最高気温41.1度の猛暑/清涼飲料・アイスのほかに売れたのは、意外な定番商品
2018年08月27日 14:00 / POS分析
本稿は、流通現場における製配販それぞれのマーチャンダイジング提案活動を、POSデータ分析を中心にいろいろな角度からサポートするマーチャンダイジング・オン(MDON)が、ホームページで連載している「RDSから見る売上トレンド」を、一部編集した上で「流通ニュース」に転載するものです。
気温と売上の相関性は?
7月23日に埼玉県熊谷市で日本最高気温41.1℃を記録し、ニュース番組でいつもは最後のはずの天気予報のコーナーがトップで報じられているほど異常ともいえる暑さが続いています。
そこで、RDS京浜(100店舗当たりの販売金額)の6月25日から7月22日までの4週間で、酷暑の中、食品を中心にどのカテゴリーのどんな商品が支持されているのか調べてみました。
■食品カテゴリー全体の動向
食品の中で構成比が2%以上のカテゴリーを対象に、前年を超えたカテゴリーを調べてみました。
暑さで売上が上昇する代表格の「清涼飲料」・「アイスクリーム」、そして「惣菜(家庭内でガスを極力使いたくないという心理から)」が前年比10%増と伸長しました。
清涼飲料は18.4%増、アイスクリーム類は13.2%増、惣菜は13.1%増と二ケタの伸びを記録しています。
昨年も前半は猛暑と言われ、今年はその昨年の売上をさらに10%超えており、如何に異常な状態であるかがお分かりいただけると思います。
■「清涼飲料」の動向
次に、前年比18.4%増と伸長率No.1の「清涼飲料」では、どのカテゴリーが伸びているか見てみましょう。
<清涼飲料の各カテゴリーの金額・前年比・構成比(前年比順)>
炭酸水59.9%増を筆頭に、スポーツドリンク34.4%増、日本茶・麦茶ドリンク26.7%増、水15.9%増、中国茶ドリンク12.7%増、炭酸フレーバー10.8%増が続き、ほぼすべてのカテゴリーで前年を大きく超えていることがわかります。
前年割れとなったのは、ココアドリンク31.0%減だけでした。
ここで、前年比34.4%増と売上高を大きく伸ばし、売上構成比で10.5%を占める「スポーツドリンク」をより細かく分析してみました。
■「スポーツドリンク」の動向
スポーツドリンクの上位10商品では、前年割れとなったのは、前年比8.0%減のコカ・コーラ「アクエリアスゼロ」500mlのみで、その他の商品は前年を超えました。
1位コカ・コーラ「アクエリアス(ペコらく)」2リットル26.9%増、2位コカ・コーラ「アクエリアス エアーボトル」500ml51.2%増、4位大塚「ポカリスエット ペットボトル」1.5リットル51.3%増など大幅に伸長している商品が目立ちました。
5位サントリー「GREEN DA・KA・RA」600mlは新製品で、前年比は昨年の規格違い540mlを元に算出しましたが、86.7%増と大きな伸びを見せました。
上位商品の前年比が50%を超える商品も登場し、上位10商品合計では、40.8%増という結果でした。
言い換えると、各店舗で昨年1000本売れていたのが、今年は1400本売れているという事になり、想像しただけでも今年の暑さの壮絶さがわかると思います。
■RDS-POSで気温と売上を検証
ここで、スポーツドリンク、炭酸水、栄養ドリンクの3つのカテゴリーの売上と最高気温の推移を見てみましょう。
<スポーツドリンク、炭酸水、栄養ドリンク売上と最高気温>
※2018年最高気温は、東京の最高気温の週平均値
スポーツドリンク、炭酸水、栄養ドリンクは、昇温とともに上昇する傾向の強いカテゴリーですが、みな同じ率で上昇しているわけでないことがグラフから分かります。
今回の場合、35℃を超えたあたりで特に動きが変わっています。特にスポーツドリンクの伸びが驚異的となっています。
では、驚異的に伸びているスポーツドリンクの売上と気温の関係を前年比・前年差ベースで見てみましょう。
4月30日週から7月16日週までの気温とスポーツドリンクの売上高を見ると、気温差がマイナスなら売上も下がる、気温差がプラスなら売上も上がるというように、「前年同週比の気温差」と「スポーツドリンク前年比」の相関性が確認できます。
最高気温が前年を超えると、スポーツドリンクの売上は伸長し、逆に最高気温が前年を下回るとスポーツドリンクの売上は減少しています。
関東地方では今年はなんと6月下旬に梅雨明け発表がありました。梅雨明け以降の気温差と売上の伸びは驚異的な事が特徴でした。
■猛暑で売れた意外なカテゴリーは?
猛暑で、清涼飲料やアイスクリームが売れるのは、ほぼ予想どおりですが、そのほかにも意外な定番商品が売上を伸ばしています。
食品カテゴリー全体の動向のランキングを見ると、清涼飲料、アイスクリーム類、惣菜類、乳飲料に次ぎ、漬物・佃煮が2.6%増となり、5位にランクインしています。
さらに細かく「漬物」単独の伸長率を調べると10.7%増と大きく伸長していました。
漬物は近年、減塩傾向の影響もあり、2017年は金額前年比で4.2%減と向かい風でしたが、この暑さで売上を伸ばしました。
猛暑で「ひんやり」とした浅漬け、キムチのような「刺激物」が好まれる傾向があり、「塩分摂取」が同時にできる一石二鳥の食材として支持されたのかもしれません。
これまでは、約5%のダウントレンドでしたが、この猛暑で一気に約10%のアップトレンドに変わったことは、特筆すべき事実です。
単品別のランキング上位商品はキムチ・きゅうり漬けを中心に伸ばしています。1位は東海「こくうま熟うま辛キムチ」320gで11.6%増、2位はピックルス「ご飯がススム キムチ」200gで29.3%増、3位は東海「プチこくうまキムチ2食パック」100gで17.0%増が続きました。
漬物でも、スポーツドリンクと同様に、ド定番の商品が軒並み10%増を超えている事が分かりました。
去年や今年の猛暑が一時的な現象ではなく、地球レベルで進行している異常気象の一環である事は否定できませんので、仮説検証を行う事が必要になってくると思います。
今回、検証したように、気温の上昇とともに売上が伸びるカテゴリーや商品や気温が下がるとともに売上が伸びるカテゴリーや商品があると思います。
漬物のように、意外な商品と気温との相関性を見つけ出し、新たな販促や売場づくりもできるのではないでしょうか。
■RDSについて
http://www.mdingon.com/MdonWeb/service/newrds.html
■RDSから見る売上トレンド
http://www.mdingon.com/MdonWeb/topics/trend/
注:マーチャンダイジング・オン社提供のRDS-POSデータ分析については、記事、写真、図表などを複写、転載などの方法で利用することはできません。
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