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三菱地所×中川政七商店/東京駅前に地方活性化目指す体験型店舗、主力は学生

2022年07月27日 17:20 / 店舗レポート

三菱地所と中川政七商店は8月2日、東京駅日本橋口前のTOKYO TORCH(トウキョウトーチ)街区の銭瓶町ビルディング1階「ぜにがめプレイス」(東京都千代田区)に、「アナザー・ジャパン」の第1期店舗をオープンする。7月27日マスコミ向け内覧会を開催した。

<地方活性化を目指すアナザー・ジャパンPJを推進>
地方活性化を目指すアナザー・ジャパンPJを推進
※左から中川政七会長、学生メンバーの山本幸歩さん、三菱地所谷沢氏

「アナザー・ジャパン」は、店舗運営に関わるすべての業務を18人の学生が担い、全国6ブロック×2カ月ごとの企画展を展開。地方の魅力的な産品を紹介する体験型店舗を運営するプロジェクトとなる。初回企画展として、九州・沖縄出身の学生が企画した「アナザー・キュウシュウ展」を実施する。九州・沖縄地域産品約350点がそろう。

<アナザー・ジャパン外観>
アナザー・ジャパン外観

併設カフェ「KITASANDO Kissa」(biplane運営)も同日より営業を開始する。

同プロジェクトは、三菱地所がプラットフォームを提供し、中川政七商店が小売業のノウハウを教育およびメンターとして学生の経営に伴走する。アナザー・ジャパンを通して地域・経営を学び、将来自分の働く場所として地元を選択肢の一つにするなど、地方に若い世代が戻ることによって、さらなる地方活性化を目指すもの。

<初回は九州の魅力的な産品がそろう>
初回は九州の魅力的な産品がそろう

アナザー・ジャパンは、約5年の歳月をかけ育てていく中長期型プロジェクトで、2022年8月に約140m2の第1期店舗をオープン。2027年度には約1322m2の第2期店舗をTorch Towerに開業予定だ。

<約140m2の第1期店舗>
約140m2の第1期店舗

中川政七商店の中川政七会長は「地元奈良の大学で学生を教えるうちに、若い世代のポテンシャルの高さに驚き、その力を生かしたいと思った。地方創生には人が重要。また、優秀な人の受け皿となる魅力的な企業の存在も欠かせない。プロジェクトで地方を盛り上げるとともに、参加メンバーが地元企業とのつながりを持ち、いずれ地元に戻ったり、一緒に仕事をしたりと5~10年スパンの接点をもってもらいたいという思いがある。魅力的な企業が地元に増えれば、それぞれ刺激しあい、さらなる地方の発展につながる」と意気込みを語った。

また、「今回の店舗運営では短期的な店舗の収支を無視することなく、経営のためのトレーニングも行っている。現在のメンバーには、2期生が参加したくなるような活動にする責任を持ってもらっている。中川政七商店として個別企業のブランディングなどで地方活性化を手掛けてきたが、今回は全国的に加速する野心的な試みとなる」としている。

<アナザー・ジャパンプロジェクト概要>
アナザー・ジャパンプロジェクト概要

第1期生は、2021年12月に募集開始後、約200人の学生が応募し18人が決定した。2022年3月より顔合わせ・研修がスタート。中川政七会長の講義を受け、経営計画立案やビジョン策定などの実践を行った。

学生は、アナザー・ジャパンにまつわる経営・企画展運営・店舗運営・プロモーション・接客販売のすべてを行う。18人は、プロダクト、オペレーション、コミュニケーションそれぞれ各分野のエキスパートとして学びと実践を積み重ね、総計2640時間を超える研修・準備期間を経ているという。

<経営から販売まで学生たちが担う>
経営から販売まで学生たちが担う

学生の学びと実践を資金面で支える「企業サポーター」は46社、個人サポーターを募るクラウドファンディングは120人以上を達成した。

<ライブコマースブースでは顧客に合わせた商品を提案する>
ライブコマースブース

三菱地所のTOKYO TORCH事業部企画ユニットの谷沢直紀ユニットリーダーは、「日本を明るく元気にしたいというTOKYO TORCHのビジョンに合わせ、中川政七商店と学生たちとともに、店舗の新しいスタイルに挑戦する。2027年のTorch Tower開業時には47都道府県の常設ブースを運営できるよう、今回の店舗は試金石となる」と説明している。

<各地のお酒など乾杯をイメージ>
各地のお酒

今回の「アナザー・キュウシュウ展」では、九州エリアの学生3名が合計83日間をかけ、自ら現地でセレクト・仕入れた商品が店頭に並ぶ。

<大分、福岡、佐賀、沖縄の器がそろう>
大分、福岡、佐賀、沖縄の器がそろう

テーマは「宴」。「キュウシュウという宴が、あなたを待ってる。」をコンセプトに、宴の準備から装い・乾杯・贈り物などをそろえた。

<夏祭りを盛り上げる品々>
夏祭りを盛り上げる品々

「宴の乾杯」は各地のお酒、酒器、おつまみ、調味料、「宴の宴席」では大分、福岡、佐賀、沖縄4産地の特色あるうつわ、「宴のお祭り」は下駄、花火、郷土玩具など夏の宴を盛り上げる品々、「宴の余韻」はお茶やお菓子で宴を締める場面をイメージした食品などをセレクトしている。

併設カフェ「KITASANDO Kissa」(biplane運営)が同時オープン。「淹(いれる)」をテーマに、日本の喫茶文化をリスペクトしたティー&コーヒースタンド。カジュアルなカウンタースタイルで朝から夜まで使いやすく、ランチには軽食、夜はアルコールドリンクの提供などを行う。

企画展にあわせ、九州・沖縄産の食材を活用した「沖縄タルトパルフェ」、「九州柑橘の緑茶ソーダ」といったフード・ドリンクメニューも販売する。

<ティー&コーヒースタンドを併設>
ティー&コーヒースタンド

一部メニューを田園調布雙葉高校の生徒が考案した。同校はデトロイトトーマツグループのサポートにより「探求授業」を実施しており、2021年度から三菱地所も参画。同カフェにおける期間限定メニュー開発・販促企画・売り上げ分析などをテーマとしたプログラムを推進している。

企画展は、九州の後、北海道・東北、中部、関東、近畿、中国・四国と2カ月ごとに展開。週末ごとに体験型イベントも企画しており、「地元」と「旅先」の両方を味わえるショップ&カフェを目指す。

■アナザー・ジャパン(第1期店舗)
開業日:2022年8月2日11時
所在地:東京都千代田区大手町2-6-3 TOKYO TORCH 銭瓶町ビルディング1階ぜにがめプレイス
業態:ショップ&カフェ※キャッシュレス決済のみ
営業時間:ショップ11時~20時/カフェ平日8時30分~21時30分、土日祝10時~19時
休業日:ショップのみ隔月2日間(企画展入れ替えのため)
TEL:ショップ03-6262-1375/カフェ03-6262-1384
店舗面積:約140m2(カフェ42席)
事業者:三菱地所、中川政七商店/カフェ運営biplane
クリエーティブデザイン:オフィスキャンプ
店舗設計:やぐゆぐ道具店
https://another-japan.shop/

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