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イケア/IKEA Tokyo-Bay倉庫区画に「自動倉庫」初導入、EC強化

2022年11月24日 17:01 / EC

イケア・ジャパンは11月24日、千葉県船橋市の「IKEA Tokyo-Bay」の倉庫区画に、国内のイケア店舗で初めて自動倉庫型ピッキングシステム(AutoStore)を導入した。

<自動倉庫を導入>
自動倉庫を導入

イケアは家での暮らしをより快適にすることを目指し、日々さまざまな取り組みを行っている。日本では9つのイケアストア(大型店舗)、3つの都心型店舗、カスタマーサポートセンターの展開に加え、ECサイト(IKEAオンラインストア)の開業およびIKEAアプリの配信、さらに国内各地で商品受取りセンターを拡大、IKEAポップアップストアを開設し、お客とのタッチポイントを増やしている。

今回、ECサイト上のオーダー増加を中心とした変わりゆく購買行動のニーズに対応するために、それぞれのタッチポイントをつなぎ、総合的にアプローチするオムニチャネル化を加速する施策として自動倉庫を導入した。

AutoStoreの導入により、お客の雑貨や小物類のオーダーに合わせて、ピッキングロボットが高密度保管自動倉庫から商品を自動でピックアップすることが可能になる。

今後、関東圏の小物配送商品をAutoStoreが自動でピックアップすることで、コワーカー(従業員)が店内を歩き回る従来の方法と比べ、約8倍の作業効率で発送が完了する。

AutoStoreは、奥行14m、幅37m、高さ7mで、内部は14段で構成する。ビンと呼ばれる商品を格納する箱を1万1400個展開し、マグカップ、お皿、タオルといった生活雑貨を中心とした小物や小型の組立式家具など約4000商品を収納する。AutoStore内の25台のピックアップロボットによって、ピックアップされた商品は、ポートと呼ばれる商品ピックアップ担当者がいるエリアに運ばれて、ピックアップ担当者が商品を梱包する。

また、AutoStoreはAIによる学習機能を備えており、ピッキング回数が多い商品は、よりポートに近いエリアに在庫するようになり、運用する年数とともにより使いやすい倉庫に進化するという。

<ポートで商品を受け取り>
ポートで商品を受け取り

ポートは、人間工学に基づいて、疲れにくく作業しやすい環境を意識して設計されており、作業台の高さは、日本人の平均的な身長から算出した高さとした。また、立ち作業となるため、人が立つエリアには、疲労を軽減するエルゴマットを敷いた。

オムニチャネル化においてロジスティクス(物流)の整備は重要であり、イケアでは以前より、ロジスティクス業務の効率化を目指した取り組みを進めてきた。関東全体をひとつのマーケット(One Tokyo Market)として捉え、店舗間でのシームレスな連携およびカスタマーフルフィルメント(お客が商品を購入して手元に届くまでの業務)能力の最大化を目指している。

IKEA Tokyo-Bayで、AutoStoreを展開することで、従来関東圏の4つのイケアストア(大型店舗のIKEA新三郷、IKEA Tokyo-Bay、IKEA立川、IKEA港北)で担っていた小物配送のピックアップ業務をIKEA Tokyo-Bayに集約し、より効率よく商品を発送する。

今後、東京、千葉、埼玉、神奈川、栃木、群馬、茨城、新潟、山梨、(一部市町村を除く)静岡を対象に、IKEA Tokyo-Bayから小物配送を行う。

<倉庫内でのコワーカー>
倉庫内でのコワーカー

また、イケアでは、コワーカーが働きやすい環境を提供することを重視している。これまでの商品ピックアップ作業では、実際に店舗に向かって商品をピックアップしていたため、1日あたり2万歩から3万歩を歩いてた。AutoStore導入によって、倉庫内におけるコワーカーによりやさしい働く環境を実現する。

コワーカーが待つポートまでロボットが商品を運ぶことで、従来のピックアップ作業がなくなり、またエルゴノミクス(人間工学)を取り入れたポートは、コワーカーが商品をピックアップする際の身体への負荷を軽減し、業務をしやすいスペースを提供する。イケアの物流を支えるコワーカーの働き方も改善することで、今後のイケアのオムニチャネル化の成長をさらにサポートする。

<酸素低減システム>
酸素低減システム

さらに、IKEA Tokyo-Bayに導入するAutoStoreは、酸素低減システムを備えており、空気中の酸素濃度を13%程度にコントロールした防火設備を備えた。これにより、コワーカーや商品だけでなく、倉庫全体の安全性を高めた。また、イケア・ジャパンでは、2018年以来店舗および本社で100%再生エネルギー電気のみを使用しており、AutoStoreも再生可能電気100%で運用する。

<静岡の商品受け取りセンター>
静岡の商品受け取りセンター

そのほか、お客とのタッチポイントの強化として、商品受取りセンターの全国展開をすすめている。商品受取センターでは、イケア店舗やオンラインストアで購入した大型家具の受取りを通常配送より手ごろな価格で利用できる。

現在、札幌市、岡山市、高松市、広島市、静岡市、浜松市と全国に6カ所の商品受取りセンターを開設している。今後、より多くのお客に、快適な毎日を届けるため、2023年末までに、追加で日本全国の10拠点以上で商品受取りセンターを開設する予定だ。

<IKEAポップアップストアのイメージ>
IKEAポップアップストアのイメージ

また、イケア・ジャパンでは、より多くの人々により快適でサステナブルな家での暮らしを実現するためのアイデアや商品を提供するため、IKEAポップアップストアを積極的に展開する予定だ。IKEAポップアップストアにより、大型店が最寄りにないエリアの人々に、イケアを家での暮らしをサポートする身近なパートナーとして感じてもらいたいという。

<マシューマネジャー>
マシューマネジャー

イケア・ジャパンは、2017年に3月に、愛知県弥富市にある「IKEA弥富物流センター」にオンラインストアとしての拠点機能を持たせる計画を発表したが、現在、全国に展開する各店舗にオンラインの配送センター機能を持たせている。

方針転換の理由について、ルイーズ・マシューCustomer Fulfilment Development and Multichannel Network Managerは、「ラストワンマイルのデリバリーコストを少なくするために、フルフィルメント機能は、お客さまに近い店舗で行うことにした。大型店が近くにないエリアのお客さまについては、商品受け取りセンターを活用して対応する」と述べている。

<岩崎マネージャー>
岩崎マネージャー

また、今後の出店方針について、岩崎有里子Country Communication Managerは、「お客さまが、いつでもどこでも買い物を楽しんでもらえるオムニチャネルの環境は重要だと考えている。出店を中止した広島でも出店は望んでいる。今後も、都市型店舗、大型店舗、オンラインと、さまざまな形で、買い物機会を提供する」と述べている。

なお、イケアは、2030年までに、製品輸送による温室効果ガスの絶対排出量を2017年と比較して15%削減することを目指している。Ingkaグループは、イケア店舗を運営する31カ国すべてで、2025年までにゼロエミッション車によるラストワンマイル配送100%を目指している。イケア・ジャパンでは、今現在、6台のEV車を使用しており、今後さらにEV車の数を増やす予定だ。なお、車両の充電でも再エネ電気を100%使用している。

■イケアオンラインストア
https://www.ikea.com/jp/ja/

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