ローソン/「炒める」調理ロボを試験導入、できたてのチャーハンや野菜炒め提供
2025年07月17日 15:03 / IT・システム
ローソンは7月22日から、炒める機能に特化した調理ロボを東京都豊島区の「北大塚一丁目店(グリーンローソン)」に導入する。17日調理ロボの概要がメディア向けに公開された。
今回導入する調理ロボはTechMagic社が飲食店用に開発したもの。簡単な操作で、誰でも一定の品質で炒め物を調理できる。調理時間は数分。専用端末から注文を受けた後に、店内の厨房で調理して、できたての状態で提供する。
これまで店内厨房での商品は、揚げ物や電子レンジで調理したものに限られていたが、調理ロボの導入により強い火力が必要な炒め物も商品に追加でき、メニューの幅が広がる。
提供を始める商品は「たまごチャーハン」(税込538円)と「野菜炒め」(同)の2種類で、トッピングの違いによって全14品をラインアップする。
「たまごチャーハン」は、店内キッチンで炊いたご飯に、卵、白ネギ、調味料を使用。「野菜炒め」は、4種類の野菜(キャベツ・玉ねぎ・人参・小松菜)と醤油などの調味料を使う。
どちらも、トッピングとして店内のフライヤーで揚げた春巻きや唐揚げのほか、チャーシュー、ネギ塩豚タン、豚ハラミ、牛モツの6種類を追加することができる。
調理の流れとしては、まず店内の専用端末に注文が入ると、スタッフが調理ロボに付属しているタッチパネルを操作して、メニューを選択。するとメニューに応じて材料や調味料の投入タイミングが表示される。あとは計量した調味料や具材を案内に沿って鍋に投入するだけ。
実際の調理は、ロボットが350℃以上の火力で炒めたり、鍋の中で具材をかき混ぜたりする。調理後も鍋部分が自動洗浄されるため、時間をかけずに連続して調理することが可能。
ローソン事業開発部の塩野貴啓部長は「お店の中でテックを使うことで、これまでコンビニで提供できていなかった『炒める』という工程の商品を提供する。お客様にできたてを食べていただきたいので、注文を受けてから作り始めるという形にした」と説明。
さらに「炒める行為が人によって異なってくる可能性があるが、ロボットに付属しているタッチパネルに工程フローが表示されるため、誰でもムラなく均一の商品を提供できる」とメリットを述べた。
今回、省人化など新しいビジネスモデルの検証の場である「グリーンローソン」で試験的に運用を実施。
もっとも、ローソンとしてはロボット導入によって期待するのは省人化よりも商品ラインアップの拡充の部分。
「テクノロジーがすべて省人化につながるとは思っていない。それよりも今回の取り組みは新しい価値の提供が狙い。今までなかった『炒める』という行為をコンビニで実施することに重点を置いている」(塩野氏)。
生活者の購買動向を踏まえ、今後はメニューの拡充や他店への横展開も検討していくほか、デリバリーでの提供も視野に入れる。
デリバリーでは宅配サービス「ゴーストレストラン」をおよそ700店舗(2025年6月末)構えているが、「今は揚げたものと電子レンジで調理した商品だけ。そこに炒めた商品が加われば、さらに売上拡大につながるのではないか」(同)と予測する。
ローソンが調理ロボを導入するのは6月23日にオープンした「高輪ゲートウェイシティ店」での唐揚げ用調理ロボに続いて2弾目となる。
ローソンでは店内厨房のノウハウとテックを組み合わせることで、2030年度には2024年度比で日販30%増、店舗オペレーション30%削減につなげていく。
取材・執筆 比木暁
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