食品スーパー「ハローデイ」/日立のAI導入で48店舗の残業時間7.9%削減
2025年12月12日 15:36 / IT・システム
福岡県・熊本県・山口県で食品スーパーを展開するハローデイは、日立製作所、日立ソリューションズ西日本が協力し、AIを活用した需要予測型自動発注システムを導入した。
システム導入により、ハローデイの全49店舗で従業員の総労働時間を前年比で6837時間削減し、残業時間を7.9%削減(2025年8月と2024年8月単月を比較)するなど、業務効率化を達成。
さらに、属人的になりがちな発注業務の標準化に成功し、店舗人員不足への対応も可能な体制を構築。人時生産性(労働時間に対する粗利比率)が8.4%向上したという。
システムは、デイリー商品、グロサリー商品、冷凍食品など1店舗平均7000アイテム(2025年11月時点)を対象に、店舗ごとの売場スペースや商品配置の違い、取引先ごとの注文ロット・納品条件などを考慮し、個別に発注ロジックを調整できる柔軟性を備えている。
AIが過去の販売実績に加え、天候・曜日・イベントなどの外部要因を学習し、店舗ごとの需要を高精度に予測。実際の販売データを全店舗のデータベースに蓄積し、次回の需要予測にフィードバックする。
毎日更新されるデータを活用し、予測と提案を繰り返すことで精度を継続的に向上している。
この結果、取引先ごとに異なる注文ロットや納品条件にも対応することで、自動発注率は90%以上に達し、欠品率も6.99%減少(2024年9月2日と2025年9月2日時点の比較)し、発注ミス防止や販売機会損失の削減に寄与している。
さらに、従業員の心理的負担の軽減効果も確認している。
ハローデイでは、別ブランド店舗「ボンラパス」6店舗へのシステム導入を予定しており、日立とともに生成AIを活用して発注予測精度の向上、ハローデイの業務に関するQ&Aをチャットボット化するなど業務全体の自動化を目指している。
店舗運営のさらなる効率化や業務ノウハウの見える化を実現し、スキルの平準化や高度化に取り組む計画だ。
小売業界では労働力不足が深刻化しており、ハローデイでも店舗人員不足や人材育成、店舗生産性向上、物流センターの業務効率化などが課題となっていた。
これに対応するため、日立の需要予測型自動発注システム導入を検討し、2024年1月に5店舗でパイロット導入していた。その後、店舗での検証と開発を重ね、2025年6月に全店導入を完了した。
ハローデイは「アミューズメントフードホール」という独自の店舗コンセプトを採用し、買い物を楽しめる空間を提供している。
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