イオン/スーパーマーケット事業再編、首都圏・近畿26年春に新モデル店舗オープン
2025年12月22日 19:14 / 経営
イオンは、首都圏・近畿圏におけるグループのスーパーマーケット事業を再編する。
首都圏は、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(以下U.S.M.H)グループのマックスバリュ関東・ダイエー関東事業・イオンマーケットを経営統合し、2026年3月1日「イオンフードスタイル」としてスタートする。
新「イオンフードスタイル」は、売上高約1800億円、126店舗体制となる。2030年度の売上高目標を2400億円と設定している。
「イオンフードスタイル」の誕生により、U.S.M.Hグループは761店舗、売上高1兆円を超える食品スーパーマーケットグループとなる。
また、近畿圏は、ダイエーを存続会社として、光洋を吸収合併する。ダイエーの関西事業と光洋の再編により、近畿圏単独で売上高約3000億円、187店舗となる。2026年3月1日誕生する新生「ダイエー」は、2030年度に売上高3300億円を目指す。
<イオンのスーパー事業を再編>

※左からマックスバリュ関東平田炎社長、井出社長、吉田社長、西峠社長
12月22日行われた記者会見で、イオンの吉田昭夫社長は、グループのスーパーマーケット事業再編について次のように意気込みを語った。
「少子高齢化の進む日本でも、首都圏と近畿圏は数少ない成長市場。一方、インフレによる節約志向、原材料費の高騰で進む価格高騰に挟まれたスーパーマーケットの経営環境は厳しさを増している。スケールメリットを生かしたプライベートブランド商品開発、調達の効率化、DXの推進でお客様に支持される価格を実現する必要がある。両地域での再編を通じ、グループ全体のシナジー創出とスケールメリットの最大化を図る」。
店舗施策について、「イオンフードスタイル」は、2030年度までの5年間で全店舗を活性化する。2026年度は東京都23区内を優先し、20店舗強のリニューアルを計画している。
2026年3月初旬には、モデル店舗をオープン。生鮮デリカ拡大、価格強化型の店舗となる予定だ。
U.S.M.Hの井出武美社長は「現在3社で7つの屋号が存在しているが、今後は新しい屋号に移行していきたい。当社として弱い若いファミリー層の取り込み、既存のお客様満足度向上、新規顧客獲得を目指す。商品、売り場、従業員、サービス、店内環境すべてを変えたい。お客様にアッと驚いていただくとともに、従業員にもチャレンジしていろいろ学んでほしいと考えている」と話した。
2030年度までに店舗に200億円、その他140億円、計340億円の投資で、首都圏事業を活性化する。
商品調達、物流効率化、本社組織のスリム化など統合によるコスト削減効果は、全体額で20~24億円を見込む。
ダイエーも、2026年春、新モデル店舗をオープンする。モデル店舗を新生ダイエーの主力のフォーマットとして確立するとともに、2030年度までの5年間で約8割の店舗の活性化を計画している。
ダイエーの西峠泰男社長は「ダイエーの歴史は革新の連続であり、近代的スーパーマーケットのビジネスモデルとその後の小売業界の基礎を築いてきたフロントランナーだった。新会社はこれまで以上に革新性を持って、新たな価値を提供し続けていきたい。現在ダイエーは4つの屋号、光洋は3つの屋号、合計7つの屋号がある。来年3月よりこの7つの屋号を集約する方向でリブランディングを進める。また、他社と差別化できる商品にこだわっていく」と説明している。
2030年度までに店舗投資280億円、システムなどその他90億円、370億円の投資を行う。
加えて、本社コストの最適化、商品の需要集約、配送効率化やプロセスセンターの集約により、全体額で15~20億円のコスト削減を図る。
取材・執筆 鹿野島智子
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