メルカリ/メルカリShopsの水産業者支援で全国一律料金の冷蔵・冷凍配送を開始
2022年03月07日 13:10 / EC
メルカリグループのソウゾウ(東京都港区)は3月7日、スマホでネットショップが開設できるECプラットフォーム「メルカリShops(メルカリショップス)」で、クール便をサイズ別全国一律価格で配送するサービス「クールメルカリ便」を開始すると発表した。国内の主要ECでは初という。
<篠原孝明・ソウゾウ Head of Product(左)とメルカリショップスに出店する水産業者>
「クールメルカリ便」は、ヤマト運輸が提供する「クール宅急便」を使って、要冷凍・要冷蔵商品を、サイズ別で全国一律の送料で配送できるサービス。60~120サイズまでの対応する。出店する水産業者の販路拡大支援を目的にメルカリショップス限定で提供する。
<「クールメルカリ便」の料金体系>
利用料は「60サイズ」(縦・横・高さの合計が60㎝以内、重量は2㎏以内)の場合で920円。最大で59%の割り引きになるという。配送可能な温度帯は冷蔵タイプが、輸送時の保冷設定温度で0~10度、予冷時間の目安は10度以下で6時間以上、冷凍タイプは輸送時の保冷設定温度がマイナス15度、予冷時間の目安はマイナス15度以下で12時間以上。
<「クールメルカリ便」の特徴>
サービスでは、配送ごとにバーコードやQRコードを生成するため、宛名書きが不要。発送通知後はメルカリのアプリの取引画面で配送状況を確認することができる。また、食品が発送されることを前提として、出店者の情報を記載して配送することで、購入者が安心して商品を買えるようにした。
<利用方法>
利用方法は、販売時に「クールメルカリ便(冷蔵)」か「クールメルカリ便(冷凍)」を選び、商品が売れたら、予冷済みの商品を梱包し全国に約3500あるヤマト運輸の営業所に持ち込めば発送できる。30円を追加で支払うことで集荷依頼も可能。発送後は取引画面で発送通知ボタンを押せば完了する。
<篠原孝明・ソウゾウ Head of Product>
同日に開催された発表会で、篠原孝明・ソウゾウ Head of Productは、全国一律の送料が可能になった理由について「メルカリは(ヤマトとの)取引量が多いことから、ヤマト運輸と話してメルカリとヤマトで料金の一部を負担するという企業努力で実現した」と説明した。
また、ヤマトと手を組んだことについては「すでにメルカリのらくらくメルカリ便で提携しており、サービスの実現性やリリースの実施速度などで(ヤマトと)合致したことから採用した」と述べた。
ソウゾウが、新サービスを打ち出した背景には、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による水産業者の卸先減少があるという。
<水産業界では新しい販路の開拓が課題になっている>
同社がメルカリショップスの水産物を販売する出店者に行った調査では、「コロナの影響で市場などへの出荷量の落ち込みや販売価格の下落で、新しい販路を開拓する必要がある」「コロナ禍で行き先がなくなった魚を全国の人に買ってもらいたい」などと回答があった。
これを踏まえ、ソウゾウは販路拡大の手法でECサイトの利用に注目。一方で、出店者を対象にECで販売する際のハードルを聞いた調査では「配送料(クール便)の高さ」と約74%が答えたことから、クール便の送料がネックになっていることがわかり、新サービスの提供を決めたとしている。
<ソウゾウの調査ではECで魚(水産物)を購入したことがある人は約2割>
また、全国の20代~60代の男女1000人を対象に実施したインターネット調査で、ECで魚(水産物)の購入経験がある人は、全体で22.2%と、ECで消費者の水産物購入は定着していないことがわかった。
<原沙久良・ソウゾウ Business Development Manager>
原沙久良・ソウゾウ Business Development Managerは発表会で「こうした調査結果を得たことで、クールメルカリ便を通じて水産業者の支援と、水産物のEC購入の認知向上を図り、水産業界でのEC販売促進と活性化を図っていこうと思った」と話した。
新サービスの売上目標などは非公表。現在はヤマト運輸のみとだが、今後はユーザーの要望などを踏まえて日本郵便との連携も検討する。篠原・Head of Productは「今回のサービスで多くの人がメルカリで魚を買うようになることを見込んでいる。そして、魚の消費が増えて、利用者がさらに広がることを期待している」と抱負を述べた。
ソウゾウでは、サービス開始に合わせてワンコインでカニやマグロなどの水産物が買えるキャンペーン「メルカリShops 魚の日キャンペーン」も3月7日から3月10日の期間限定で実施する。
<「メルカリShops 魚の日キャンペーン」の紹介>
キャンペーンでは、メルカリショップスに出店する10店舗から水産物14商品(約560セット)を提供してもらい、約5500円(送料込み)の商品を期間中に500円で販売する。「北海道直送北のグルメ前田水産」(北海道)、「EBISU☆FISHERY」(愛媛県)、「フードマルシェ・アイカ」(福岡県)、「豊洲まぐろ一代」(東京都)などの店舗が参加した。
<フードマルシェ・アイカの美山愛さん>
キャンペーンに参加する1社のフードマルシェ・アイカの美山愛さんは発表会で「若者の魚離れといわれているが、魚介類の消費は若者だけでなく、どの年代でも減っている。そうした中でいかに魚を食べたいと思ってもらえるかが重要。コロナ禍で人々のネットショッピングの利用が身近になっていることから、今回の取り組みで、より魚を食べてもらえると思った」と述べた。
ソウゾウでは、3月7日が「魚の日」であることから、この日に合わせて開催し、全国の水産物を自宅で楽しめる機会を提供することで、キャンペーンを通じて水産業界を盛り上げたいとしている。
■クールメルカリ便
https://shops.mercari.com/magazine/posts/60003
■メルカリShops 魚の日キャンペーン
https://shops.mercari.com/magazine/posts/60004
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