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J.フロント 決算/2月期増収増益、富裕層マーケットへの対応堅調

2024年04月15日 18:05 / 決算

J.フロントリテイリングが4月15日に発表した2024年2月期決算によると、売上収益4070億600万円(前年同期比13.2%増)、営業利益430億4800万円(125.9%増)、税引前利益413億4300万円(145.0%増)、親会社に帰属する当期利益299億1300万円(110.1%増)となった。

中期経営計画の最終年度で、回復基調の続く国内消費やインバウンド需要を着実に捉え、「完全復活」への足取りを確かなものとし、2024年度以降の「再成長」に繋げるため、同計画で掲げた重点戦略・施策を着実に推進。主要な経営数値目標を概ね達成し、財務体質は有利子負債の削減などで改善している。

同計画の目標達成に向けた戦略推進と並行して、2030年を見据えたグループの目指す姿として、2024年度からスタートする次期中期経営計画(2024-2026年度)を策定。あわせて、グループ経営のさらなる強化と企業価値の向上に向け、次期中期経営計画を始動させる新たな経営体制を決定した。

百貨店事業の売上収益は2391億2500万円(10.8%増)、営業利益は235億8700万円(213.3%増)。社会・経済活動の正常化が一段と進むなか、主に堅調な富裕層マーケットへの対応をはじめとする戦略・施策の効果に加え、訪日外国人観光客による売上が一段と伸長し、売上高は大幅な増収となっている。

店舗別では、特に訪日外国人売上が好調な大丸心斎橋店や大丸京都店に加え、ターミナル立地の大丸東京店や大丸札幌店で入店客数、売上高が大きく改善した。

重点戦略への取り組みでは、基幹店を中心にラグジュアリーブランドや高級時計など主力カテゴリーの強化、リニューアルを実施したほか、「お得意様ラウンジ」の導入など上質な店舗環境の構築に着手。オンラインビジネスの強化に向けて、ファッションやアート、食のサブスクリプションサービスを拡充するなどデジタルを活用した新たな顧客体験の創出などに取り組んだ。

SC事業の売上収益は579億4400万円(7.7%増)。営業利益は保有資産の売却益なども加わり94億1400万円(121.8%増)。基幹店を中心とする戦略改装や全店統一企画等のプロモーションの効果、また渋谷PARCO、心斎橋PARCOをはじめとする訪日外国人観光客の来店増などで、入店客数、テナント取扱高ともに増加している。

重点戦略に基づき、店舗の魅力化に向け、池袋PARCOでは話題性の高いエンタテインメントショップを集積したゾーンを構築した。名古屋PARCOではユニセックス・レディス要素を拡張して、共用環境を刷新するなど戦略改装を推進。浦和PARCOでは「好感度・上質な生活の提案」と「心地よい日常生活」をキーワードとしたテナントを導入した。

来店価値向上に向け、人気TVアニメの大型動員催事の展開など独自のプロモーションに加え、渋谷PARCOでは50周年を記念し、半世紀を超える広告クリエイティブの歴史を巡る展覧会を開催している。

なお、新所沢PARCOは2月末に営業を終了した。

デベロッパー事業売上収益は、開発不動産の自社が組成したファンドへの売却、グループ内外の内装・設備工事や施設管理業務の増加などで784億1800万円(41.9%増)。営業利益は74億3700万円(133.5%増)。

2023年度から始動した新たな事業推進体制の下、グループ全体最適の観点から、グループが基盤を有する7都市の重点エリアを中心に中長期の開発計画策定に取り組んだ。具体的には、2026年の竣工・開業を目指す名古屋栄地区「(仮称)錦三丁目25番街区計画」、大阪心斎橋地区「(仮称)心斎橋プロジェクト」、福岡天神地区における再開発計画を推進した。

また、保有資産を活用した非商業施設の開発として、レジデンス3物件を竣工。建築内装事業では、都市部での再開発や出店拡大などの投資機会を捉え、ホテルなど開発案件への参画、特選ブランド等からの受注拡大など、営業力の強化に取り組んだ。

2025年2月期は、売上収益4215億円(3.6%増)、営業利益375億円(12.9%減)、税引前利益345億円(16.6%減)、親会社に帰属する当期利益235億円(21.4%減)を見込んでいる。

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