カスミ/「オリナス錦糸町」に都内初のブランデ業態オープン、売上目標27億円
2024年09月26日 16:32 / 店舗レポート
カスミは9月27日、「BLANDE(ブランデ)オリナス錦糸町店」をオープンする。26日、プレオープンと記者会見を行った。
モール型の大型商業施設「オリナス錦糸町」地下1階に位置する。カスミの最新業態「ブランデ」の4号店で、都内での出店は初めて。同店は、8月25日まで営業していた「フードスクエアカスミオリナス錦糸町店」を改装したもの。買物のみならず、カフェテリアやワインバーなどを楽しめる「食の体験」にこだわり、顧客に快適なショッピングを提案する。
基本商圏は半径2km圏内の約17万世帯で、1次商圏(0~0.5㎞)1万1774世帯、2次商圏(0.5~1㎞)3万2862世帯、3次商圏(1~2㎞)12万8306世帯。年商目標は27億円とした。
満行光史郎 専務取締役 事業戦略担当は「錦糸町店は、三郷店(埼玉県三郷市)同様のコンセプトだが、違いとして和のテイストを取り入れた。寿司屋に引けを取らないくらい美味しい店内握りの寿司を1人でも多くの方に知ってもらいたいと思い、今回、立ち食い寿司を導入している。三郷でやらなかった日本食の強化など色々と着手し、これまでカスミにご縁がなかった人を取り込んでいく。
ブランデの基本ロジックは『新しい食と過去の食との融合』で、ブランデー(融合)が屋号の由来だ。売場は、海外のホールフーズ・マーケット、ウェグマンズなどをモデルにしてきた。スーパーで買物する目的以外でも来てもらいたい」と述べた。
6月20日にオープンした3号店「ブランデ三郷店」は現在好調で、目標通り推移しているという。ベーカリーと淹れ立てコーヒーを楽しめるイートイン「DELY BREAD」や、Scan&Goアプリを使ってカフェメニューを自宅から注文・配送できる「Order&Eat」、時間帯ごとに異なるメニューを楽しめる「Cafe&Bar」はいずれも好評。新店にも導入している。
店舗・商圏について松井英明 取締役 販売本部マネジャーは「錦糸町で約10年間営業する間に、周辺環境・競合・お客様が大分変化している。それに対してニーズに対応しきれていないと感じ、改装に至った。基礎商圏が17万世帯で、三郷の4~5倍になる。錦糸町周辺は多くのニーズがあるエリアだ。
改装前の売上は22~23億円ほどで横ばいが続き、客数も大きく伸びなかった。できるだけ多く客層を広げたい。特徴付けなきゃ客数は伸びない。尖って選ばれるようにする。既存・新規どちらの顧客もあきらめたくない。既存客向けには生鮮強化、新規には今までにないカテゴリーで訴求する。平日・祝日どちらも売上を上げる想定だ」と説明した。
今回の特徴的な取組である「鮨BAR」は、店内で販売する旬の食材を使った料理の実演とメニュー提案などを行う「クッキング・コミュニケーション」コーナーに導入する。
新鮮なネタを使った江戸前スタイルの鮨を堪能できる「魚河岸鮨」は、12時~14時、17時~19時の間で提供する。3セット(税込858円~1628円)用意しており、価格は店内で販売しているテークアウト品と同等。鮮魚コーナーの担当者が握った寿司を店内で楽しめる。お茶もセットで付く。ここでの会計は「Scan&Go」アプリでのみ対応。寿司の営業中は、コーナーにのれんが降りるという。
今回も「DELY READ」を導入。店内で焼き上げた種類豊富な人気のベーカリーと、本格エスプレッソマシンで抽出したコーヒーでカフェタイムを過ごせる。季節に合わせたさまざまなスイーツも提供していく。
「Scan&Go」アプリを使用した「Order&Eat」により、カフェメニューを自宅からでも注文・配送可能だ。今回から新たなサービスとして、魚・肉などの自宅で調理が難しい食材の「店内加工サービス」も提供する。店内や自宅(注文可能なエリア内)から調理加工や受取時間を指定し、店内で待つことなく、できたてを受け取りできる。
このほか、DX面では「オンラインデリバリー」を10月11日から開始予定。ブランデ業態の会員プログラム「ブランデプライム」も同店で導入している。
