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大手百貨店/4月売上高前年の反動で大幅増、2019年比は2~3割減

2021年05月06日 15:30 / 月次

三越伊勢丹ホールディングス、J.フロントリテイリング、エイチ・ツー・オーリテイリング、高島屋、そごう・西武は5月6日、4月の売上速報を発表した。

三越伊勢丹前年同月比646.3%増(2019年同月比30%減)、J.フロントリテイリング(大丸松坂屋百貨店)202.2%増、エイチ・ツー・オー(阪急阪神百貨店)214.2%増(36%減)、高島屋205.4%増(26.2%減)、そごう・西武296.7%増(21.0%減)だった。

前年は新型コロナウイルス影響により、各社臨時休業などを行った反動から、今年の4月は前年実績を大きく上回った。ただし、2019年の売上規模に比べると各社の売上は2~3割程度減少している。

■三越伊勢丹HD(2020年3月期売上高:1兆1191億円)
伊勢丹新宿本店店頭前年同月比681.7%増、三越日本橋本店店頭557.3%増、三越銀座店867.6%増などで、三越伊勢丹既存店計646.3%増だった。

札幌丸井三越150.0%増、函館丸井今井59.8%増、新潟三越伊勢丹113.7%増、松山三越24.6%減など、国内グループ百貨店計は156.5%増となり、国内百貨店計は305.8%増となっている。

国内百貨店(既存店舗)の売上は、前年4月8日~5月29日に首都圏の三越伊勢丹を全館休業、4月中旬~5月中旬にグループ百貨店を食品フロアのみ営業(一部店舗全館休業、店舗により休業期間は異なる)とした反動もあり、前年実績を大きく上回った。

首都圏における売上(免税売上を除く)は前々年比約1割減まで回復を見せていたが、4月25日からの緊急事態宣言発出を受け、同地域4店舗(伊勢丹浦和店を除く)を休業(食品・化粧品・その他一部 サービス関連を除く)とし、前々年比は三越伊勢丹計で約3割減、グループ百貨店計は約2割減、併せた国内百貨店計で約2割減。

伊勢丹新宿本店と三越日本橋本店では、引き続き、顧客の高額品への関心が高く、宝飾・時計やラグジュアリーブランドのハンドバッグなどを中心に売上をけん引。また、食品では自宅での時間を充実させたいニーズから牛肉・ホールケーキなどが好調だった。三越伊勢丹オンラインストアの売上は、母の日のギフト需要の伸びに加え、外出自粛傾向や月末の休業の影響もあり、前々年比で約2倍と好調を維持している(前年4月8日~5月6日:オンラインストア休業)。

免税売上は、主要3店舗における前年4月実績の反動が大きく国内百貨店合計で前年実績を上回った。

■J.フロントリテイリング(2021年2月期売上高:7662億円)
大丸松坂屋百貨店の売上高は前年同月比202.2%増、博多大丸、高知大丸を含めた百貨店事業の合計売上高は213.4%増だった。

百貨店各店の売上高は、前年4月8日以降に順次店舗の臨時休業や営業時間短縮を行っていたことの反動から、前年実績を大きく上回った。商品別では、美術・時計・ラグジュアリーブランドが引き続き好調だった。

なお、政府および各自治体の要請をふまえ、関東・関西の店舗は4月25日から当面の間、食品フロアなどを除き臨時休業している。

大丸松坂屋百貨店合計の免税売上高(速報値)は対前年476%増(客数192%増、客単価97%増)と

■H2O(2020年3月期売上高:8972億円)
百貨店事業の全社計の売上高は前年同月比214.2%増となった。内訳は阪急本店321.7%増、阪神梅田本店153.3%増、支店計159.6%増。

3月下旬以降、大阪府における新型コロナウイルスの感染者数が急拡大し、4月5日から大阪・兵庫・宮城の3府県に「まん延防止等重点措置」が適用された。それに伴い、阪急・阪神の両本店および神戸阪急において、レストランの営業時間短縮と顧客入口での検温を再開した。

