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流通菓子市場/2017年度は1.2%増2兆353億円、4年連続で拡大

2018年11月13日 12:40 / 商品

矢野経済研究所は11月8日、流通菓子市場に関する調査(2018年)を発表した。国内の流通菓子市場を調査し、製品カテゴリ別の動向、参入企業の動向、将来展望を明らかにしたもの。

<流通菓子の総市場規模推移>
流通菓子の総市場規模推移

調査によると、国内流通菓子市場は、緩やかな景気回復とインバウンド(訪日外国人客)需要により、多くの製品カテゴリで拡大基調が続いており、総市場規模(メーカー出荷金額ベース)は2016年度に2兆円を突破し、2017年度は前年度比1.2%増の2兆353億円となった。

調査における流通菓子とは、チョコレート、ビスケット類、米菓、豆菓子、スナック菓子、チューインガム、キャンディ・キャラメル、輸入菓子などの菓子品目について、量販店・食品スーパー、コンビニエンスストア(CVS)、ドラッグストア、ディスカウントストア等への卸売によって流通している常温流通菓子を指す。

市場に含まれる商品は、チョコレート、ビスケット、米菓、豆菓子、スナック菓子、チューインガム、キャンディ・キャラメル、タブレット菓子、甘納豆、かりんとう、玩具菓子、輸入菓子など。

日本政府観光局(JNTO)データによると、訪日外国人客総数は2017年末時点で2,800万人を突破し、増加が続いている。

訪日外国人観光客の消費対象は、概して高額商品から徐々に単価の低い商品に移行しており、菓子は帰国土産目的に加えて、滞在中の消費もあることから、市場を押し上げる一因となっている。

<2017年度の製品カテゴリ別市場構成比>
2017年度の製品カテゴリ別市場構成比

製品カテゴリ別では、市場構成比の高いチョコレート市場において、機能性チョコレートがヒットしたことが奏功した。

チョコレートに次いで構成比の高いスナック菓子市場では、じゃがいも原料が逼迫したポテトショックの影響で一部商品が販売休止を余儀なくされた一方、代替需要で売上を大幅に伸ばした商品が多かったこと等から市場拡大となった。

また、グミキャンディの好調継続も市場にプラスの影響を与えた。

2015年4月に機能性表示食品制度がスタートしたことや、「ロカボ(low-carbohydrate)」などの新しい健康ワードが流行したことなどを背景に、ここ数年、幅広いカテゴリで健康・機能性を訴求した商品開発が進んだ。

健康志向の高いシニア層の需要を取り込みたい流通小売店舗側も、健康的付加価値を有する商品の取り扱いには積極的な姿勢が見られ、売場拡大にもつながった。

一方で、売れやすいカテゴリと、難しいカテゴリがあるのが現状で、発売し店頭にも並んだが、一定期間を経て終売した商品も多い。

調査に関連し、​2018年10月に実施した全国の流通菓子メーカーへの法人アンケート調査では、「今後、(開発していく上で)どのような機能性訴求に興味があるか」との設問(複数回答)に対し、「なんとなく健康的」の回答が56.5%で最も多い結果となった。

​こうした結果からも、流通菓子は、健康的付加価値や機能性訴求をあまり前面に出しすぎす、嗜好品としての楽しさを損なわないような商品開発が今後も続けられるとみる。

2018年度は、昨年同様、全体的な景況感が良好であることや、前年度に拡大したチョコレート市場、スナック菓子市場、グミキャンディも引き続き拡大が期待できること、更にインバウンド(訪日外国人客)も、年度前半は概ね好調に推移したことなどがプラスに働き、国内流通菓子市場規模はメーカー出荷金額ベースで、2兆560億円と拡大を予測する。

2019年10月に予定されている消費税率10%への引き上げが市場にある程度の影響を与えるものとみられるが、現時点では一般の飲食料品は軽減税率制度の対象となる見通しで、消費税率は引き続き8%となる。

流通菓子は単価が低いこと、更には2020年に東京オリンピック・パラリンピックを控え、一時的に消費は落ち込んでも回復が予想されることから、概して流通菓子市場への影響は軽微であるものと考える。

調査は8月~10月に、流通菓子メーカー、卸売業、商社、関連団体等を対象に実施。専門研究員による直接面談、電話・e-mail等によるヒアリング調査のほか、文献調査を併用した。

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