三菱地所・サイモンは2018年に埼玉県深谷市に国内10店目となるプレミアム・アウトレットを開業する。
3月に、深谷市が花園IC拠点整備プロジェクトの優先協議者として三菱地所・サイモングループを選定した。
花園IC拠点整備プロジェクトは、花園インターチェンジに近接した事業用地に、観光型集客施設を誘致するもので、面積は17~18haの規模を想定する。
山中拓郎社長は「1号店の御殿場アウトレットを開設した時とことなり、アウトレットの認知度があがっている。地方中心市街地の既存商業者に及ぼす影響が少なく、一方で出店による雇用の創出や大商圏からの集客など地域経済の波及効果があり、全国の自治体からのひきあいも増えている」と語る。
人口が減少する中であっても、山中社長はまだ出店余地が十分にあるとみている。「アメリカは約3億2000万人人口で200のアウトレットモールがある。日本は約1億2700万人の人口だが、40のアウトレットモールしかない。潜在的に70程度のアウトレットモールが成立する」という。
圏央道をはじめとして、全国で大型の幹線道路の整備が進んでいることも出店の追い風となる。「既存のインフラないでは、出店余地が少なくなりつつあるが、新たな幹線道路の開通で、商圏が広がり物流も確保できる。インフラの拡大とともに出店候補地も増えていく」(同氏)。
急増する訪日外国人観光客のニーズもアウトレットモールは取り込んでおり、2014年度の御殿場アウトレットの売上のうち20%はインバウンド需要となった。
サイモングループが運営するニューヨーク郊外の「ウッドベリーコモンプレミアム・アウトレット」では、売上高の70%が外国人売上となっており、観光施設としての機能もあるという。
店舗デザインは、アメリカの街並みをイメージし、まるで海外の店舗で買い物をするような雰囲気を目指している。開放的な屋外の非日常的な空間で、一日中アウトレットショッピングを楽しめる環境を提供する。
プレミアム・アウトレットの立地戦略は、モールに出店するブランドの正規店のある都市部から、一定の距離を置いた立地を基本とする。東京にもっとも近い「酒々井プレミアム・アウトレット」でも、東京駅から50kmは離れて立地する。
アウトレットビジネスでは、ブランドの信用、魅力を大前提としているため、ブランドの正規店に影響がない立地が必要不可欠となる。
施設規模は、店舗面積で約1万5000m2、店舗数70~80店を最低規模としている。基本的には、最終形を店舗面積で約3万~4万m2、店舗数で150~200店を目標として、段階的に増床をする。
既存の国内9店のモールも、増床を実施しており、新規出店とあわせて、増床による売上拡大も図っている。
山中社長は「まずは国内で10モールを作ろうという目標で、これまで運営をしてきた。深谷でちょうど10モールとなる。これから先も、プレミアム・アウトレットの名の通り、プレミアムなブランドイメージを大切に、数を追わない出店をしていきたい。具体的な計画はまだ話せないが、市場の拡大余地は十分にある」と語った。
三菱地所・サイモンの2015年3月期の売上高は399億5400万円(前年同期比3%増)、経常利益は144億6400万円(10%増)で、15期連続の増収を達成している。
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