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大手百貨店/10月既存店売上は増税前駆け込み反動で4社2割減

2019年11月01日 14:50 / 月次

三越伊勢丹ホールディングス、J.フロントリテイリング、エイチ・ツー・オーリテイリング、高島屋、そごう・西武は11月1日、10月の売上速報を発表した。

<百貨店イメージカット>
百貨店

三越伊勢丹20.2%減、J.フロントリテイリング(大丸松坂屋百貨店)19.1%減、エイチ・ツー・オー(阪急阪神百貨店)2.5%減、高島屋19.7%減、そごう・西武19.2%減だった。

消費税増税前の駆け込み需要の反動、台風19号による休業の影響などで4社が20%近く売り上げを落とした。H2Oは、5日に屋号変更した「神戸阪急」「高槻阪急」や催事が好調だった。

■三越伊勢丹(2019年3月期売上高:1兆1968億円)
伊勢丹新宿本店店頭19.5%減、三越日本橋本店店頭25.3%減、三越銀座店18.5%減などで、三越伊勢丹既存店計20.2%減だった。

札幌丸井今井22.6%減、名古屋三越13.2%減、岩田屋三越16.5%減など、国内グループ百貨店は16.4%減となり、国内百貨店合計は21.2%減となった。

消費増税前駆け込み需要の反動減や、天候不順による客数の減少にともない、首都圏三越伊勢丹既存店計、国内百貨店既存店計ともに、3カ月ぶりに前年実績を下回った。

首都圏の店舗では、消費増税前駆け込み需要の反動減があったことや、台風19号の影響による臨時休業・営業時間短縮により客数が減少。その中でも、一部店舗では秋のオケージョン関連アイテムや食品カテゴリーが堅調に推移した。

インバウンド売上に関しては、大都市圏の店舗を中心に客単価が伸長するも、為替や天候の影響などによる客数のダウンを補うことはできなかった。

■J.フロントリテイリング(2019年2月期売上高:1兆1251億円)
大丸松坂屋百貨店の売上高は前年同月比19.1%減、博多大丸、下関大丸、高知大丸を含めた百貨店事業の売上高は18.7%減となった。

10月度の百貨店事業の売上高は、消費増税前の駆け込み需要の反動減影響がほぼすべての商品分野で見られたことに加え、台風19号により一部店舗が臨時休業や営業時間短縮などによるマイナス影響を受けた。

また、大丸松坂屋百貨店合計の免税売上高(速報値)は対前年約15%減(客数同11%減、客単価同5%減)となっている。

9月20日に本館を建て替えグランドオープンした心斎橋店は、消費増税前の駆け込み需要の反動減影響がある中で、宝飾品が25%増、ラグジュアリーブランドが6%増となるなど、全体で0.2%増と順調に推移している。

■H2O(2019年3月期売上高:9368億円)
百貨店事業の全社計の売上高は2.5%減となった。内訳は阪急本店15.7%減、阪神梅田本店15.1%減、支店計24.3%増。

消費増税前の駆け込み需要の反動、消費購買の手控え、台風19号の影響により、ファッション、非ファッションともに苦戦した。

インバウンドは、為替(元安)、韓国人観光客減少の影響に加えて、ラグビーワールドカップの影響による渡航費や宿泊費高騰の影響もあり、売上高前年比約1割減となっている。

阪急うめだ本店では、独自価値テーマを設定した大型催事である「英国フェア(前年比5%増)」や、人気の「北海道物産展(1%増)」などの食品催事は増税とは関係なく、広域からの集客につながった。

消費増税前の駆け込み需要の反動と、気温が高かったこともあり、秋冬ファッションの実需商戦が低調な動きとなった。

インバウンドは、前半の国慶節期間は好調も後半失速。ファッションなどは好調も、化粧品はまとめ買い少なく苦戦した。

高額品は、同じく増税の影響により、高級ブランドのジュエリー、ウォッチ中心に低調。

メンズ大阪は、増税前の駆け込み需要で伸ばしたビジネスアイテム、コートなどのアウターが不調だったが、インバウンドは堅調に推移している。

阪神梅田本店も、増税前の駆け込み需要が大きかった化粧品や婦人靴、酒などを中心に苦戦。一方、8階催事の「東北6県物産展」は集客力も高く、盛り上がる。

支店も食料品は堅調も、全店前年実績に届かず。特に首都圏の3店舗は12日臨時休業の影響も響いた。

5日に屋号変更した「神戸阪急」「高槻阪急」は、新設、リニューアルした食品売場や誕生祭のプロモーションが牽引し、好調。両店ともに売上は想定を上回る結果となった(4日間の臨時休業を除く同日数前年比神戸2%増、高槻12%増)。

■高島屋(2019年2月期売上高:9128億円)
高島屋単体13店の売上高は19.7%減、岡山高島屋、岐阜高島屋、米子高島屋、高崎高島屋を含めた17店の売上高は19.7%減となった。

10月度の店頭売上は、消費増税前の駆け込み需要の反動に加え、台風19号の上陸に伴い、12日に関東の店舗など10店舗を臨時休業した影響などにより、前年実績を下回った。

免税売上は前年比16.9%減となった。

店舗別売上は、全店で前年比マイナス。商品別売上(同社分類による17店舗ベース)は、宝飾品や婦人雑貨をはじめ、いずれの商品群も前年を下回った。

■そごう・西武(2019年2月期売上高:6152億円)
そごう・西武15店の売上高は19.2%減、西武池袋本店は18.0%減となった。

10月売上は、増税影響を受け、衣料品から雑貨まで全領域が前年を下回った。とりわけ宝飾、時計、美術は前月の高伸反動で、大幅に前年乖離した。

また、台風19号直撃を受けた9店舗臨時休業も、さらに売上を押し下げた。一方、直近1週間の売上は前年比約95%まで回復している。

免税利用に関しては、売上は約5%減、客数は約1割減となった。

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