日販/溜池山王駅に無人書店オープン、月商500万円目指す
2023年09月25日 16:29 / 店舗レポート
日本出版販売(以下、日販)は9月26日、東京地下鉄、メトロプロパティーズが運営管理する「溜池山王メトロピア」に、完全無人書店「ほんたす ためいけ 溜池山王メトロピア店」をオープンする。25日、3社合同による内覧会が行われた。
<店舗外観>
銀座線・南北線「溜池山王」駅の周辺エリアはオフィスワーカーが多く、書籍の需要が見込めるにも関わらず街や駅周辺に書店が欠落していることから、駅ナカ施設でニーズを補うべく、メトロプロパティーズが書店を中心にリーシングを実施。結果、駅立地の出店で課題解決を目指している日販の「ほんたす ためいけ」出店が決まった。
同店は、賃料と人件費の圧迫により都心の駅ナカ・駅前の書店が減少し続ける中、完全無人運営の新たな書店モデルを確立するための実験店舗。書店が抱える「人件費の高騰」や「後継者不足」といった課題に対するソリューションとして、日販が取引先に提案して書店経営の持続性アップに貢献する目的で開発された。
今後の店舗展開数は未定。まずは実際に無人でも利益を確保できるかを判断するため、月商500万円の売上目標を立てているという(1日の「溜池山王」駅利用者数2万1000人のうち3%が入店して600人、そのうち30%が商品を購入した場合、月商500万円の売上となる計算)。
コンセプトは「日常に本の楽しみを!フラっと、サクっと旬を手に」。その街の利用者ニーズに特化させた最旬のラインアップで気軽に本との出会いを提供し、無人でもストレスフリーに利用できるスマートな本屋体験を提供する。無人店舗でも安全に利用できるよう、入退店時には、LINEミニアプリによるデジタル会員証が必要。キャッシュレス決済のみ対応のセルフレジ会計で、現金は使用不可となる。
<日販の南係長>
日販のマーケティング推進部 開発課の南 光太郎 係長は「同店のメインターゲットはビジネスマンで、駅利用者にどのような客層が多いか計測した。男女比5対5で、書店を普段あまり利用しないライトユーザーでも気軽に立ち寄れるよう話題の書籍を集める。数年間かけて実証実験を行い、10坪~30坪(約33m2~99m2)の立地で、街ごとに合わせた本屋をつくっていく」と説明する。
また、ほんたすの販促については「駅を使う顧客に対し、デジタルサイネージを用いてオープンキャンペーンなどをこれから掲示する。利用者に再び来店してもらうことが大事なため、LINEを通じて会員ごとに異なる販促を行っていく」と述べた。
<LINEで入退店>
LINEミニアプリによるデジタル会員証によって、会員ごとに入退店を管理することで非対面でのセキュリティ管理を実現。初回時のみ店頭でQRコードをスキャンして会員登録を行い、以降は公式LINEトーク画面から会員証画面を開き、出入口に設置した端末機にかざすことでドアを開錠できるようになる。
<棚を低くした内装>
内装は、セキュリティ対策を考えて棚を低くし、安全性を確保。通行人も店内の様子を確認できるため、安心して利用できる。取扱冊数は4500冊・300種類で、文具は50種類。レジ前にライトユーザーの利用目的となる人気漫画などのトレンド品を置くことで、入退店しやすくした。ポップを活用して顧客のニーズごとに合わせた商品陳列を行う。
<アイテム数絞り顧客ニーズに対応&負担軽減>
日販 マーケティング推進部 開発課の人間が店のメンテナンス・商品陳列を担当。商品の入れ替えは毎日オープンの1時間前に行い、アイテム点数を絞ることでオぺレーションの軽減につなげた。商品ラインアップについては、LINEでアンケートをとって顧客の要望に応える。
店内には監視カメラを設置して、AIによる顧客行動分析を行い、人流・客層を計測してマーケティングに活用。トラブル抑止や災害時の状況把握などにも対応する。ほかにも、顧客トラブルを始めとする異常事態に備え、火災警報機のほか緊急ボタン・スピーカーも設置し、発報時には警備会社が出動・初期対応するため安心だという。
<支払いはキャッシュレス決済のみ>
決済手段は、キャッシュレス決済のみのセルフレジ会計となる。現金を扱わず運営負荷を軽減し、スマートな購買を実現。南係長は「ブックカバーや袋も設置していない。多くのビジネスマンがカバンを持ち歩くため、顧客が商品を購入後、すぐにカバンにしまって退店する流れを想定している」と話している。
■ほんたす ためいけ 溜池山王メトロピア店
運営会社:日本出版販売
業種業態:物販(書籍・文具)
面積:51.32m2
営業時間:平日7時~22時/土日10時~20時
定休日:なし
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