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パン市場/21年度は1兆5354億円、行動制限緩和などで需要回復

2023年04月25日 14:45 / 経営

矢野経済研究所は4月25日、パン市場に関する調査の概要を発表した。

国内のパン市場を調査し、製品セグメント別の動向、チャネル別の動向、参入企業の動向など明らかにしたもの。

<国内パン市場規模推移・予測>

2021年度の国内パン市場規模は、前年度比1.0%増の1兆5354億円(メーカー出荷金額ベース)だった。

同社は「コロナ禍で、外食や宿泊施設、ブライダルなどの業務用パン需要の減少と、在宅勤務や大学のリモート講義などによる都市部のコンビニエンスストアを中心とした消費者のパン需要の減少などが市場に大きな影響を与え、2020年度は苦戦を強いられていたが、2021年度は行動制限が段階的に緩和されるなか、徐々に一部で経済活動や社会生活が元に戻り始めたことでパン需要が回復し、前年度比でプラスに転じた」と分析している。

2021年度のパン市場は、マリトッツオやフルーツサンドといったパン商品のブームなどが注目されたが、こうした変動性のある消費者需要をうまく調整する取り組みも見られた。マリトッツオはブームの最中から、一過性で終わることを想定し、マリトッツオ用のバンズを応用した商品を提案するなど、その先を見越した戦略を立てる事業者もおり、一方のフルーツサンドでは、消費期限が短いことからフードロスを抑制するため、販売見込みよりも少なく生産したリテールベーカリー事業者もいたという。

昨今の原材料価格高騰により、ホールセールメーカー(工場で製造工程の大部分を機械化して大量生産を可能とする製パンメーカー)やリテールベーカリー(パン製造小売事業者)は、企業努力だけでは価格維持が難しく、2022年度以降に多くの事業者で値上げを実施している。値上げ実施後は、売上数量の伸長がそのまま売上金額の伸長に及ばないケースがあり、今後もパンの価格が上昇し続けることが想定されることから、一部消費者のパン離れ、またはより安価なパン消費へ移行することが懸念される。

こうしたなか、今後は主に高級食パンに代表される「高付加価値のパンを求める消費者」と、値上げを受け入れながら「従来品を購買し続ける消費者」、値上げにより「従来品から離反する節約志向の消費者」に大別されるが、ホールセールメーカーは、商品価値と価格に見合う消費者を対象に商品展開を行い、消費者層を取りこぼすことなくあらゆる顧客層を囲い込むことで、売上拡大をめざすものと考える。こうした市場背景を考慮すると、パン市場は今後も微増で推移し、2026年度の国内パン市場規模は1兆6090億円(メーカー出荷金額ベース)に伸長すると予測した。

■調査要綱
調査期間:2023年1月~2023年3月
調査対象:パン・調理パンの製造メーカー・卸事業者、主要リテールベーカリー(パン製造小売事業者)など
調査方法:同社専門研究員による直接面談、電話などによるヒアリング、郵送アンケートならびに文献調査併用

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