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イオンモール/岩村社長「単なる商業施設でなく『文化』を作る開発へ」

2023年12月18日 14:00 / 店舗レポート

イオンモールは12月15日、家電・美容・健康・スポーツといった体験型のテナントを強化した都市型商業施設「CeeU Yokohama」(横浜市西区)をグランドオープンした。岩村康次社長は報道陣に対し、「イオンモールはイオンモールだけを作る会社ではない。郊外型の大型商業施設以外にも、顧客の快適さを追求、イベントを充実し、さまざまな開発を行っていく」と意気込みを語った。主な質疑応答は以下の通り。

<イベントなどで文化を作ると岩村社長>
岩村社長

――2023年はCeeU Yokohama以外にも「イオンモール」と名付けない商業施設の開発が多かったですね

岩村 2023年4月オープンした「THE OUTLETS SHONAN HIRATSUKA」(ジ アウトレット湘南平塚、神奈川県平塚市)は、公園のような施設を造りたいと思い、開発しました。アウトレットショッピングにとどまらず、スポーツ、アウトドアを切り口にした店舗、ゆったりとした時間を過ごせる緑豊かな環境、イベントを楽しむための大型ビジョンなど充実させています。

<ジ アウトレット湘南平塚の大型ビジョン>
大型ビジョン

東京・自由が丘に10月オープンした、商業施設「JIYUGAOKA de aone(自由が丘 デュ アオーネ)」(東京都目黒区)も、都市部でも開発に対する譲れない思いがあり、出会い、交流を生み出す施設を目指しました。店舗以外に、緑豊かなテラスを設置するなどゆとりある施設デザインを取り入れています。

<自由が丘 デュ アオーネ>
自由が丘 デュ アオーネ

2023年は、単なる効率の追求ではない「広場の役割」、体験を提供する商業施設を開発できたと手ごたえを感じています。

――CeeU Yokohamaは体験型テナントを充実させました

岩村 現在の商業施設は3階以上の集客が難しく、9階建ての商業施設をどう運営するか。強いコンセプトがあるフロアを用意しないと、上層階に顧客が訪れないという危機感がありました。1フロアごとに強いコンセプトを持った施設を開発する必要があったのです。そこで、エディオンの体験型店舗、美容・健康のテナントを集めた「Beauty body Gallery」のフロアなどを展開しました。

<CeeU Yokohama>
CeeU Yokohama

2~7階に、店舗面積約1万1914.03m2の「エディオン」が出店しています。エディオンは当初から、単なる家電販売ではなく、コンセプト性の強い店づくりがしたいという明快な意思があり、その点で双方の思いが合致しました。結果、eスポーツ、ゲーム・ホビーを強化したフロア、フェムテックコーナー、交流を促進するイベントスペースを設置し、都市型施設でもゆとりある体験型の店舗が登場しました。

<eスポーツ対戦場>
e-sport

――9階に美と健康のゾーンを設置した狙いは

岩村 やはり目的を持って来館してもらえるテナントを集めたいと思いました。9階に直行するエレベーターもあり、他の階に行かなくても直行できるよう動線も別に作りました。

<9階に美と健康のゾーン>
9階に美と健康のゾーン

ビューティーゾーン「Beauty body Gallery」に入っていく、という環境を作るのも重要だと考えました。今の横浜エリアにない、新しい深い価値を提供したいと思います。

――2023年の開発の知見を2024年にどう生かしますか

岩村 顧客体験価値、快適さの追求とイベントの充実を図り、既存店の改装を進めます。

イオンモール広島府中などで、ここ何年かの実験結果を反映した大型の増床を実施し、イベントに使用するスペースや設備が不足している施設では、イベントができる環境整備を推進します。

――どのようなイベントを展開しますか

岩村 スポーツ、音楽の一人一人をつなげるパワー注目しています。地域にコミュニティーを作るには、この2つが欠かせないと考えています。

12月にジャパンラグビーリーグワンと「NTT ジャパンラグビー リーグワン2023-24」における事業共創パートナー契約を締結しました。

地域のアマチュアバンドにイベント出演してもらうなど地域でのコミュニティーづくりにも貢献したいですね。生物多様性、SDGsなどの国際デーといった世界基準のテーマのイベントも展開していきます。イベントといっても、単にセールを増やすのではなく、地域とともに、新しい「文化」を作りたいです。

全国的なイベントだけでなく、当社は地域シフトも進めているので、地域にあるイベントを当社が盛り上げるといったことも力を入れます。

<中華学校校友会国術団が中国獅子舞を披露>
中国獅子舞
※12月15日CeeU Yokohamaオープニングイベント

――単なる商業施設開発にとどまらないと

岩村 イオンモールは、イオンモールだけを作る会社ではありません。郊外型の大型商業施設開発以外にも、既存ビル・土地の活用、単館デベロッパーの維持・継承問題、マリモ社と連携した住宅との複合施設、街の再生など、商業施設に関する多様なニーズに対応できます。

今後の開発は面積、規模ではなくエッセンスが重要だと思っています。サーキュラーエコノミー、ソーシャルビジネスとの連携、地域創生などイオンモールの集積を生かし、応えられることを徹底して研究し、新しい開発に挑戦していきます。

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