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タニタ/谷田社長が語る「健康をつくる」新たな挑戦

流通最前線タニタ

2019年、社長就任10年になるタニタの谷田千里社長は、数々の新機軸を打ち出している。
社長就任とともに、経営方針を「健康をはかる」から「健康をつくる」へと舵をきった。体重計、体脂肪計などの製造業としての事業に止まらず、タニタ食堂、タニタカフェといった外食業への進出、他社との積極的なコラボレーション、社員の主体性を重んじた働き方改革などに取り組んでいる。

次の10年に向け、「顧客ニーズがあれば、業態転換も恐れずに新規事業にチャレンジする」と力強く語る谷田社長に、「健康をつくる」新規事業の展望と今後の展開を聞いた。

<谷田千里社長>
谷田千里社長

「健康をつくる」新規事業に次々とチャレンジ

<丸の内のタニタ食堂>
丸の内のタニタ食堂

――2012年外食業にチャレンジした「タニタ食堂」は大きなインパクトがありました。

谷田 2010年に、カロリーが500kcal前後で、塩分控えめという当社の社員食堂の食事を紹介した、レシピ本『体脂肪計タニタの社員食堂』(大和書房刊)が大ヒットしまして、この本から一般の方にご利用いただける「タニタ食堂」が生まれました。
最近では、若い方に「タニタ」と聞くと、「レストランをやってる会社でしょ」なんていう方もいらっしゃいますね。

本の売れ行きが100万部を超えたころから、(消費者から)「どこで食べられるのか」との声をたくさん頂戴しました。
当社の商品(体重計、体脂肪計など)は、あまり壊れることがないので、クレームをいただくことは少なかったのですが、当時このようなお問い合わせをたくさんいただいていて、期待に応えられないことを心苦しく感じていました。
このようなニーズがあったうえで、製造業がサービス業、外食業に進出するのも面白そうだとチャレンジしたのが、タニタ食堂です。

――製造業が外食業に参入するのは大変だったのではないでしょうか。

谷田 もちろん、大変でしたよ。まず、取締役会では大反対でした。当時、社内の改革を進めており、社員に向けて、なんでもやっていいと言っていたこともあり、トップが率先垂範で新規事業に取り組みました。

取締役会の承認条件が、「社長は承認以降、社内で担当者を選んで、(事業に)タッチしすぎないこと」だったくらい、社長があまりにも「タニタ食堂」に入れ込みすぎていると思われていたようです。

単なる宣伝のための期間限定店舗で終わりたくないと思い、事業として成立し、継続することを前提に取り組みました。そこで、健康に関心が高いビジネスパーソンをターゲットにし、東京・丸の内に出店しました。2014年には、別会社化するほど成長しています。

<丸の内のカウンセリングルーム>
丸の内のカウンセリングルーム

――健康をテーマに掲げたユニークな食堂ですね。

谷田 カロリーは500kcal前後、塩分3g以下、野菜量200g前後をルールとした定食、「健康をつくる」メニューを提供しています。
製造業が外食業に進出するにあたり、単に(収益的に)成功したいなら、既存の人気チェーンのフランチャイズに加盟すればいいでしょう。でも、私は、製造業から外食業に取り組むなら、外食業の方がびっくりするくらいのことに挑戦してみたかったのです。

食べに来た人を追い返すくらいユニークな店があれば面白いと思ったくらいです。結局、さすがにそこまではしませんでしたが、担当者がこのアイディアを生かし、カウンセリングルームを取り入れました。カウンセリングルームでは、食事を召し上がった方には無料で、プロフェッショナル仕様の計測機器(マルチ周波数体組成計 MC-980A)を使った体組成の計測と、管理栄養士による食事や運動のアドバイスをし、健康への意識付けをさせていただいています。

<有楽町に「タニタカフェ」>
タニタカフェ

――健康的な生活に気軽にトライしたい人のための「カフェ」も登場しています。

谷田 タニタ食堂以外にも、2018年6月、東京・有楽町にこころの健康づくりをコンセプトにした「タニタカフェ」の旗艦店を出店するという新たなチャレンジをしています。

タニタ食堂は、健康に関心が低い人には足を運んでもらいにくいので、タニタカフェは、おいしさ・楽しさをテーマにしたヘルシーメニューを充実させました。

メニューは、カロリー計算はしていますが、あえてタニタ食堂のようには打ち出さず、1日に必要な野菜摂取量の半分(約175g)を摂れることだけ、表に出しています。「豆乳ソフトクリーム」や豆腐やこんにゃくゼリーを使用した噛むスムージー「カムージー」など流行を取り入れたメニューも人気です。

実は、2014年11月、新潟県長岡市に「タニタカフェ」をオープンしています。最初はタニタ食堂出店の要望がありましたが、初期投資がかかりすぎるということで、カフェとして出店しました。この時のメニュー開発で、ユニカフェとコラボレーションして、ポリフェノールの1種であるクロロゲン酸を一般的なコーヒーの約2倍含む「タニタコーヒー」が生まれました。

――カフェの事業化は初めから考えていたわけではないと。

谷田 タニタ食堂は食堂をやろうと思って進めた事業でしたが、カフェはコーヒーを開発し、長岡のカフェや各地のタニタ食堂で提供する中、「(カフェの事業化も)いけるのではないだろうか」という感触があって、生まれました。最初からカフェを展開していく構想はありませんでした。
数年コーヒーを提供していく中で、カフェ業態の準備ができ、有楽町にタニタカフェの旗艦店を出店したのです。

<フォーなど野菜たっぷりメニュー>
フォーなど野菜たっぷりメニュー

――カフェでは喫茶店メニューをタニタ流に健康的にアレンジしていますね。

谷田 私のこだわりで、流行る喫茶店には、定番の充実、コーヒー以外にスパゲッティ、カレーライス、サンドイッチがおいしいことが大事だと考えています。この3大メニューが絶対条件だと思っていて、タニタカフェではスパゲッティはヘルシーな和だしのフォー、カレーライスは、野菜たっぷりのもち麦サラダボウルととらえて提供しています。

今後はサンドイッチなどパンメニューにも取り組みたいです。有楽町で1年運営して、店舗の採算がとれるようになり、今後は多店舗化に力を入れていきます。

――カフェの今後の出店計画について教えてください。

谷田 2018年から5年間でコラボ店を含め100店舗の出店を目標にしています。現在、他社とのコラボを含めると20店まで増えています。この1年で店舗オペレーションを設計でき、損益も安定化してきていますので、フランチャイズのパッケージとして再構築しました。今年度末に向け、フランチャイズ出店を強化していきます。

有楽町店を見て、取引先からコラボのお話がくるようになりました。島忠とは私が講演に行った際に、体組成計などを販売する以外にもコラボしたいというお話をいただき、ホームズさいたま中央店(埼玉県さいたま市)に「ホームズさいたまタニタ食堂」とフィットネススタジオの「タニタフィッツミー」がオープンしました。スポーツショップやクリニック、行政施設などさまざまな分野からお話をいただき、注目の集まる場所でのコラボ店が続いたことも、出店へのプラスになっています。

――カフェのフランチャイズ出店を加速すると。

谷田 有楽町で1年運営することで、カフェがビジネスとして採算がとれることを示せる数字ができてきました。現在、有楽町店と同じ約100m2、少し小さめの30~50m2の店舗向けの2プランを用意しています。新規事業に取り組みたい、健康経営に関心がある企業などにチャレンジしていただきたいですね。

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