大日本印刷/農産物生産管理支援システム開発
2009年10月22日 / IT・システム
大日本印刷(DNP)は10月22日、「農産物生産管理支援システム」を開発したと発表した。
農産物の生産管理や原価管理の効率化と信頼性の向上を実現するのが目的で、手書き文字を自動的にデジタル化して記録するデジタルペンやセンサーなどのIT機器を活用している。
同システムは、南国殖産の関係会社で、有機栽培を中心に農業を経営し、農業のIT化を推進する南国ファームに導入された。
国内農業の発展を促すためには、後継者に対する農業技術の円滑な継承や生産物に関するコスト管理、食の安全・安心の要望に応えられるシステムの確立などの課題がある。DNPは、課題に対して、同社が有するトレーサビリティシステムやIT機器を組み合わせ、農業経営の「見える化(可視化)」を支援するためのシステムを開発した。
あらかじめ登録した栽培計画に基づいて散布した農薬や肥料の実績値を、パソコンかデジタルペンで栽培日誌として詳細・簡単に記録する。デジタルペンは、手書きの文字や図をリアルタイムでデジタルデータとして取り込めるため、実作業の効率化と信頼性の向上を実現する。登録農薬・適用農薬・成分による上限回数・毒性などの情報を自動的にチェックできるため、安全性の確保にも効果的。
栽培計画に基づき、農場に投入する農薬・肥料・種苗などの資材コストや、耕作機械・機器などの機械の減価償却、人件費、作業時間などを項目ごとに管理し、作物・農場・作付けごとの製造原価を算出する。農場にウエブカメラを設置し、手間をかけずに遠隔から作物の栽培状況をモニタリングする。農場に大気温度、湿度、地中温度、PH値、土壌水分、肥料濃度などを測定する各種センサーを設置し、栽培環境をモニタリングする。
「農産物生産管理支援システム」は、複数の農場を管理する上位の管理システムや流通トレーサビリティシステムとの連携が可能。農薬の使用履歴など栽培記帳システムから得られる栽培情報の公開等、食の安全に関する情報提供も行う。栽培計画や、日々の作業計画、原価管理などから得られた情報を適切に把握して作業に活用。農産物生産でのPDCA(マネジメントサイクル)での運用の効率化を促進する。
新規にアグリビジネスに参入する企業に加え、既存の農業法人に対しても、農業の見える化を図る仕組みとして販促を行っていく。2014年度までに10億円の売上を目指す。
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