ニトリは2月6日、池袋サンシャインシティ内の商業施設「アルパ」地下1階に「ニトリデコホーム池袋サンシャインシティ店」をオープンした。山手線内への出店は初めて。
5日、関係者向けに「ニトリデコホーム」として初の内覧会を開催した。
「ニトリデコホーム」は中型商圏をベースに約1500坪を標準フォーマットとする「ニトリ」に比べ小商圏で出店できる小型店フォーマット。売場面積は1000㎡(350坪)以下で、購入頻度が少ない家具の扱いがなく、基本的に商品の配送サービスはない。購入後、直接、持ち帰ることができる商品を中心に販売する。
郊外ロードサイド型店舗を主力とする「ニトリ」では、車を運転できなければ来店することができないため、ニトリを知っているが、買い物をしたことがないお客が生まれていた。
駅前やショッピングセンターなどへ出店できる「ニトリデコホーム」を開発したことで、「ニトリ」の店舗に用事がなくとも、通勤通学や買い物の途中などに店舗へ立ち寄る機会を設け、ニトリが開発したキッチン用品、食器、カーテン、ホームファニシングなど、売れ筋の商品を訴求する。
小林克成デコホーム事業部マネジャーは「これまでは、わざわざニトリに買い物に来てもらっていたが、デコホームは、気軽に立ち寄ってもらえる場所に出店している。ニトリが自信を持って提案できる食器やキッチン用品を知ってもらうきっかけを作りたい。カーテンやソファ、布団のカバーも豊富にそろえてあり、季節の気分にあわせて、部屋のコーディネートを変える生活も提案したい」とデコホームの利点を解説する。
「ニトリ」の客層は30代~40代が中心だが、「デコホーム」では、30代~40代の構成比が下がり、10代や50代の構成比が上がっている。人の往来が多い施設に出店しているため、車の運転のできない人、スーパーに買い物に来た人など、これまで、「ニトリ」を利用していなかった客層を取り込めているという。
2011年2月11日、「ニトリ」の既存店の「ララガーデン川口店」(埼玉)、「クロスガーデン多摩店」(東京)、「フルルガーデン八千代SC店」(千葉)を同時に「デコホーム」にリニューアルして出店を開始した。
当初は、従来のホームファッション商品に加え、ヘルス&ビューティーなどの「ニトリ」にない新しい商品も品そろえし、カジュアルモダンをテーマに「ニトリ」と差別化を図る新フォーマットを目指していた。
1号店の出店から4年を経て、商品政策を変更した。店舗名称に「ニトリ」を含むため、オリジナル商品ではなく、既存の「ニトリ」が打ち出している売れ筋商品を訴求する形式に改めた。
小型店のため、取扱商品部門を絞り込み、食器を中心としたダイニング用品、フライパンなどのキッチン用品、トイレ用品、バス用品、洗濯用品、インテリア小物、マット、スリッパ、カーテン、収納・簡易家具、寝具・寝装品、座イス・クッションを販売する。
家具や大型収納品などを扱わないが、取扱商品部門では、可能な限りフルラインの品ぞろえを展開。ニトリが開発したまだ、認知度が高くない、食器やキッチン用品、布団カバーなどを訴求する。今回は、競合店にホームセンターがないため、清掃用品の品ぞろえも強化した。
池袋サンシャインシティ店は、2014年10月31日に閉店した「ユニクロ池袋サンシャインシテイ店」の跡地に、売場面積約200坪で出店した。ユニクロ以上に店舗のバックヤードを削減し、売場面積を確保し、「ニトリ」に比べて店頭陳列在庫を削減することで、ラインごとの展開アイテム数を維持し、常時約4000アイテム程度を品ぞろえする。
通常の「ニトリ」では、フライパンや鍋は黒一色の品ぞろえだが、「ニトリデコホーム」では、黒のほか赤、白も展開。一部でオリジナルの色合いの商品を展開することで、より親しみやすさを訴求する。現在、デコホームのオリジナル商品比率は7~8%程度となっている。
オリジナル商品を販売する場合は、店舗数のスケールメリットがなければ、割高の商品となるため、店舗数が50店、100店と拡大した時に、オリジナル商品の本格展開は検討するという。
商品展開は、季節提案を基本とする。春先は引越しシーズンでもあり、新生活を提案、夏は冷感素材を使用した機能性商品、冬はこたつ布団、クリスマスグッズなどを訴求する。季節の端境期には、キッチン、収納、バス用品など、季節要因が少ない商品を打ち出していく。
「ニトリ」では、陳列什器にハイゴンドラを採用し、最上部には商品在庫や販促物を配置している。「デコホーム」では、既存店よりも低めの什器を採用した。
池袋サンシャインシティ店では、店舗入口側は高さ1500mmの什器を採用、店舗後方でも1800mmの什器を採用し、最上部の販促物も極力少なくすることで、見通しが良く圧迫感がない店舗を演出する。
店舗面積は、150坪から350坪まで、さまざまな大きさがあり、標準フォーマットはまだ確立していない。2014年10月29日に、「ヨドバシ吉祥寺」に出店した店舗は、施設の6階に出店し、売場面積は146坪と小型だが、好調な売上をあげており、「ニトリの商品を初めて購入した」というお客も多いという。
車を運転せずに、電車で生活する都心部では、まだ「ニトリ」で買物をしたことのないお客も多く、まだまだ、出店余地があると見込んでいる。
設定商圏は、当初は10万人前後を想定していた。しかし、郊外型ショッピングセンター、駅ビル、都心のショッピングセンターなどさまざまな立地に出店しており、現在は商圏を特に決めていない。
フリースタンディングの単独出店ならば、自社で設定商圏を決めることができるが、ショッピングセンターなどのテナント出店では、商業施設自体がもつ商圏がある。都心のターミナル駅に近い商業施設では、小型店でも超広域商圏ということがある。
郊外型ショッピングセンターでは、ニトリと同様の商圏が多く、品ぞろえのノウハウを生かしやすいが、都心小型店で広域商圏の店舗に対する品ぞろえのノウハウはまだ構築中だ。今後、「ニトリデコホーム」の店舗数が拡大した時に、店舗群を郊外型店舗と都心型店舗に2分割し、それぞれ違う名称の店舗として運営する可能性もあるという。
現在、建築コストが高騰していることから、郊外ロードサイドでフリースタンディング(単独店)で出店する「ニトリ」の出店コストが上昇している。
「ニトリデコホーム」は駅ビル、ショッピングセンター、総合スーパーなどに居ぬきで出店するため、出店コストが抑えられる。そのため、今後の出店は、「ニトリデコホーム」が中心となる予定だ。
デコホームは2014年2月期末までに17店を展開した。2015年2月期は第3四半期までに、「くずはモール」「イオンモール和歌山」「京都ヨドバシ」「川越モディ」「フジグラン神辺」「プレ葉ウォーク浜北」「イオンタウン富雄南」「ドン・キホーテ二俣川」「ららぽーと磐田」「ヨドバシ吉祥寺」に、10店を出店した。
2014年12月12日に「海老名ビナウォーク」に出店、今回の「池袋サンシャインシテイ」への出店とあわせて総店舗数は29店となっている。
店舗概要
所在地:東京都豊島区東池袋3-1
サンシャインシティ アルパ地下1階
営業時間:10時~20時
売場面積:約200坪