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コロナ融資後倒産/累計300件突破、食品関連の製造・卸売が苦戦

2022年06月08日 16:00 / 経営

帝国データバンクは6月8日、ゼロゼロ融資など官民によるコロナ融資を受けた後に倒産した「コロナ融資後倒産」についての調査結果を発表した。

<コロナ融資後倒産月別発生件数推移>
コロナ融資後倒産月別発生件数推移

2022年5月までに判明したコロナ融資後倒産は、累計で323件判明し、初めて発生が確認できた2020年7月から約2年で300件を突破した。

当初は1カ月で平均2件前後の発生にとどまるなど少数で推移したものの、コロナ禍から1年目が経過した21年2月以降は10件を上回るペースで推移。2年を迎えた2022年3月以降は月間30件を超え、5月は月間最多となる41件に達した。

この結果、コロナ融資後倒産は最初の発生から100件まで1年1カ月後を要したのに対し、200件までの到達期間は6カ月と、コロナ融資後倒産の発生ペースが加速している。

実際の融資額が判明した約110社の1社あたりのコロナ融資借入額平均は約6100万円だった。当初は政府系金融機関によるコロナ融資の借り入れが中心だったものの、2022年以降は銀行や信用金庫など民間金融機関から借り入れた企業の倒産が目立つという。

また、全体のコロナ融資総額は推計で197億300万円にのぼり、負債総額のおよそ1割を占めた。

<コロナ融資後倒産業種別累計>
コロナ融資後倒産業種別累計

業種別にみると、全323件のうち最も多いのは製造業の67件で、次いで卸売業(65件)が多かった。いずれも食品に関連した業種が多い。

製造業では印刷業が、卸売業では衣服卸などのアパレル産業が多かった。建設業では、住宅建築など幅広い業種で発生がみられた。小売業では特に飲食店が多く、小売業全体の3割(22件)を占めた。サービス業では、パチンコホールなどの娯楽業、旅館・ホテルなどの宿泊業(ともに9件)となっている。

<コロナ融資後倒産業種詳細別上位>
コロナ融資後倒産業種詳細別上位

帝国データバンクは今後について「コロナ融資は今年から返済が本格化し、長引くコロナ禍で業績回復が遅れている中小・零細企業にとって大きな重荷となってきた。返済原資のない中小企業のあきらめ倒産増が懸念される」としている。

■問い合わせ先
帝国データバンク
情報統括部:tdb_jyoho@mail.tdb.co.jp

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