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三越伊勢丹HD/4~12月営業利益716.4%増、新宿店は通期売上3000億円超へ

2023年02月03日 16:00 / 決算

三越伊勢丹ホールディングスが2月3日に発表した2023年3月期第3四半期決算によると、売上高3671億9400万円(前年同期比16.7%増)、営業利益245億5200万円(716.4%増)、経常利益256億1700万円(559.2%増)、親会社に帰属する当期利益195億6200万円(前期は9億2300万円の利益)となった。

百貨店事業のラグジュアリーブランド、宝飾・時計といった高額品の販売、クリスマスなどの年末イベント需要が好調で、業績回復をけん引した。

百貨店事業の売上高は3158億8300万円(12.4%増)、営業利益は175億8300万円(前年同四半期は営業損失61億9500万円)。上期に続き統合以降で最高売り上げを計上している伊勢丹新宿本店など、首都圏店舗の売上高が好調に推移している。客数はコロナ前の8割程度となっている。

伊勢丹新宿本店は、通期において、過去一度しか達成していない3000億円超の売上高(収益認識に関する会計基準等適用前の総額売上高)を見込めるほど回復。コロナ前に比べても、客単価が伸びているという。

伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店の個人外商売上高が好調に推移している。水際対策の緩和による訪日外国人の増加、円安も追い風となり、2022年10月に設置した「海外顧客担当」の売上高が大きく伸長した。

また、顧客の幅広い要望に応え、輸入自動車、不動産、旅行など、百貨店では取り扱いのない商品・サービスの売上高についても順調に拡大した。

全国のグループ店舗をリモート接客でつなぐ、「三越伊勢丹リモートショッピング」による売上高が、前年、計画ともに上回り好調に推移した。仮想都市型メタバースの「REV WORLDS」では、百貨店リアル店舗や外部企業との連携企画を強化したほか、アバターのアクセサリ装着機能などの拡充にも取り組み、累計ダウンロード数は計画を大幅に上回っている。

「個客とつながるCRM戦略」を推進し、三越伊勢丹アプリ会員数については、前年、計画ともに大きく伸びたことにより、識別顧客数、識別顧客売上高が増加している。グループ企業が運用している公式SNSアカウントのフォロワー数についても増えており、百貨店の利用が少ない個客とも、日常的につながる状態を強化している。

<三原圭子広報・IR部長>
三原圭子広報・IR部長

同日行われたWEB決算説明会で、総務統括部の三原圭子広報・IR部長は「カード会員、アプリなどによる顧客の識別が進むことにより、マスではなく、個に向けた施策を行うことで、今まで売り逃していた顧客にもアプローチできている。特に新宿店では大きな催事がなくても、店内のあちこちで行列ができるような活況にある。インバウンド客も、コロナ前は中国からの顧客が多く、化粧品爆買いが見られたが、現在は国内顧客と同じようにラグジュアリーブランド、宝飾品、高級時計、スタイリストから説明を受けて買うアパレルなどが好まれる傾向にある」と説明している。

また、構造改革による経費削減は、11月公表の年間計画57億円に対して、49億円まで達成。三原氏は「水道光熱費の値上げもあり、経費節減のためのウルトラCがあるわけではないが、業務の内製化、POS、パソコンといったシステムの見直しなど小さな施策を積み重ね、経費節減に成功している」と話した。

通期でも、機動的な経費コントロールを継続、11月計画値57億円を5億円増額し、年間62億円の経費削減を目標としている。

クレジット・金融・友の会業の売上高は229億9600万円(0.3%減)、営業利益は31億800万円(34.1%減)。会計基準の変更もあり、減収減益となった。

不動産業の売上高は142億2000万円(8.6%増)、営業利益は29億9500万円(27.5%減)。三越伊勢丹プロパティ・デザインが、主要事業の建装事業において、コロナ禍で工事延期となっていた案件の完工増加や新規受注の拡大により、前年に対し増収となっている。

通期は、好調な売り上げ回復を受け、営業利益、経常利益、当期純利益ともに11月計画から上方修正した。

売上高4900億円(17.1%増)、営業利益20億円増の260億円(337.7%増)、経常利益20億円増の260億円(173.1%増)、親会社に帰属する当期利益15億円増の255億円(106.7%増)を見込んでいる。

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