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ジェトロ/アジア進出企業の課題は人件費と材料費=調査

2012年12月19日 / 海外

ジェトロは12月18日、アジア・オセアニア20か国・地域に進出する日系企業に対して行った「在アジア・オセアニア日系企業活動実態調査」の2012年度版の結果を発表した。20か国の内訳は、北東アジア5か国・地域、ASEAN9か国、南西アジア4か国、オセアニア2か国。同地に進出する日系企業の活動実態を把握するため、2012年10~11月にアンケート調査の形で実施した。

これによると、2012年の営業利益見込みを「黒字」とした企業の割合は63.9%となり、2011年の67.8%から低下した。一方、「赤字」とした企業の割合は19.8%となり、2011年の14.2%から増加した。

国・地域別の営業黒字企業の割合は、パキスタンが89.3%と最も高く、台湾、韓国、インドネシア、豪州、タイ、フィリピン、香港・マカオが70%を超えた。

インド、バングラディシュ、スリランカなどのパキスタンを除く南西アジア各国や、カンボジア、ラオス、ミャンマーなど「アジアの新・新興国」と呼ばれる国々は、ASEAN主要国や北東アジア各国・地域に比べて赤字企業の割合が多い。

また、大企業では67.6%が営業黒字となり、中小企業の56.2%を11.4ポイント上回った。特に、マレーシアとインドネシアでは、大企業と中小企業の黒字割合の差が15ポイントを超えた。

一方、2013年の営業利益見通しについては、「改善」するとした企業の割合が46.8%に達する一方、「悪化」は12年見込みから半減し、14.7%となった。改善の理由は「現地市場での売上増加」がもっとも多く、とりわけバングラディシュ、カンボジア、インド、ラオスなどの新興国で力強い改善が見込まれている。

「事業戦略の方向性」に関する調査では、今後1~2年の事業展開の方向性を「拡大」とした企業の割合は57.8%となり、2011年の63.6%から減少。特に、中国では「拡大」の割合が前年比14.5ポイント減の52.3%と、最大の減少幅となった。タイ、マレーシア、シンガポールなどのASEAN主要国でも、「拡大」の割合は減少した。一方、インド、インドネシア、ラオス、バングラディシュ、カンボジア、ミャンマーなどの新興国において事業拡大志向が強く示された。

「経営課題と対応策」についての調査では、経営上の最大の問題とされたのは「従業員の賃金上昇」だった。賃金上昇を問題点として挙げる企業は、中国、インドネシア、ベトナム、ミャンマーで8割以上となった。

ここ数年、10%を超えるペースで賃金上昇が続くベトナム、中国、インドに加え、インドネシアやタイなど10か国・地域で2012年度の賃金ベースアップ率が2ケタを記録した。2013年度についても、インドネシアやベトナムの製造業で20%前後の上昇が見込まれるなど、各国の最低賃金引き上げなどを受けた賃金上昇圧力は当面弱まる気配はないとの見方を示している。

コストに関する調査からは、製造コストに占める材料費の比率が平均63.3%、人件費の比率が平均17.2%と、コストの大半を材料費が占めることがわかった。コスト削減を目的とする部材の現地調達化は、中国や台湾、タイなどを中心に進展した。今後、「現地調達率を引き上げる」との方針を示した企業の割合は全体で75%を超えた。現地調達率を引き上げる際の調達先としては、進出している日系企業よりも現地企業が重視されている。

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