三井不動産／渋谷にEC並みのCRM実現する「ザ・ストア」オープン

2023年07月12日 14:53 ／店舗レポート

ECプラットフォーム「ecforce」を提供するSUPER STUDIOと三井不動産は7月15日、RAYARD MIYASHITA PARK（東京都渋谷区）で、OMOストア「THE［］STORE」（ザ・ストア）をオープンする。12日、報道向け内覧会を開催した。

＜EC並みのCRM実現する「ザ・ストア」＞

「THE［］STORE」は、EC・D2Cメーカーのリアル店舗出店に伴う課題を解決するための店舗。リアル店舗を出店してみたいが、運営リソース・ノウハウの不足、出店のメリットの不明瞭さ、単発の購入者が多いリアル店舗と定期販売を主軸とし、CRMを強化したいECとの方向性の違いなどに不安を持つ事業者の出店をサポートする仕組みを提供する。

＜デジタルサイネージを生かした店内＞

三井不動産がプロジェクト全体を統括し、SUPER STUDIOがシステム、テナントリーシング、接客人員の配置、販促などを手掛けている。

出店者は、週単位でリアル店舗をオープンできる（最低1週間から）。アパレル・食の物販、試食・試飲、新商品発表などに利用可能だ。

また、自社単独で出店するより、初期投資を抑えることができる。賃料はテナントによって、固定制、売り上げ連動性などを取り入れる実証実験を行っている。

＜［］内にブランド名を入れられる＞

ブランドの世界観を最大限表現できるよう、店頭の大型モニターと2面のデジタルサイネージを用意している。店頭の大型モニター「THE［］STORE」の［］内にブランド名・店名を入れることで、自社をPR。さらに、店内は用途、ブランドイメージに合わせてカスタマイズ可能な可変式の什器を用意している。出店にかかる初期費用を最小限に抑えつつ、ブランドの世界観を表現できる。

＜可変式の什器＞

購入方法は、店頭で来店者のスマートフォンを使って、商品にひも付けられたQRコードを読み取る。商品選択完了後に、その場で必要な情報を入力することで、レジに並ぶことなく商品購入が完了。商品は、店頭での受け取りはもちろん、「自宅配送」を選択して自宅で受け取れる。

＜商品購入の仕組み＞

QRコードの活用で、リアル店舗の販売データとECのデータを連係し、EC同様に顧客データを取得する。取得した情報をもとに、顧客への継続的なマーケティング施策の実施、継続購入率の分析が可能。テナントには店舗前通過人数、来店客数、期間内WEB訪問者数、オフライン購入CVR・LTV、顧客アンケート、オンライン購入数・購入単価、店舗での購入数・購入単価も提供するという。

＜上窪洋平主事、林紘祐CEO＞

三井不動産のベンチャー共創事業部共創事業グループの上窪洋平主事は「常に新しく魅力的なテナントを誘致したい当社として、デジタルネーティブなEC事業者の出店ニーズに対応した提案ができていないという課題があった。ECのノウハウ・事業の悩みをよく知るSUPER STUDIOと連携することで、単なるPRとして期間限定出店するだけでなく、実際に売り上げ増につながることを可視化できるサービスをこの店舗で提案する。また、いつ来ても新しいブランドが登場することで、施設全体の魅力も向上する」と説明した。

＜ブランドの世界観を表現＞

SUPER STUDIOの林紘祐CEOは「当社は、ECプラットフォーム『ecforce』の提供などで、EC事業者の売り上げ向上と生活者の体験価値向上を目指している。今回、リアル店舗でありながら、ECのように購入者データを取得できることから、後日、LINEやメールマガジンを送り定期購入を促したり、店舗購入者限定セールの情報を送ったり、店舗で購入に至らなくてもLINEのお友達登録をすれば、後日購入ハードルの低いECでの購入方法を提案したりと、CRM戦略を展開できる。データを活用したビジネスの最適化を支援したい」と意気込みを語った。

両社が2022年5月にRAYARD MIYASHITA PARK「＆BASE」にて実施したポップアップストアは、約2000人が来店。売り上げが目標の2倍を記録した。

今回の初の常設店出店にあたり、ポップアップストアの実証実験で得たノウハウ、システム上の改善点をもとに、店舗設計、OMOソリューションの仕組み構築を行ったという。

出店テナントは、現在EC事業者中心に誘致しているが、今後、三井不動産の物件に店舗を出店している既存テナントを取り込むことも構想している。

上窪主事は「ららぽーとなど当社の他ブランドでも、THE［］STOREのような店舗に取り組みたい。他社の商業施設でも、顧客ニーズや立地が適切なら、出店を検討する。三井不動産の物流事業と連携し、物流に関する初期投資を抑えたいEC事業者に対し、従量課金制のような柔軟な料金体系、ECと連動したWMSなどシステム面といったサポートをすることも考えている」と述べた。

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