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セブンイレブン/持続可能な原材料調達「みらいデリ」で新しい価値提供

2023年07月11日 15:30 / 商品

セブンーイレブン・ジャパンは7月14日、持続可能性が担保された食品原材料を採用した新しい商品シリーズ「みらいデリ」を開発し、新商品4品を全国のセブン‐イレブン21,407店舗(6月末時点)で発売する。

今回は「プラントベースプロテイン」を使用した「みらいデリおにぎりツナマヨネーズ」(本体140円)、「同ナゲット(5個入り)」(240円)と「工場野菜」を使用した「同ロメインレタスのシーザーサラダ」(350円)、「同やわらかほうれん草とベーコンのサラダ」(340円)を投入する。

<みらいデリ発表会>

7月11日のセブンーイレブンの日に合わせて、日比谷ミッドタウンで開催した「みらいデリ」発表会で、永松文彦社長(写真中央)は、「弊社は今年、創業50年を迎えました。今まで、『近くて便利』そして、おいしい商品ということを追求し、経済的価値を高めることに邁進してきました。今後の50年、いろんな環境が変化する中で、これからは経済的価値に加えて、社会的価値を追求する必要があると本当に認識しております。そのために4つのビジョン、『健康』『地域』『環境』『人材』ということを掲げています。それらを追求することで、地域の人々がみんな幸せになる。明日の笑顔を共に作るということを追求できると思っております。その手始めが、この『みらいデリ』となっております」と「みらいデリ」開発の経緯を説明した。

発表会では、永松社長のほか、プラントベースプロテインを使用した商品開発で協力した味の素の藤江太郎代表執行役社長最高経営責任者(写真左から2人目)、植物肉原料「ミラクルミート」を開発・製造するDAIZの井出剛社長(左端)、野菜工場を運営する舞台ファームの針生信夫社長(右から2人目)、良い農業の取り組みにつながる農業生産工程管理の認証プログラムの管理・運営を行う日本GAP協会の木内博一理事長(右端)によるトークセッションも行われた。

<みらいデリの4商品>

食品原材料を取り巻く環境は、自然環境への影響や社会問題等の解決が世界的な課題となるなか、持続可能性が担保された調達がますます重要になっている。多くの食品を販売するセブン‐イレブンとして、お客に安全・安心と便利に加え、環境にも配慮した商品の提供をさらに加速するべく、技術の進歩により環境負荷の低減と安定的な生産を実現している原材料を採用した新シリーズ「みらいデリ」商品を開発した。

今回は「プラントベースプロテイン」と「工場野菜」を採用し、原材料における環境への配慮に加え、セブン‐イレブンの商品開発において最も重要な「美味しさ」を追求した4品を展開する。今後、「みらいデリ」シリーズの展開を強化し、未来につながる取り組みを推進する。

<プラントベースプロテイン使用商品>

味の素の藤江社長は、「当社は、創業以来、旨味とかアミノ酸の働きに関する特許技術など、おいしさの研究をずっと続けてきた。おいしさという感覚は、味だけでなくて、香りとか食感を含めた総合的な感覚だ。当社には、エキスパートによる官能評価と先端科学技術を組み合わせて、おいしさを再現する『おいしさ設計技術』を有している。この技術と調味料で、DAIZと一緒においしい植物肉を作ってきた」と商品開発の背景を説明した。

また、DAIZの井出社長は、「プラントベースフードは、正直、なかなか上手くいっていない。アメリカでは100%植物肉にしようという考えがあり、日本も洗脳されてしまった。本来の植物肉の役割は、鶏、豚、牛に近いものを作り、畜肉と混ぜて、おいしさをそのままに生産と消費を伸ばすことにある。ヨーロッパは哲学、アメリカは肉の代替という考えが強いが、日本は、ハイブリッドによるおいしさを打ち出したい」と自社製品の「ミラクルミート」を解説した。

<工場野菜を使用したサラダ>

舞台ファームの針生社長は、「現在、農業人口が本当に厳しくなっている。日本の農業のあるべき姿を大きく変えなきゃいけない。変えるためには、生産性を上げるだけでなく、植物工場や野菜工場の活用も必要になる。植物工場で二酸化炭素を酸素にかえることで、地球を冷やす取り組みにもつながる」と野菜工場の役割を紹介した。

日本GAP協会の木内理事長は、「農業生産の現場は、あえて言えば食材製造業のような現場だ。ただ、他の産業にあるISOのような基準がこれまではなかった。そこで、GAP認証という制度に取り組んでいる。この基準を導入していただくことによって、未来を担う農業者の志が変わると私は思っている」とGAP認証を解説した。

<商品開発担当者>

商品発表会では、商品開発を担当者によるプレゼンテーションも実施した。ナゲットを担当した商品本部FF・菓子・アイス部の齋藤曜介FFフライヤー担当(写真中央)は、「カウンターフード・揚げ物は、年間10億を販売している。一方で、ウクライナ問題、飼料価格・エネルギー価格の高騰、鳥インフルエンザの拡大などで、世界的規模で原材料のひっ迫・価格高騰が起きている」と取り組みの背景を解説した。その上で、「プラントベースプロテインの取り組みにあたり、さまざまなお取引先の協力を得て、新たな開発チームを構築した。今回、おいしさを最優先し、食物繊維も、タンパク質も摂取できる商品が開発できた」とナゲットを紹介した。

おにぎりを担当した商品本部デイリー部米飯・麵類の金楽永おにぎり担当(写真左)は、「おにぎりは、年間20億個を販売するセブンイレブンを代表する品揃えだ。ツナマヨネーズは売上No.1商品だが、マグロは希少な原料になりつつある。最もお客様が手にとって頂ける『おにぎり』で強いメッセージを発信したい」と開発の背景を説明した。その上で、「商品開発では、おいしさを最優先で取り組んだ。これまでのプラントベースプロテインは、臭いと食感に課題があったが、2年の歳月と50回以上の試作により、絶対的に味に自信のあるプラントベースプロテインに仕上がった」とツナマヨネーズおにぎりの開発過程を振り返った。

サラダを担当した商品本部デイリー部デリカテッセンの廣畑絵梨サラダ担当(写真右)は、「コロナを経て、お客様の健康意識が変化する中で、サラダのニーズが高まっている。一方で、国内農業は、就労人口の減少や異常気象もあり、良質な原材料を安定して調達できない課題があった。そこで、我々は、新たに植物工場野菜を活用し、良質な原材料の持続可能な調達に取り組んでいる」と商品調達事情を解説した。その上で、「植物工場野菜を使用するにあたり、食感の課題を改善したほか、徹底した低温管理でみずみずしいフレッシュなサラダに仕上げた。さらに、それぞれの野菜に合わせて、専用のドレッシングを日々、工場で製造することで、野菜のおいしさを最大限に引き出したサラダに仕上げた」とサラダを紹介した。

今後の「みらいデリ」として、日本国内の陸上養殖で育ったサーモンを使用したサラダを8月頃にテスト販売する予定だ。同社は、「商品開発では、あくまでおいしさにこだわっている。環境に配慮されている新たな価値を提案しているが、そこを全面に打ち出すのではなく、おいしい商品を購入したら、結果的にそれが環境へ配慮した取り組みに貢献しているような商品開発を目指していきたい」と、今後の商品開発方針を述べている。

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