ワタミ／新業態「和民のこだわりのれん街」月間売上高2400万円目指す

2023年10月05日 17:50 ／店舗

ワタミは10月5日、次世代居酒屋の新ブランド1号店「和民のこだわりのれん街大井町東口駅前店」（東京都品川区）をオープンした。

＜のれんを掲げる渡辺会長＞

2021年12月に開店した複合業態「こだわりのれん街」を全面リニューアルし、既存店にはない新たな価値を付与したもの。「こだわりのれん街」も好調であったが、顧客が目的を持って店を訪れる「専門店的要素」が無いと、これからの居酒屋は生き残れないと判断し、新ブランド開発に至ったという。

新業態「和民のこだわりのれん街」は、同社が展開する7つの専門業態を集積させた新ブランド。1つの店舗内で各専門店の味を楽しめる。内訳は、焼肉「かみむら牧場」、寿司「すしの和」、中華四川料理「WANG’S GARDEN（ワンズガーデン）」、炉端焼き「炉ばたや銀政」、総合居酒屋の復刻ブランド「居食屋和民」、ドリンク専門「ゴジピタパーラー」、自社牧場ブランド「北海道美幌峠牧場」の7つ。

同社は、コロナ禍で創業ブランドである「和民」を、居酒屋業態から焼肉業態「焼肉の和民」への転換を進めていたが、アフターコロナの現在、居酒屋業態の業績が回復していることを背景に新業態立ち上げを決定。再び「和民」の名を冠する居酒屋ブランドを展開していく。

同日開催した記者発表会で、渡辺美樹会長兼社長は「いずれ日本にも訪れるインフレに対応できる店づくりが今回の狙いだ。インフレを迎えた米国の外食を見ると、価格を上げても顧客に付加価値が伝わっている店だけが生き残っている。冷食を使えば人件費は下がるが、チェーン店でもこだわりを持たなければ勝てない」。

「今回、コロナ禍前に設けていたパートによる料理の仕込時間（12時～16時）を復活させている。従業員の賃金を上げるために客単価を上げることは大変だが、客層が変わらずに値上げを認めてもらえるギリギリのラインに設定した。価格の是非は、今後のリピート率で分かる。日本の外食産業の常識を覆し、チャレンジしていかねばならない」と意気込みを語った。

＜高付加価値で客単価＆賃金アップを目指す＞

今回、全商品を見直し、手作りでたくさんの商品・安さ・サービスといった創業時の原点に戻る意味を込めて「和民」の名を冠する新ブランドとして始動した。1号店はSDGsモデル店舗でもあり、同社グループの風車などを活用して100％再生可能エネルギーで店舗の使用電力をまかない、自社農場で有機栽培した野菜などのサステナブルな食も提供する。

初年度の月間売上目標は、既存店から2割アップの2400万円。客単価は、リニューアル前の2800円から400円アップし、3200円に設定した。今後は、仙台・横浜・大阪・福岡といった全国の主要都市に1店舗ずつ出店し、インバウンド客も狙いたい考えだ。

＜店舗外観＞

店舗は大井町東口駅前店にあり、品川区立総合区民会館「きゅりあん」よりも手前に位置する。この場所にオープンさせた意図について、渡辺会長兼社長は「まず『こだわりのれん街』を出店する際に大井町を選んだのは、住宅街＆オフィスで、平日はサラリーマンと学生の一部、週末には家族客が見込めると考えたからだ。しかし、現実には家族客があまり集まらなかった。これからは週末に家族で席が埋まる状況にしたいと思い、家族層に人気の食品を集めた。普段はやらないが、今回は私が全商品をプロデュースしている」と話す。

＜主な商品＞

提供するメニューは、自社農場で採れたオーガニックの野菜や、鹿児島・カミチクホールディングスと取り組む持続可能な畜産、養殖による海洋資源の利用など、サステナブルな食体験も提供する。

商品はタッチパネルで注文可能。和牛生産者であるカミチクグループとの合弁事業「かみむら牧場」の「手切りカルビ薩摩牛」（税別1280円）、インバウンド出店戦略1号店を7月にオープンしている寿司業態「すしの和」の「厳選刺身盛り合わせ」（1880円）、中華専門業態「WANG’S GARDEN」の「出汁焼売5種盛」（899円）など、幅広い客層のニーズを満たす商品を用意した。

＜店内調理にこだわる＞