流通ニュースは、流通全般の最新ニュースを発信しています。





公取委/外食業者に、納品業者21%が優越的地位乱用を受けた

2013年05月28日 / 経営行政

公正取引委員会は5月27日、外食業者と納入業者との取引に関する実態調査報告書をまとめた。

<優越的地位の濫用を受けていた取引の取引先外食事業者の業種別の割合(複数回答)>

調査の結果、外食業者と納入業者との取引において優越的地位の濫用につながる行為が行われていることが明らかになったとして、公取委では、調査結果の公表、関係事業者団体等に対しは業種別講習会の実施、業界における取引の公正化に向けた自主的な取組を要請する。

今後も優越的地位の濫用の問題に直面している納入業者からの問題となるおそれのある行為を行っている外食事業者に関する情報の提供も幅広く受け付けるとともに、外食業者と納入業者との取引実態を注視し、独占禁止法に違反する疑いのある行為が認められる場合には、厳正に対処するとしている。

調査は、外食業者(資本金5000万円超)に対し、継続的に商品・サービスを納入・提供している納入業者5586社(回答した納入業者1141社)を対象に実施したもの。

報告書では、調査対象取引のうち10.7%の取引で、外食業者から優越的地位の濫用につながり得る何らかの行為が行われており、特に「購入・利用強制」が多く行われていた。

調査対象納入業者(1141社)のうち21.4%の者が、取引先外食事業者から優越的地位の濫用につながり得る何らかの行為を受けていた。

購入や利用を要請される商品等としては、季節商品(おせち料理、クリスマスケーキ等)の購入を要請されたとの回答が特に多かった。

例では、居酒屋チェーンから年末になるとおせち料理の購入をお願いする内容の文書が送付され、その後に電話で購入を要請される。取引額が多く、今後も取引を伸ばしていきたいと考えている取引先であることから、要請に応えて購入している。

回転ずしチェーン店からは、おせち料理が欲しいわけではないが、会社の経費で購入している。

社員食堂での食事や病院食の提供を行っている外食業者から、毎年、当該外食事業者が製造するおせち料理の購入を要請される。要請には、「購入しなければ取引を打ち切る。」といったような直接的な言い方はしないものの、「毎年、買ってもらっているからね。」とか「他にも業者がいるからね。」といったように、暗に購入しなければならないような言い方で要請されるため、毎年購入している。

おせち料理のほかには、外食事業者の顧客である事業者が主催するパーティーのイベントチケットや外食事業者の飲食店で利用できる食事券などの購入を要請される。

レストランチェーン店を運営する外食事業者から、毎年、おせち料理の購入を要請される。以前は社長名による文書で購入を要請されていたが、そのような行為は問題となると思ったのか、現在は仕入部門の担当者から口頭で要請される。要請に際しては「購入を断るのであれば取引を見直す。」といったような言い方をされるため、仕方なくおせち料理セットを10個程度(1個2万5000円程度)購入している。

なお、取引先納入業者に対する優越的地位の濫用につながり得る購入・利用要請に該当する取引は、全ての業種の外食事業者が行っていた。

また、チェーン店を運営している外食事業者で、その業種が「食堂、レストラン」、「酒場、ビヤホール」、「すし店」に該当する者が、取引先納入業者に対し当該購入・利用要請を広く行っていたと考えられるとしている。

その他、新規オープン等の「協賛金等の負担要請」では、取引先外食事業者の新規オープン、改装オープン又は料理フェア開催時等に際し、事前に負担額、算出根拠、目的等が明確にされていないものを要請される割合が高い。

例えば、ファミリーレストランのチェーン店から、新規オープンに、具体的な金額を示した上で、金銭の提供を要請され、当該外食事業者と取引を継続したいので、10万円までの範囲内で金銭を提供することがある。

専門料理店のチェーン店を運営する外食事業者から、新店舗オープン後一定期間は商品を0円で納入するよう要請がある。取引をやめることはできないため要請に応じている。

回転ずしチェーン店から、新規オープンに従業員の派遣要請があった。初日限りということで従業員を派遣したが、翌日もなんとかならないかと言われ、結局オープン後1週間接客の手伝いを行った。

当該外食事業者は無償派遣するのが当たり前という感じで要請してくるので、当該派遣に要した費用の支払を請求することはできなかった。

居酒屋チェーンの店舗の閉店・開店に伴って返品されることがある。店舗の閉店・開店に伴い店舗の屋号が変わる場合、取引先との取引関係は変わらないが、納入する品が変わってくるので、残った商品は返品される。

この他、取引先の料理長が、納入業者との取引における仕入権限を持っていることを利用して納入業者に対し金銭の提供を要請している事例や、取引先外の社長が納入業者に対し、社長の自宅において取引とは全く関係のない私的な用事を行うよう要請している事例があった。

これらは、広く事業者のコンプライアンス上の問題であるとも思われ、経営者の優越的地位の濫用規制の遵守に向けた姿勢が欠如していることを示唆するものとしている。

■外食事業者と納入業者との取引に関する実態調査報告書
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h25/may/130527_01.files/2.pdf

関連記事

関連カテゴリー

最新ニュース

一覧