ニトリホールディングスは4月24日、中央区銀座の「プランタン銀座」本館6階に「ニトリプランタン銀座店」をオープンした。
初めて百貨店に出店するもので、銀座へも初出店。ニトリグループの店舗としては国内で354店目、東京都20店目となる。
ニトリは2000坪、1500坪、1000坪の3つのフォーマットを中心に展開するが、銀座店の売場面積は約450坪で、ニトリとしては最小の規模。通常のニトリでは約1万skuを販売するが、銀座店では3000skuに商品を絞り込んだ。
低価格帯の商品を置かずに、中価格帯の商品を中心に展開することで、客単価は既存店よりも2割~3割、上昇する見込みだ。ニトリの中でも、モダンな商品を中心にカラフルな色・柄の商品を選び、品ぞろえした。
似鳥昭雄社長は「20代・30代の女性に支持されるおしゃれなお店を目指した。これまで、郊外に300店以上を出店しているが、東京・大阪の周辺では出店していない場所がたくさんある。銀座はもっとも注目を集める場所であり、ブランド認知度も高まる。ここを実験店として、都心型の店を作っていきたい」という。
実験店として、都心型店舗の商品構成などを検証し、10年程度を目途に、東京・大阪・名古屋の3大都市圏で30店以上の都市型店舗を展開したいという。現在、大阪で、百貨店への出店を検討する。
なお、銀座店はプランタン銀座内の店舗のため、プランタン銀座カードの利用で6%引きとなるサービスも展開する。ニトリが商業施設全体の割引サービスを導入するのは珍しい。
取扱商品は、ソファ、ダイニングテーブル、照明器具、ベッド、システムキッチンなどの家具とインテリア小物、ダイニング用品、バス・トイレ用品、寝具・寝装品、カーペット・敷物、カーテン・ブラインドとした。
郊外型のニトリは1階に食器、バス・トイレ用品、キッチン用品などの生活雑貨、2階に家具の売場構成だが、銀座店は、ワンフロアで家具と生活雑貨を展開する。そのため、家具にあわせて、クッションなどインテリア小物をコーディネートできる提案を強化した。
先週から比較的都心部にある49店で展開を開始した新ブランド「NITORI QUALITY LINE」を投入。現在、クッション、インテリアフラワー・インテリアグリーン、フラワーベース、照明、サイドテーブルなどのスモールファニチャーなど74skuを展開する。下期には、ポスターや絵画などウォールデコレーションを追加し、100skuに拡大する。
NITORI QUALITY LINEは、中価格帯でありながらも高品質を目指した商品群で、市場価格で1万円台後半の商品ならば税別7990円程度の価格で販売し、市場価格の2分の1~3分の1程度の価格で販売することを目指す。
既存のニトリの商品との比較では、クッションは、中身とカバーが別売りで合計金額が1500円~2000円が中心だが、NITORI QUALITY LINEは、中身とカバーがセットで2990円で、ほぼ2倍の価格帯の商品となる。照明器具では1万円を超える商品も投入した。
通常店舗では、インテリア小物は1階雑貨売場での展開で、2階の家具売場では販売しないが、NITORI QUALITY LINEは、家具売場で家具と一緒にディスプレイをして販売する。家具でも中価格帯の商品が増えるなかで、革のソファや天然木を使った商品が増えており、それに合わせることができる商品を目指す。
従来型のクッションは45cm×45cmだが、大型のソファでは小さく見えるため、50cm×50cmに大きさを変更、中身には約1kgのフェザーを入れて反発力をつけるなど工夫をした。
似鳥社長は朝礼で「成功するにはお客さんの立場に立つことが必要だが、20年、30年選手でもなかなかこれができない。お客さまにもっと近い現場の人たちが、本部に対して、こんな色や柄が欲しいなど、お客さんの声を上げてほしい」と店舗スタッフに呼びかけた。
また、「銀座店は都心型店舗の商品を開発する上での一つの受信基地になる。中価格帯の商品が増えてきたことで、百貨店から出店してほしいと呼ばれるような、商品づくりをしたい」と語る。
ニトリの部門別売上構成比は家具42%、ホームファッション58%。ソファ、ベット、ダイニングといった家具は10年、20年は使用する商品だが、ホームファッションは1~3年、または季節ごとに変化していく。今後の商品開発では、家具を維持しつつ、ホームファッションを強化する方針だ。
足元の消費環境については「お客さんの二極化が進んでいて、従来通りの低価格商品を求めるお客さんとおしゃれな中価格帯の商品を求めるお客さんに分化している。中価格帯を求めるお客さんは、デザイン、カラーなどの要求が非常に高く、これに対応する必要がある」と語る。
似鳥社長は「まだまだコーディネート提案は50点のでき、もっと商品力・提案力を磨く必要がある。アメリカ・ヨーロッパには、ベンチマークとしている企業があり、銀座店をきっかけにニトリの商品力を上げていきたい」という。毎年、約1万skuの商品のうち、50%にあたる5000skuの商品をリニューアルしており、はなやかな、ファッション性のある商品を増やす予定だ。
これまでニトリは、都心型の小型店フォーマットとして、売場面積350坪以下の「ニトリデコホーム」を展開している。銀座店は「ニトリデコホーム」より一回り大きく、「ニトリデコホーム」では扱わない配送が必要な大型商品や家具を展開する。
2つのフォーマットの使い分けについては、「特に明確な基準があるわけではなく、住み分けも考えていない。チャンスがあれば、両フォーマットともどこでも出店したい」という。
ニトリは2月6日に、池袋サンシャインシティ内の商業施設「アルパ」地下1階の「ユニクロサンシャインシティ店」の跡地に、「ニトリデコホーム」を出店。銀座店も旧ユニクロマルシェプランタン銀座店への跡地への出店となった。
似鳥社長は「ユニクロもニトリも集客力があり、異なった商品で商品力もある。柳井正社長とトップ同士で交流があるだけでなく、社員同士も仲が良い。上海で5月1日にオープンする店舗は、1階がユニクロで、2、3階がニトリという構成だ。大型店の物件情報を中心に不動産情報は共有している」と語る。
近年は、訪日外国人観光客が増加し、昨年10月の免税制度の改正を受け、外国人の来店が増えていることから、銀座店のほか、ニトリモール宮崎店などの複数の店舗で、できるだけ早く免税制度にも対応する予定だ。
ニトリには、30年の期間を2回積み重ねた60年計画がある。最初の30年は100店・1000億円の目標で、次の30年は3000店・3兆円の目標だ。現在は、次の30年が始まって15年目にあたる。
朝礼で似鳥社長は、「当社には、30年と30年の60年計画があり、これを目指してやってきた。皆さんも10年、20年先から逆算をした仕事をしてもらいたい」と従業員に語りかけた。
店舗概要
所在地:東京都中央区銀座3-2-1
プランタン銀座本館6階
営業時間:11時~21時(日曜20時閉店)
売場面積:約450坪
取扱アイテム数:約3000sku
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