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ローソン/チケット販売の不正流用で被害額最大150億円

2010年02月09日 / 経営

ローソンは2月9日、社内調査により、連結子会社であるローソンエンターメディア(LEM)の代表取締役専務と経理担当取締役が権限を逸脱し、社内手続を一切経ずに独断で多額の資金を不正に流用していたことが判明したと発表した。

現在判明しているLEMの被害予想総額は、最大約150億円。内訳は、LEMとの契約によってコンサート企画会社へチケット代金を支払っているプレジール社に肩代わりして直接コンサート企画会社へ支払った金額(約46億円)、プレジール社への前払金額(約46億円)、LEMのプレジール社からの未回収金額(約8億円)、以上の3点を合わせた金額約100億円と、今後LEMがプレジール社に肩代わりして直接コンサート企画会社へ支払わなければならない金額約50億円。

ローソンは同日、LEMに対し85億円の融資枠の設定を決めた。支払い困難と思われるプレジール社に代わりLEMがコンサート企画会社へコンサート等のチケット代金の支払いを肩代わりするなど、コンサート企画会社に配慮する。今後、プレジール社から債権回収を行い、被害の最小化に努めていく。LEMを通じて顧客が購入した開催予定のコンサート等のチケットは、そのまま利用できる。

専務と取締役の両者は、同日付で辞任した。両者の不正行為については、民事のほか刑事告訴を検討するために当局と相談を開始する。経営上の責任として、社内処分を実施。LEM代表取締役社長の日比靖浩氏は2月10日付で辞任、ローソン顧問の野林定行氏は2月9日で辞任する。

ローソン代表取締役社長CEOの新浪剛史氏については、月額報酬の30%自主返納3か月、ローソン取締役専務執行役員CFOの矢作祥之氏は、月額報酬の20%自主返納3か月と定めた。LEMの代表取締役社長には、2月10日付でLEM取締役の野林徳行氏が就任する。

ローソンは、緊急措置として、LEMを含むグループ各社の経理内容を点検し、他に不正流用のないことを確認している。子会社が資金の流れを定期的にローソンに報告することの義務化など、管理を強化した。ローソンとLEM は、第三者委員会を同日付で発足させ、事実関係を確認のうえ、LEMの徹底した資金管理を行う内部管理体制の構築に着手する。

不正の概要としてはまず、1月24日に専務と取締役の両者から、「LEMとの契約によってコンサート等の企画会社(コンサート企画会社」)へチケット代金を支払っているプレジール社が、資金を流用していたため資金難に陥り、コンサート企画会社への支払いが不可能となっている」、「取締役会の決議を経ずにLEMがプレジール社に肩代わりしてコンサート企画会社数社に対してチケット代金を支払った、また、プレジール社に対しても直接支援を行った」との報告がローソンとLEMにあった。

報告を受けたローソンは、顧問弁護士同席のうえ、専務と取締役の両名から事情聴取を行った結果、多額の資金が流出していることを確認。同社代表取締役社長CEO新浪剛史氏を委員長とし、顧問弁護士事務所(アンダーソン・毛利・友常法律事務所)と会計事務所(KPMG FAS)の協力のもと、合計21名から成る社内調査委員会を発足させ、詳細を調査した。

同調査によると、LEMは、通常コンサート等のチケットを販売する際には、コンサート企画会社からチケットの販売業務を直接受託していた。だが、一部のチケット販売受託に関し、2007年11月から、LEMが顧客から預かっていたコンサート等のチケット代金を、当時写真付き切手等を販売していたプレジール社を通してコンサート企画会社へ支払うという内容の三者間契約をプレジール社、コンサート企画会社、LEMで締結し始めた。三者間契約の仕組みは、LEMの実質ナンバーツーである専務が持ち込んだもの。

チケット販売業界では、コンサート等のチケット販売を受託するために、チケット販売事業者がコンサート企画会社に協賛金を支払う場合がある。この仕組みでは、プレジール社がLEMに代わりコンサート企画会社に協賛金の一部または全部を支払うことにより、従来に比べてLEMの協賛金支払額の減額等が見込めた。だが、LEMからのコンサート等のチケット代金受領日からコンサート企画会社への支払日までは期間が長く、長期(2か月~6か月)にわたり資金がプレジール社に滞留していた。これを利用し、プレジール社は資金を流用していた。

2008年10月ごろから、プレジール社からコンサート企画会社への支払いが遅延するようになり、コンサート企画会社から専務へクレームが多数寄せられるようになった。専務は取締役に相談し、両者は、プレジール社が流用していることを認識しながら、社内の正式な決裁を経ず、LEMがプレジール社に肩代わりして直接コンサート企画会社へ支払った。2009年10月ごろにはチケット販売前のコンサート企画のチケット代金をプレジール社に前払いするなど、資金を不正に流出させていた。

LEMとプレジール社を含む三者間の契約は、2007年11月から行われており、専務と取締役の両者が資金をプレジール社に不正に流出させていたのは2008年10月から2010年1月までの1年4か月間であることがわかった。

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