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キリン/F&N株売却、新たな東南アジア戦略模索

2013年02月01日 / 経営

キリンホールディングスは2月1日、保有するフレイザー・アンド・ニーヴ(F&N)の株式をタイのTCCアセッツ(TCC)に譲渡すると発表した。TCCに対しては、シンガポール時間2月18日の株式公開買付(TOB)応募締切までに所定の手続きを済ませるとしている。譲渡による売却益は約470億円(税引前)となり、2013年12月期に特別利益として計上する。

キリンは2010年7月からシンガポールの飲料・不動産大手F&Nの株式の約15%を保有し、取締役1名を派遣。東南アジアでの総合飲料戦略に沿ってF&Nと協働する機会を模索してきた。

F&Nを巡っては、TCCなどを所有するタイの富豪チャルーン・シリワタナパクディー氏と、シンガポールのオーバーシーズ・ユニオン・エンタープライズ(OUE)を中心とした企業連合が、それぞれ買収提案を仕掛ける形となっていた。キリンは、OUE連合側の買収提案に加わり、F&Nの食品・飲料事業の取得を目指していた。

しかし、チャルーン氏がOUE連合を上回る取得条件を提示。OUE連合がこれを上回る条件を出さなかったことで、1月21日にOUE連合の買収提案が失効、キリンによるF&Nの食品・飲料事業の取得のオファーも失効した。この時点で、チャルーン氏のF&Nへの出資比率は40%を超えていた。

キリンは今回の決定をするにあたり、F&Nの株主構成がTCCを中心に大きく変化したため、F&Nをコアパートナーとして東南アジアの総合飲料戦略を実現していくことが困難になったと判断したとの理由を挙げている。

TCCのTOBは1月30日に成立。キリンは今回のF&N株の譲渡により、約20億シンガポールドル(約1496億円)の譲渡金額を得る。譲渡による売却益は約470億円。

キリンは今後、傘下企業との連携を含め、新たな協業の機会を探りながら東南アジアでの総合飲料戦略を進めていくとしている。

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