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東急武蔵小杉駅/SCへの初出店を支援する「キャンバス ベース」オープン

2024年03月28日 17:02 / 店舗レポート

東急モールズデベロップメントは3月29日、東急電鉄武蔵小杉駅(神奈川県川崎市)のJR線方面改札横に位置する定期券売場跡地に、商業施設などへの事業展開を目指す事業者を支援するトライアルショップ「Canvas βase(キャンバス ベース)」をオープンする。28日、メディア向け内覧会が行われた。

<店舗外観>

キャンパスベースは、事業拡大・販路拡大を目指す事業者を支援する新たなプラットフォーム。事業者のリスクの少ない歩合賃料制で出店できる。コンセプトは「スキマ時間に、モノやヒトとの『最初の出会い』が見つかる場」とした。シンプルな内装デザインにし、可変式の什器や販売に必要な備品を用意している。装飾の持ち込みも可能だ。

通常のポップアップとの最大の違いは、東急側が事業者に対して、出店前後に「伴走支援」するという部分にある。出店前には、店舗運営に関するアドバイスなどを実施。出店期間中には、商品のモニター調査、フィードバックなどを行う。出店後は営業概況を面談で振り返り、東急グループの商業施設にある賃貸区画やイベントスペース、スーパー、ECなどへの出店を提案・サポートする。

<青木本部長>

青木太郎 営業本部長 兼 事業副本部長は「商業施設などに出店したことがない事業者が店をオープンするきっかけを作る場だ。これまで我々が気付かなかったニーズをつかむ目的もあり、将来、東急グループの百貨店・ストア・ECなどの売場を紹介し、出店してもらうことで街や館の差別化につなげていく。そこで東急には他の街にはないテナントが入っていると顧客に認知してもらえる。

出店を迷っている事業者の背中を押してあげられるよう、負担の少ないに歩合賃料制にした。この店舗で儲けるつもりはない。いつか本出店する際に、我々と事業者が互いに利益を得られる形になることが理想だ。東急沿線で渋谷・横浜駅に次ぐ利用者数を誇る武蔵小杉駅前で、たくさんの人に見てもらうことで事業のイメージをつかんでもらい、さまざまな選択肢を提供したい」と説明した。

<事業イメージ>

同社によると、現時点では新商品のテストマーケティングをしたい事業者が多いという。短期間で稼ぐために出店するのではなく、新しい事業のファーストステップにしたい考えだ。

<応援コミュニティ>

キャンパスベースのもう一つの特徴として「応援コミュニティ」を導入した。地元を愛する事業者などのキーマンや、SNSで多くのフォロワーを持つインフルエンサーに参画してもらい、事業の拡大につなげていく。

コミュニティの活動内容は、自身のネットワークを活用してキャンパスベースに出店する事業者の情報を発信するほか、店頭で商品の感想を事業者に直接を伝えることなど。その見返りとして、いち早くモニター体験できるほか、自分の「推し店」をキャンパスベースへの出店に推薦することも可能だ。

また、キャンパスベース出店者・応援コミュニティ参加者同士のビジネスマッチングの場としても活用できる。

<店舗内観>

店頭の暖簾は数パターン用意しており、出店者の特性に合わせて変更できるという。店内には、東急が用意した什器やレジのほかに出店者が用意した看板や皿、アートなどの小道具が並ぶ。17.74m2のスペース内で、事業者の持つ世界観を自由に表現できる。備え付けのレジは現金・IC・QR決済に対応し、クレジットには非対応。サイネージも出店者が活用できる。

商品の価格設定は自由。食事の提供はできないが、試飲や試食、食品のテークアウト販売は可能だ。レジ奥の壁面にはアーカイヴスコーナーを設け、過去にキャンパスベースで出店した事業者の情報を一定期間の間、掲示する。キャンパスベースに訪れた顧客が気になる出店者の情報を知る機会にもなる。

<第1弾は川崎エリアWEEK>

キャンパスベース出店第1弾は「川崎エリアWEEK」と題して、川崎市中原区・高津区の事業者が順次出店する。記念すべき最初の出店者は「Book&cafe Stand Shinjo Gekijo(ブック&カフェスタンド シンジョウゲキジョウ)」で、販売期間は3月29日~4月2日。武蔵新城(川崎市中原区)の駅前にある、本屋・カフェ・ラジオスタジオを備えた店舗だ。

キャンパスベースで初お披露目となる紅茶とコーヒーのティーバッグを販売する。既存店で提供していた紅茶・コーヒーを、地元住民から個包装で販売してほしいとの要望があったことから、初めて製品化したという。ギフトセットやバラ売りで販売し、事業者が自前で用意したオリジナルパッケージで提供する。

また、キャンパスベースへの出店期間は、約2週間が基本条件となる。だが実際には、単身・少人数で運営している事業者や、遠方から出張する事業者も多いことから、数日間だけの出店も可能にした。川崎エリアWEEKの終了後は、岩手県・長野県・兵庫県の事業者や自治体が出店予定。全国各地から出店希望者を募集している。

■Canvas βase
開業日:2024年3月29日
所在地:神奈川県川崎市中原区小杉町3-492 東急電鉄武蔵小杉駅JR線方面改札横 定期券売場跡地
店舗面積:17.74m2(5.36坪)
営業時間:7時~21時

取材・執筆 古川勝平

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