で気合を入れる菅野研也社長>
「元気がまず必要」と語る菅野社長は、東京駅での開店にあたり、従業員に「今日は一日、とにかく明るく元気に頑張りましょう。イチ、ニ、サン、ダーのかけ声で気合を入れましょう」と呼びかけた。
JR東日本の傘下に入り、人事交流などの親会社からのバックアップも始まっている。菅野社長を含め、取締役経営企画室長、取締役業務企画本部長、店舗事業部営業企画部部長の4名がJR東日本から出向。取締役店舗事業本部本部長には、ジェイアール東日本フードビジネスからの出向者が就任。経営企画室担当部長も日本レストランエンタプライズから派遣された。
菅野社長は「親会社から、これほど人材のバックアップがあるのは驚いた。それだけ紀ノ国屋に対する期待は厚い」と語る。
紀ノ国屋からも、エキナカ商業施設エキュートを運営するJR東日本ステーションリテイリングに2名を2年間限定で出向させた。親会社のJR東日本の事業創造性本部にも3名を出向させ、地域産品の発掘などを行う地域活性化プロジェクトなどに参加しているという。
「紀ノ国屋以外の世界を知らない社員も少なくない。外部との交流をすすめ広い視野をもってもらいたい」と、菅野社長の出身母体でもあるエキュートの接客研修の見学も実施した。
<歩道からの店内の見晴らしを良くした国立店>
プロジェクトの中でも、特に力をいれているのがVMDだ。菅野社長自らが陣頭指揮を執り、プロジェクトを推進。例えば、東京都国立市の国立店では大きな歩道に面している店舗の特徴を生かし、ガラス張りの壁面を整理し、路面からも店内の様子がわかるようにした。
催事プロジェクトも具体的に始動した。プロジェクトチームの結成前の8月にエキュート品川で催事を実施。エキナカだけでなく百貨店の売場での催事も企画する。
12月1日から25日まで、埼玉県さいたま市の伊勢丹浦和店の2階レディスフロアの催事スペースでエコバックを中心とした催事も開いている。12月中旬からは、北海道札幌市の札幌三越でも催事を開く。
「催事の内容は、出店先の要望も踏まえ柔軟に対応する」としており、食品だけでなくエコバックなど幅広い商品を催事で展開する計画だ。
催事プロジェクトでは、紀ノ国屋の商品を他の食品スーパーなどに卸売することも検討されている。これまでもベーカリー、肉、豆腐などプライベートブランドを一部、卸売しているが、商品を拡大し、コーナー展開で紀ノ国屋の商品を販売することを目指す。
9月の中間決算を踏まえて、菅野社長は10月から各店舗と事業所を回り、従業員に対して会社の業績説明を実施。会社の状況を説明した上で、ABC運動を推進しているという。
ABC運動とは、「当たり前のことを、バカにせず、ちゃんとやろう」の頭文字をとったもので、紀ノ国屋では、当たり前のこととして「あいさつ、店舗の清潔感、欠品防止」を意味する。
菅野社長自身がJR東日本に在社中に、細谷英二りそなホールディングス取締役兼代表執行役会長(元JR東日本副社長)から教わった活動だという。
紀ノ国屋は、今年度中にも駅を中心に2、3店舗の出店を計画している。菅野社長は「プロジェクトは開始したばかり。それぞれの成果を目指し頑張って行きたい」と語った。
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