花見需要/ギョーザよりもシューマイ、スナック菓子は箱入が優位に
2019年03月04日 15:50 / POS分析
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使えるPOS分析の第5回目は、市場POSデータのRDS-POSと総務省統計局の家計調査を活用して、花見で売れる商品は何かを明らかにします。
花見の季節が近づいてきました。今年の桜開花前線は、平年よりは早いが、かなり早かった昨年よりは遅いと言われており、東京以西がおおむね3月20日~31日頃に開花の見込みとなっています。
東京以西では3月下旬~4月上旬にかけて花見需要がピークを迎えることが予想されます。今回は東京以西を軸に、花見に売れる商品は何かを掘り下げてみます。
■花見では弁当が健闘、食べやすさがポイントに
今回は、RDS-POSデータに加えて、総務省統計局家計調査(以下、家計調査)の結果も交えつつ、調理済み食品など含めて花見の現場が想像できる消費傾向(食品)を確認します。
まずは、昨年の家計調査の週次トレンドから、3月中旬~4月上旬に季節指数が上昇する食品を見て見ましょう。
図表1<2018年桜開花時期の売れ筋(菓子類・惣菜)>
出典:マーチャンダイジング・オン「家計調査Quick」
※本来、家計調査には週次トレンドはないが、マーチャンダイジング・オン「家計調査Quick」では、家計調査の「品目分類による日別支出結果」を元に月-日の週次集計を行い、流通での52週MDへ活用しやすく編集した結果を配信している。
※季節指数は、2018年の52週の平均100とした時の各週の消費支出額を指数化した。昨年の満開日が集中していた3月19日週と26日週を挟んだ4週間で指数が110を超えるものに赤色、105~110未満に黄色を付けた。(3月12日週はホワイトデイを含むため、チョコ、ビスケット等は注意が必要)
昨年の3月12日週から4月2日週を分析すると、花見団子などの和菓子、おつまみ系のせんべい、スナック菓子、調理食品がおおむね高い指数を示していることは想像に難くないところです。
一方で、花見団子などの「他の生和菓子」は、開花~満開の最初の週に集中し、長続きせず翌週にはほぼ平常に落ち着いています。屋外消費というよりも季節ものとして自宅で消費されているのかもしれません。
生菓子系では、屋外で食べづらいケーキではなく、素手で食べやすいシュークリーム等の他の洋生菓子が高い指数となっています。
主食的調理食品では、生もののすし(弁当)ではなく、おにぎり・その他や弁当の方が高い傾向が出ています。ギョーザよりはシューマイが好まれていますが、これは食べやすさという理由かもしれません。
図表2<2018年桜開花時期の売れ筋(菓子類・惣菜)>
出典:マーチャンダイジング・オン「家計調査Quick」
次に同じ期間の酒類の動向を分析すると、意外にも酒類は全般に低い指数でした。ビール、チューハイ・カクテルは100を下回っています。
花冷えという言葉もありますが、まだまだ肌寒い時期でもあるので、冷たい飲み物は敬遠されるということが考えられます。屋外でのトイレ事情なども影響しているかもしれません。
そんな中、酒類で健闘したのはワインでした。ワインと言えば「晴れの日」に飲まれるお酒の代表格。赤ワインなら常温で飲めるので肌寒いときでも手を出しやすいということなのかもしれません。次いで焼酎、清酒といったところが好まれているようです。
とはいえ、ビールなどが花見時期に指数が下がっているのは納得しづらい思いが残りました。
※家計調査の「品目分類による日別支出結果」は全国値のみの報告となっているため、季節感がぼやけて現れることも想定されます。
これら家計調査を入り口に、RDSの集計結果から酒類や、菓子類の具体的な売れ筋商品を探ってみます。
■スナック菓子は箱入商品が売れ筋に
昨年のRDS京浜エリアにおける開花・満開・満開翌週の3週間のスナック菓子トップ20ランキング推移を眺めていたらあることに気づきました。
満開週は、黄色いセルで示した、箱(カップ等含む)に入った商品が前後の週に比べてTOP20に入った商品が目立ちました。
図表3<RDSスナック菓子2018年桜開花時期のランキング(東京開花週)京浜エリア>
図表4<RDSスナック菓子2018年桜開花時期のランキング(東京満開週)京浜エリア>
図表5<RDSスナック菓子2018年桜開花時期のランキング(横浜満開週)京浜エリア>
東京の開花週と満開週を比較すると、開花週は20位だったハウス「とんがりコーン焼きとうもろこし」75gが20位から1位にランクアップしたほか、「同あっさり塩」75gが2位となりました。
カルビー「じゃがりこサラダ」60gは3位から7位となったものの、ナビスコ「チップスターLうすしお」115gは9位から8位に、ナビスコ「チップスターS うすしお」50gは、13位から10位とランクアップしました。
そのほか、カルビー「じゃがりこはちみつバター味」52g、プリングルズ「サワークリーム&オニオン」110g、ハウス「とんがりコーン マヨネーズしょう油味」75gがランクインしました。
続いて、RDSのMy属性機能を使って、スナック菓子の箱入り商品の季節指数を算出してみたのが下のグラフとなります。
図表6<RDSスナック菓子 桜開花時期における箱タイプの季節指数>
※京浜エリア(2018年の52週平均=100)
京浜エリアで2018年の52週平均値を100として、花見前後の週を分析すると、満開週に箱入り商品の指数が急上昇しているのが分かります。
屋外の安定性を重視した消費行動、もしくは売り場でそのようなMD訴求がなされていると考えるのが妥当でしょうか。
なお、2017年はどうだったかというと、開花から満開まで気温の低い日が多かった関係で12日間も掛かり(観測史上4番目に長かったらしい)、花見行動が分散したことによって、2018年ほどきれいなグラフは現れませんでした。今年の動きに注目したいと思います。
■RDSについて
http://www.mdingon.com/MdonWeb/service/newrds.html
本稿は、流通現場における製配販それぞれのマーチャンダイジング提案活動を、POSデータ分析を中心にいろいろな角度からサポートするマーチャンダイジング・オン(MDON)が、「POS分析」に関して色々な角度から紹介するコラムです。
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