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スターバックス/皇居外苑に環境配慮の実験店舗、使い捨てカップ75%削減へ

2021年11月29日 16:40 / 店舗レポート

スターバックス コーヒー ジャパンは12月1日、環境負荷低減を目的とした実証実験を行うサステナビリティハブ(拠点)として、東京都千代田区に「スターバックスコーヒー 皇居外苑 和田倉噴水公園店」 をオープンする。

<スターバックスコーヒー 皇居外苑 和田倉噴水公園店>
スターバックスコーヒー 皇居外苑 和田倉噴水公園店

スターバックスグループは、2025年までに、より環境負荷の低い店舗のための国際認証「Greener Stores Framework」取得店舗を全世界で1万店舗まで伸ばすことを目標としており、新店舗は日本第1号店となる。

「Greener Stores Framework」は、世界自然保護基金(WWF)などの専門家とともに設計するもので、スターバックス独自のサステナブルなコーヒー調達ガイドライン「C.A.F.E. プラクティス」の第三者認証機関でもあるSCS Global Servicesがその監査と認証を行う。CO2排出量、水使用量、埋め立て廃棄物の削減を達成する、より低負荷の店舗づくりを加速するためのもの。スターバックスでは、エネルギーの効率的利用、水の管理、責任のある素材調達、廃棄物削減、再生可能エネルギーの使用などを推進している。

<環境配慮とともに居心地よさを追求した店内>
環境配慮とともに居心地よさを追求した店内

11月29日行われたWEB説明会で水口貴文CEOは、「Greener Storesのための候補地を探している中、環境省の和田倉噴水公園(レストハウス跡地)への出店公募を知り、同省の取り組みとGreener Storesのコンセプトが一致することから応募し、出店者として選ばれた。当社のリソースポジティブカンパニー実現への戦略店舗として、店舗から出る廃棄物量の約40%削減、使い捨てカップ使用量の約75%削減などに挑む」と意気込みを語った。

「Greener Stores Framework」の基準を満たすことにより、従来の店舗に比べ、CO2排出量約30%、水の使用量も約20%削減を実現。出店工事の際に店舗から出た廃棄物の約85%を鉄や紙の原材料として、マテリアルリサイクルするなど環境負荷の低い店舗開発を実施している。

<リユーザブルなカップメインに提供する>
リユーザブルなカップメインに提供する

12月の開業に際しては、特に店舗から出る廃棄物削減の実証実験に軸をおき、リユースを基本とする国内店舗初のサービススタイルを導入。カップのリユース、食品ロスの低減などで国内の通常店に比べ、店舗から出る廃棄物量約40%の削減を目指す。

ドリンクの提供を店内利用は、マグか樹脂製グラス、マイタンブラーの持参(持参で21円引き)、持ち帰り時はスターバックスのリユーザブルカップ(特別価格税込110円)、丸の内エリアで実証実験中の「借りるカップ」(無料)など選択肢を増やし、さまざまな飲用スタイルを提案・検証し、使い捨てカップ使用量の約75%削減につなげる。

顧客の希望がある場合や一部のメニューは、使い捨ての資材も使用する。

■出店工事の際に出た廃棄物の85%をマテリアルリサイクルへ

店舗のデザインにおいては、環境負荷低減の試みを店内の各所で行った。

<糸、漁網を再利用したアートとリサイクルガラスの照明>
キャンバス、糸、漁網を再利用したアートとリサイクルガラスの照明

天井部、客席エリアのアートは、廃棄されてしまうキャンバス、糸、漁網を再利用し制作した。天井から下がる照明は、リサイクルガラスや和紙を用いて、それらのハンドクラフト感があたたかみも演出している。

<国産木材を使用した家具>
国産木材を使用した家具

店内の家具は、国産木材を10%使用し、古くなったら入れ替えるのではなく、修理しながら長く使い続けることに重きを置く。

<CO2を固定化したタイル床>
CO2を固定化したタイル床

コーヒー の豆かすを練りこみ、CO2を固定化したタイル床、間伐材を使った什器を店内に導入。出店工事の際に出た廃棄物の約85%を、鉄や紙の原材料としてマテリアルリサイクルに回し、残る約15%をバイオマス燃料などにサーマルリサイクルしたという。

<デジタルサインでフード商品を表示>
デジタルサインでフード商品を表示

また、同店舗では、フードの陳列ケースを設置せず、デジタルサインでフード商品を表示する検証を行う。開封すると賞味期限が短くなる食品の提供を需要に応じてある程度コントロールできることで、期限切れフードのさらなる廃棄削減を図る。

<手洗い時に使用する水の98%以上を循環利用>
手洗い時に使用する水の98%以上を循環利用

さらに、スターバックスでは、全ての路面直営店舗において、再生可能エネルギーへの切り替えを完了しており、新店舗も再生可能エネルギーを利用している。自律分散型水循環システムを開発するWOTAと協業したクリーンステーションを店舗内にスターバックスとして初めて導入し、手洗い時に使用する水の98%以上を循環利用する。

水口CEOは、「Greener Storesは1号店となる新店舗を皮切りに、来春数店舗の新店で実験し、2022年10月以降新店舗の開発で順次導入していく。今後、新店舗の実験で実績を積み上げ、他の小売業にもこのフレームを提供し、ともに環境負荷低減を実現することも構想している」と説明している。

北米ではすでに2300店舗に「Greener Stores Framework」の導入が完了しており、アジアでは9月に上海で中国1号店が開業。今後、英国や南米・チリでの開業も予定している。2025年までに全世界1万店を目標に各国で展開していく。

店舗開発本部サステナブルデザインチームの柳和宏チームマネージャーは、「リサイクルしやすい素材を選定して使用するなどGreener Stores1号店は、素材の選びから通常の店舗と違うが、居心地の良いスターバックス店舗であることと環境への意識を調和させるようデザインした。丸の内のビジネスパーソン、観光客、ランナー、サイクリストなど幅広く利用してもらえる店舗となっている」としている。

オリジナルドリンクとしては、スターバックスのシグネチャーである「エスプレッソ」や幅広い層に人気のフラペチーノに、優しい味わいの「和三盆」、そして、人気の植物性ミルクの一つであるアーモンドミルクを合わせた3種のドリンクが登場する。

<和田倉噴水公園店オリジナルドリンク>
和田倉噴水公園店オリジナルドリンク

「和三盆 アーモンドミルク フラペチーノ」(Tall税込648円持ち帰りの場合、660円店内利用の場合)、「アイス 和三盆 ムース フォーム アーモンドミルク ラテ」(Tall540円持ち帰りの場合、550円店内利用の場合)、「和三盆 ムース フォーム アーモンドミルク ラテ」(Tall540円持ち帰りの場合、550円店内利用の場合、いずれもアーモンドミルクと乳を使用)がそろう。

<リユースを基本とする国内店舗初のサービススタイルを導入>
リユースを基本とする国内店舗初のサービススタイルを導入

<無料給水スポットも設置>
無料給水スポットも設置
■スターバックスコーヒー 皇居外苑 和田倉噴水公園店
住所:東京都千代田区皇居外苑3-1
TEL:03-6273-4844
開店日:12月1日
営業時間:7時~21時
面積:401.62m2
席数:84席

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