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ヤマトシステム開発/クレジットカード会社7社と合同検討会開催

2024年03月08日 13:50 / IT・システム

ヤマトシステム開発は3月7日、クレジットカード会社7社と合同検討会を開催し、業界共通で利用できるシステムを構築しクレジットカード不正利用で発生する業務の効率化を目指すと発表した。検討会には、アプラス、イオンフィナンシャルサービス、オリエントコーポレーション、クレディセゾン、ジャックス、ユーシーカード、ライフカードが参加した。

近年、キャッシュレス決済およびECの普及に伴い、クレジットカード決済市場の規模が継続的に増加1している一方、クレジットカードの不正利用が増加しており、2022年には被害額が過去最多の436億円と5年間で約1.8倍に増加している。クレジットカードが不正利用されるまでには、クレジットカード情報が不正に入手される段階と、そのクレジットカード情報が使用され商品を購入される段階の2つがある。

クレジットカード情報を不正に入手する手口は様々で、メールやSMSに記載されているURLにアクセスさせ、偽サイトで認証情報や個人情報を詐取するフィッシング詐欺などでクレジットカード保有者から情報を入手する手口や、ECサイトなどの加盟店のサーバーにハッキングし個人情報を窃取する手口などがある。

不正に入手されたクレジットカード情報は、偽造クレジットカードを作成して実店舗で利用されることもあるが、多くはECサイトで利用されている。ECサイトではクレジットカード番号と有効期限を送信すれば決済が可能で、本人利用の判別がしづらいことが原因だという。

クレジットカードの不正利用が発生すると、関係各社で取引情報の連携を行い、「不正利用か否かの調査」「チャージバック」を進める。チャージバックとは、クレジットカード会社と契約をしている小売店やEC事業者(加盟店が得た売り上げ代金をクレジットカード会社へ返金する手続きを意味する。

<不正利用か否かの調査の手続きフロー>

「不正利用か否かの調査」の手続きフローでは、クレジットカード保有者からイシュアに問い合わせが入る。つぎに、イシュアからアクワイアラに、アクワイアラから決済代行会社に、決済代行会社から加盟店に内容調査依頼が連携され、取引内容の詳細を共有してもらう。取引内容の結果が各プレイヤーを経由してイシュアに伝えられ、イシュアが不正利用か否かを判断する。

イシュアは審査や発行を行うクレジットカード会社、アクワイアラは加盟店の開拓や審査・管理をするクレジットカード会社、決済代行会社は代金立替払いや決済システム構築運営を行う会社、加盟店はクレジットカード会社と契約をしている小売店やEC事業者を意味する。

<チャージバック」の手続きフロー>

「チャージバックの手続きフローでは、内容調査で不正利用と判断された取引について、イシュアは引き落とし口座の取引停止を行う。そして、イシュアからアクワイアラ、アクワイアラから決済代行会社に申請がなされ、加盟店が立て替えた支払いを引き戻す手続き(チャージバック)を行う。

チャージバックの手続きでは、クレジットカード保有者からの問い合わせをもとに、関係各社が情報を連携する必要がある。しかし、クレジットカード保有者と決済代行会社と加盟店の3者は直接の契約関係がないため、情報伝達はイシュアとアクワイアラを介して行うことになる。その際、各社で異なるフォーマットを使用するなど、煩雑な業務が発生しており、昨今の不正利用の増加に伴って処理量も増大している。特に、多くの加盟店や決済代行会社と取引をしているアクワイアラは、通常のクレジットカード利用の手続き業務に加えて、チャージバックの手続きに対応しているため大きな業務負荷がかかっている。

そこで、長きに渡ってクレジットカード各社の業務支援を行ってきたヤマトシステム開発が中心となり、アクワイアラの役割も担うクレジットカード会社7社とともに、チャージバックの手続きに関する合同検討会を開催し、クレジットカードの不正利用で発生する業務の効率化に向けて、取り組みを開始した。

<クレジットカード業界の関係図>

合同検討会を開催した結果、関係各社における情報連携の効率化が共通課題であることが見えてきた。解決策として、情報連携のフォーマット共通化およびWeb上での情報一元管理が必要との合意に至った。今後は2024年度中の実用化を目指し、クレジットカード業界で共有可能な解決策を実現するシステムをヤマトシステム開発が構築する。合同検討会では、システムの開発に向けて、各社のチャージバックの業務フローや共通課題を整理し、実務を踏まえた要件を定義する。

ヤマトシステム開発は、1976年からクレジットカード会社を対象としたソリューションの提供や業務委託を請け負い、長きに渡ってクレジットカード業界の業務支援を行っている。2023年11月からは、年々被害額が増加するクレジットカードの不正利用により発生している業務の効率化を目指し、クレジットカード会社7社と合同検討会を開催している。

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