ヤオコー/相模原下九沢店
2010年11月30日 / 店舗リポート
自社開発SCの核店舗として神奈川県に初出店
ヤオコーは10月26日、神奈川県相模原市に自社開発のショッピングセンター「the market Place」を開設し、「ヤオコー相模原下九沢店」を開店した。同社にとって、初の神奈川県進出で、NECのグランド跡地を利用した。
商圏人口1km圏内8400世帯・2万500人、3km圏内8万500世帯・18万7000人、5km圏内17万2300世帯・41万4000人を想定する。
<ヤオコー相模原下九沢店>
売場面積は2053㎡(621坪)で同社にとって標準店での出店で、年間売上は初年度19億円を予定している。
<川野清巳社長>
川野清己社長は「神奈川への初出店となったが、店舗は当社の標準店舗だ。日々の食生活を楽しみたい需要は必ずあるはずで、ディスカウントやポイントカードに頼らず、クッキングサポート(調理実演コーナー)を中心とした食生活提案型の店舗で固定客をつかみたい」と語った。
クッキングサポートは集客の柱と位置づけられており材料費は年間で1億円をかけているという。
<クッキングサポートコーナー>
今後も国道16号線の沿線で出店する計画で、「基本的には、既存の物流センターから配送時間が1時間半程度の範囲で出店する」という。同社は物流センターとして、2002年に狭山センター(埼玉県狭山市)、2006年には新千葉センター(千葉県船橋市)を開設、店舗数の増加に対応して9月に狭山センターを増床したという。
出店計画については「あくまで、当社の商売がなじみやすい立地を考えている。食生活提案型の商売が受け入れやすい商圏を想定しており、郊外であっても都市部への通勤者が多く、食生活に豊富な経験がある住民が多い立地が理想だ」としている。
<相模原下九沢店地図>
ヤオコーでは東京・神奈川といった賃料コストが高い立地での出店も検討しており450坪タイプの店舗の実験をしているが、「450坪という店舗面積ではなく、あくまで客層が第1の要素で、売場面積と賃料のバランスが取れることが重要だ」(同氏)と語る。
<自社開発の冷凍食品売場>
川野社長は「毎日の食事は基本的においしく楽しいものでなければいけない」と繰り返した。おいしさを提案するひとつの切り口として、同社は、この秋に、冷凍食品のビーフシチューとホタテのクリーム煮、鶏肉のトマト煮(特売価格278円)を開発した。
同社が展開するプライベートブランド(PB)「マーケットプレイス」でははじめて、クッキングサポートを担当するパートナー社員の声を入れて開発した商品で、味、価格、量目、パッケージデザインまでパートナー社員の声を反映させているという。
冷凍食品では、これまでにチョコレートケーキやチーズケーキを発売しているが、割高な商品でもおいしければ売れる商品に成長している。フランスの高級スーパーでは、前菜からデザートまですべてを冷凍食品でそろえることができるPBもあり、ヤオコーでも今後3年間で60品目以上の冷凍食品を開発する予定だ。
<リンゴを半分に切り商品の鮮度をアピール>
「食品スーパーの来店客は歩いて5分、自転車で5分、車で5分というように店舗に近いお客が多い、来店頻度も2日に1回、場合によっては1日に2回ということもある。お客さまを飽きさせずに生鮮の鮮度を訴求することが大切だ」(同氏)と語る。
青果売場では、果物の糖度表示のほか、実際に商品を半分に切った見本を多数配置して、商品の鮮度をアピール。鮮魚売場でも秋の味覚の生筋子のディスプレイに工夫を凝らしている。
<生鮭1尾を使いさばきたて感を演出する生筋子売場>
生鮮の鮮度訴求に加えて、同社では子会社の三味が運営するインストアベーカリー(ISB)にも注力する。ISBは採算をとるのが難しい部門といわれるが、「都市部では特にISBの需要は高い。同業他社が簡単には追いつけない部門でもあり、効率ではない必要性の観点からISBを導入している」(同氏)という。
<子会社の三味が運営するインストアベーカリー>
ヤオコーは鮮度とおいしさを全面に打ち出しているが価格も重視している。「価格コンシャス=世の中の変化に対応する価格ライン戦略」という観点から、社内に設置された価格調査チームが、競合との関係で自社商品の価格を「1番高い」「中間」「最安値」と3つの軸で分析しているという。
「鮮度の良さを伝えることが重要だが、今の競合状況の中で価格が高いという印象をもたれるのは得策ではない」(同氏)と考えるからだ。カップラーメンで88円均一コーナーを設置、500mlペットボトルは88円を主要価格帯とし、PB2Lのペットボトルの緑茶、ウーロン茶、麦茶は99円で展開。部門によっては価格訴求もする。
<ケース売りも展開するPBペットボトル飲料売場>
2011年3月期第2四半期(連結)のヤオコーの販売費および一般管理費の営業収益対比率は27.5%となっている。川野社長は「販管費の削減が課題であることは間違いないが、具体的な数字は公表していない。数字を公表すれば数字が一人歩きし無理な数字合わせが生じる。仕組みと作業の標準化で着実に販管費を下げていく」と語った。
ヤオコー店舗概要
住所:神奈川県相模原市中央区下九沢57-1
TEL:042-775-0711
店長:須川竜治
延床面積:2932㎡ (887坪)
店舗面積:2053㎡ (621坪)
営業時間:10時~22時、休業日:年間2日
年間売上:初年度19億円(予定)
取扱品目数:生鮮1300品目、グロサリー1万2000品目、デリカ250品目、その他、合計1万4000品目程度
売上構成比:生鮮36%、グロサリー49%、デリカ15%
従業員:正社員19名、パートナー・ヘルパー・アルバイト116名(延べ人数)
SC全体の概要
敷地面積:1万7954㎡ (5431坪)
延床面積:6554㎡(1982坪)
建物構造:鉄骨造平屋建
駐車台数:293台、駐輪台数:179台
テナント数:8店舗(スギ薬局、西松屋、ダイソーなど)
■ビジュアル店舗紹介
<鉄骨の標準規格3m50cmの高さの天井を採用した店内>
<店舗入口に設置した花売場で花のある食卓を提案>
<花売場に果物を展開し、花と果物のギフトを提案>
<魚離れに対応し、骨なしの干物をコーナー化>
<精肉部門では看板商品ローストビーフを試食販売>
<鍋の季節にあわせ手作りの鶏の生つみれを展開>
<クッキングサポートコーナーでは日替わりでメニュー提案>
<惣菜のお好み焼き売場は鉄板の前で販売しできたて感を演出>
<おすすめ商品のざる豆腐では原料の大豆も陳列し素材を訴求>
<PB荒挽きポークウインナーは試食販売を強化>
<価格訴求型の63円アイスでもこだわり商品を打ち出す>
<売れ筋PB牛乳では1L、500ml、200mlと複数の量目を展開>
<米売場では米の研ぎ方や保存方法など基礎知識を掲示>
<コーヒー、紅茶、お茶売場ではそれぞれのおいしい入れ方を掲示>
<ノンアルコール飲料を酒類冷蔵ケースで集合展開>
<ワインは味わいと料理との相性別に陳列>
<弁当関連の雑貨を用途別に展開>
<鍋売場を根菜類近くの中通路エンドで展開、関連販売を強化>
<冷凍食品はリーチインクーラーで展開ローコスト運営を意識>
<西松屋、スギ薬局などとNSCを形成するSC全景>
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