その後も感染拡大の勢いは止まらず、さらに23日には、東京・大阪・兵庫・京都の4都府県に3度目の「緊急事態宣言」の発出が決まり、自治体の要請に従い、25日から同エリア内の店舗では、食料品売場以外を休業とする営業体制に移行(都心の大型店舗は不要不急の人の流れを止めるため、さらに土日祝は休業)。

前年は4月8日に最初の「緊急事態宣言」が発出され、全店で生活必需品のみの営業だったこともあり、今年売上高は大幅に前年実績を上回った。ただ、3月に復調の兆しが見られた来店客数・売上の水準は再び低下し、特に大阪で1日あたりの感染者数が1000人を上回った13日以降は、年配層の来店減に拍車がかかった。

休業前には駆け込み需要も見られたが、既存店の売上高前々年対比は36%減、インバウンドを除く国内売上高の前々年対比も29%減と苦戦した。

ECは、外出自粛を受けてフード・メンズ・リビングなどが売上を伸ばす。リモートショッピングサービス「Remo Order」も、話題のDtoCブランドの期間限定ショップとの連動などで新客の獲得に寄与し、売上高も好調に推移したという。

阪急本店は、売上高の前々年対比は41%減。休業前の数日間は、駆け込み需要で来店客数と売上がやや復調したが、全般的に休業の影響が大きく厳しい結果となった。

新社会人の買い足しニーズ、先輩社会人の買い替えニーズ、また春の新生活ギフト、返礼ギフトが低迷した。

一方、ラグジュアリーでは顧客を中心にジャケット、パンツなどの春の主力アイテム、コーディネートアイテムが堅調。また、中旬には休業を意識してか、ブライダルリングの受注が急増。それらにより、100万円以上の高額品売上高は前々年対比10%増と健闘を見せたものの、インバウンドを除く国内売上高は前々年対比31%減と、全体売上まではカバーしきれなかった。

3月末にオープンした、新たな体験価値とコミュニティづくりを狙いとした、Z世代のためのファッション売場、サステナブルな食を意識した素材一体型の売場は、上々の滑り出しだという。

OMOの新たな取り組みとして、9階祝祭広場でのリアルなイベント会場を、VRを利用してオンライン上に拡張、会場に来られない顧客に「Remo Order」で買物をしてもらうサービスを実施した。

■高島屋(2021年2月期売上高:6808億円)
高島屋各店の既存店計売上高は前年同月比205.4%増、
岡山高島屋、岐阜高島屋、高崎高島屋を含めた各店・および国内百貨店子会社の既存店計は194.4%増となった。

4月度の店頭売上は、コロナ影響により前年は全店で臨時休業を行った反動から、前年実績を上回った。

免税売上は前年比1464.2%増、免税を除いた店頭売上は184.0%増(既存店計190.0%増)となっている。

なお、対前々年比では、店頭売上は27.4%減(既存店計26.2%減)、免税売上は86.4%減(86.4%減)、免税を除いた店頭売上は20.9%減(19.5%減)。

商品別売上(同社分類による15店舗ベース)は、全商品群が前年を上回っている。

■そごう・西武(2021年2月期売上高:4404億円)
そごう・西武10店の売上高は前年同月比296.7%増(2019年同月比21.0%減)、西武池袋本店は348.0%増(25.6%減)となった。

昨年、新型コロナウィルス感染拡大により首都圏店舗中心に長期間休業を行った影響で、全領域で前年を大きく上回る売上となった。

商品別にみると、呉服高級雑貨が前年比で約810%増、衣料品計は約590%増、婦人雑貨は約420%増だった。

なお、緊急事態宣言を受けて4月25日より都内2店舗で生活必需品、一部の専門店等を除き休業。全店売上は、2019年比約20%減となっている。

売上前年比約790%増(2019年比約80%減)、客数前年比約360%増(約95%減)となった。

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