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中央労働委員会/「コンビニ加盟者は労働者に当たらず」経済法で解決を

2019年03月15日 19:16 / 行政

労使紛争の解決と調整に当たる厚生労働省の外局である中央労働委員会は3月15日、フランチャイズ契約を締結し、コンビニエンスストアを経営する加盟者は、労働組合法上の労働者には当たらず、会社が、加盟者を主な構成員とする組合からの団体交渉申入れに応じなかったことは、団体交渉拒否には、当たらないとの判断を示した。

<中央労働委員会のホームページ>
中央労働委員会のホームページ

セブン-イレブン・ジャパンとファミリーマートに対して、加盟者が団体交渉を申し入れたところ、会社がこれに応じなかったことが、不当労働行為であるとして、地方労働委員会に救済申立てがあった件で、救済申立てを棄却したもの。

セブン-イレブンの事案は2010年3月24日、岡山県労働委員会に救済申立てがあった。

岡山県労委は2014年3月13日付で、加盟者は労組法上の労働者に該当すると判断した上で、会社が団体交渉に応じなかったことは、労組北法上の不当労働行為に該当すると判断し、会社に対して「団体交渉のルール作り他」を議題とする団体交渉応諾及び文書手交を命じる旨を決定し、命令書を交付していた。

会社は、2014年4月1日、初審命令を不服として、救済命令の取消しと救済申立ての棄却を求め、中央労働委員会に再審査申立てを行っていた。

ファミリーの事案は2010年12月5日、東京都労働委員会に救済申立てがあった。

初審の東京都労委は、2015年3月17日付けで、加盟者は、会社との関係において労組法上の労働者に当たり、会社が組合との団体交渉に応じなかったことは正当な理由のない団体交渉拒否であると判断して、会社に対し、誠実団体交渉応諾及び文書交付を命じることを決定し、命令書を交付していた。

会社は、初審命令を不服として、2015年4月22日、初審命令の取消しと救済申立ての棄却を求めて再審査を申し立てていた。

どちらの事案でも中労委は、「フランチャイズ契約の内容は、会社によって一方的かつ定型的に決定されており、同契約により、加盟者の小売事業の経営は一定の制約を受けている面が存在する。このような加盟者と会社の関係をみると、加盟者と会社の間には交渉力の格差があることは否定できない」と指摘した。

一方で、「加盟者は、実際上は店長として稼働する場合が多いとしても、独立した小売事業者であり、制約は店舗の経営に関する事業者間の問題とみるべきであって、会社による研修や評価制度の存在等の事情を考慮しても、加盟者が会社の事業のための労働力としてその事業組織に組み入れられているとはいえない」。

「加盟者が会社から時間的・場所的拘束を受けて労務を供給し、あるいは、広い意味でも会社の指揮監督の下に労務を供給しているとはいえないことなどからしても、加盟者は会社の事業の遂行に不可欠な労働力として会社の事業組織に組み入れられ、労働契約に類する契約によって労務を供給しているとはいえない」。

「加盟者は、会社から労務供給の対価として報酬を受け取っているということはできず、他方で、加盟者の事業者性は顕著であると認めることができる」と指摘して、加盟者は労組法上の労働者に当たると評価できないと結論づけた。

その上で、「顕著な事業者性を持つ者であっても、事業の相手方の規模等によっては、契約内容が一方的に決定されるなどして交渉力の格差が発生することはあり得るが、そのような交渉力格差は、使用者と労働者との間の交渉力格差というよりは むしろ、経済法等の下での問題解決が想定される、事業者間における交渉力格差とみるべきものである」。

「本件における加盟者は、労組法による保護を受けられる労働者には当たらないが、上記のとおり会社との交渉力格差が存在することは否定できないことに鑑みると、その格差に基づいて生じる問題については、労組法上の団体交渉という法的な位置付けを持たないものであっても、適切な問題解決の仕組みの構築やそれに向けた当事者の取組み、とりわけ、会社側における配慮が望まれる」と付言した。

両事案とも、再審査申立てには理由があるので、初審救済命令を取り消し、救済申立てを棄却するのが相当であると判断している。

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