ふらりと寄れて、気兼ねなく味わえる「ワイン&バー」でテイスティングも可能。目の前で切り出すフレッシュな生ハムと酒を気軽に楽しめる。
満行専務は「生ハムの持ち帰りセットを新メニューとして用意した。三郷店にはワイン&バーの固定客が多い。リピーターのニーズに期待している。また、施設の目の前には錦糸公園があり、毎月イベントを開催している。イベントの利用客にもブランデを楽しんでもらいたい」と話す。
酒類も豊富だ。世界各国のワインが並び、セラー内には20万円をこえる高額品もある。
和のテイスト強化として、銘店には浅草・常盤堂の江戸銘菓「雷おこし」も並ぶ。ギフト品以外の和要素としては、日配品の納豆や海苔などの品ぞろえが錦糸町店には豊富だ。
唐紙裕昭 取締役 商品本部マネジャーは「都内地域エリア意識した上で、地元・和系のものを増やして商品を集めた。今後、店舗に合わせた品ぞろえを毎回やっていく。商品数は、(三郷店から)約1000SKUほど減らしたが、1万2000品目くらいのイメージで、これまで導入した商品を継承している。その中で東京のエリアに合わせたアイテムを追加した。
インバウンド需要も考えながら、これまでカスミやブランデで取り扱っていない商品を導入している」と語る。
入口付近の青果コーナーには、旬の果物を使用した華やかなスイーツも充実。希少なフルーツや、新鮮な野菜を使用した店内手づくりサラダも用意した。
鮮魚コーナーでは、全国各地の魚の対面販売や豊洲市場直送の活魚を定期販売を行う。新幹線・飛行機郵送も取り入れた。顧客の要望に合わせた加工、生ネタにごだわった本格にぎり寿司などを用意する。「Order&Eat」により、魚の刺身、サク取りはもちろん、家庭では調理に手間のかかる煮魚・焼き魚などを要望にあわせて提供する。
精肉コーナーには、オリジナル商品「MiiL KASUMI」の「亜麻仁の恵み牛」などをラインアップしている。
デリカコーナーには、「MiiL KASUMI」商品が充実。出汁や風味、彩りにこだわった味わい豊かな和総菜やサラダなど、対面販売で提供する。店内炊飯の手づくりおにぎりや弁当、おかずが並ぶ。
鮮魚コーナーでおすすめの魚介も焼き上げて販売している。焼き鳥なども扱う。
冷凍食品売場では、店内製造品を急速冷凍し、食材の鮮度感や風味を閉じ込めた「冷凍寿司」「冷凍弁当」を販売。現状、三郷店と錦糸町店のみ導入しているが、今後ブランデ業態では基本的に導入していく考えだ。
需要の高まる健康食やオーガニック製品もコーナー展開している。
今後のブランデ業態の展開について、満行専務は「既存店の転換と新店オープンどちらも展開していく。既存店は、これまでのお客様がいるため、転換後のイメージがつきやすい。一方、新店は1から作れる分、自由だが不安もある。色々と試したい。
また、ブランデは現在、いわゆるラグジュアリー系として展開しているが、お客様に良い価値を提供したいだけで、決してラグジュアリー路線を推進したいわけではない。通常のSMへの転換もあれば、ディスカウントも今後検討する必要があると思っている」と述べた。
■BLANDEオリナス錦糸町店
開店日:2024年9月27日(プレオープン26日)
所在地:東京都墨田区太平4-1-5(オリナスコア地下1階)
TEL:03-5637-9471
アクセス:東京メトロ半蔵門線錦糸町駅(4番出口)より徒歩3分/JR総武線錦糸町駅(北口)より徒歩5分
営業時間:10時~22時(プレオープンは10時~18時)
売場面積:1845m2
駐車台数:約1000台(商業施設共有)
年商目標:27億円
従業員数:正社員25名、パ-ト・アルバイト57名(7.75時間換算)
主要商圏:17万2942世帯/1次商圏(0~0.5㎞)1万1774世帯、2次商圏(0.5~1㎞)3万2862世帯、3次商圏(1~2㎞)12万8306世帯
取材・執筆 古川勝平
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