ウォルマート、ユニクロ独り勝ちの共通項
2009年01月12日 / 商人舎からのメッセージ
ウォルマート、ユニクロ独り勝ちの共通項
結城 義晴氏(商人舎 代表取締役社長)
「節約モード」から「不況モード」へ。
昨2008年末から、2009年始にかけての大きな転換の潮流は、この表現によって、明らかになりました。
「流通ニュース」の「記事検索」のところに「ウォルマート」と打ち込んで、検索してみてください。
ウォルマートに関するニュースが、ズラリと並んで、その動向を知ることができます。
そのウォルマートが、米国で独り勝ち。
昨2008年の10月までは、そうではなかった。
私は、「WWC」と呼んだりしていました。
WWCとは、ウォルマート、ウォルグリーン、コストコ。
これにトレーダージョーズを加えると、「WWTC」。プロレスやボクシング団体のようで、面白い響きがあります。
しかしこのWWCが、崩れてきた。
11月のことです。
前年同月比の売上高。
ウォルマートが、プラスの3.4%
ウォルグリーンは、マイナス2.0%。
コストコ、マイナス5.0%。
12月もこの傾向は続きました。
ウォルマート、プラスの1.2%
ウォルグリーン、マイナス4.9%。
コストコ、マイナス4.0%。
10月まで、好調だった3社に、明暗が出始めたのです。
それ以外の企業は、ずっと暗闇ばかり。百貨店、GMS、ドラッグストア、ディスカウントストア、オフプライスストア、トレンドファッションストア。
一方、日本でも、例えばファッション・チェーンは、ユニクロ、しまむら、ハニーズ、ポイントといったところが、比較的好調組でした。
しかし、11月から、ユニクロの、まさに独り勝ち。
「流通ニュース」の「記事検索」で「ユニクロ」を検索してみてください。
11月は、過去最高の売上高で、35.8%増。
12月は、13.7%増。
しまむらの11月は、3.8%増ですが、その伸び率は、ユニクロの10分の1。
11月までの第3四半期は、横ばい。
日本の百貨店、総合スーパーなど、軒並み、下降線。
好調なのは、タバコのタスポ効果が見られたコンビニ。
そして外食が激減した反動のご利益をいただいた内食のスーパーマーケット。
外食では、低価格で気軽なマクドナルドの独り勝ち。
ファミリーレストランやディナーレストランは閑古鳥。
この日米のトレンド、何を意味するのか。
私が、さまざまなところで受ける質問のもっとも頻度の高いものが、これです。
まず、ウォルマートは、ウォルグローンのドラッグストアの売場を、そのスーパーセンターの店の中に、包含する機能を持っています。
だから、顧客は、ウォルマートに行けば、何でも揃う。
改めてウォルグリーンに行く必要がないし、ウォルグリーンまで足を延ばす時間と経費がもったいないと考える。
コストコは、例えて言うならば、「ダイヤモンドとトイレットペーパーを同時に買える店」。
ダイヤモンドに象徴されるプレミアムな買物と、トイレットペーパーに象徴されるコモディティの購買とを、両方、同時に楽しむことができる。
これを「トレーディング・アップ」と言います。
しかし、米国の顧客も、ダイヤモンドに象徴される浪費をしなくなった。
だからコストコは、ダウントレンドになってきた。
ウォルマートは、ショッピングカートいっぱいに買い物したら、どこよりも安く、しかも必需品ばかり。
だから、ウォルマートが頼りにされる。
一方、日本のユニクロ。
衣料品・服飾品に関しては、どこよりも機能性の優れた商品が、安い。
フリース、ヒートテック、ダウン、カシミヤ。
しまむらの荒利益は30%。
これに対して、ユニクロは50%弱。
この20%近くの荒利益率の差が、ファーストリテイリングの独り勝ちの原動力にもなっている。
弾薬によって、「良い品をどんどん安く」提供することができる。
ウォルマートとユニクロ。
不況がさらに進み、消費がシュリンクしてくると、勝者は、ますます強くなります。これが第一の特徴。
そして敗者が、勝者に追いつこうとすると、同質競争のレッドオーシャンの中で、もがき苦しむことになる。同質化競争が頻発する。これが第二の特徴。
この特徴は、日米ともに、今年を貫く傾向となります。
だから対策。少なくとも、地域で、二番手には滑りこむこと。
そして、同質競争に陥らないこと。
奮闘を祈ります。
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